地域思いビジネス研究室

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NPOの新しいカタチ!~オルタナティブNPOとシェアNPO~

2012年07月02日 17時40分03秒 | セミナー・研修に参加して来ました!(^-
ちびラボ・研究員の水落です。(^-^)
今回はちょっと難しめなテーマについて書かせていただきます。
「新しい時代のNPOのカタチ」についてご興味おありの方はぜひぜひ、ご覧になってみてください。
そしてご意見なんかもいただけると嬉しいです。o(^▽^)o

先週の月曜日、財団法人関西カウンセリングセンターさんが主催された「シェアNPOとオルタナティブNPO ~これからの時代のNPOのカタチ~」 というセミナーに参加いたしました。

時代の変遷を経てNPOのスタイルが変わってきているというお話で、これからのNPOのあるべきスタイルについて議論が交わされたとても興味深いセミナーでした。
たぶん今のNPO業界の中でも最先端のテーマの一つなんだと思います。まだまだNPOのあるべきカタチというのはこれからみんなで議論したり、今後の世の中の動きやそれぞれのNPOの活動実践の中で見出されたりすることだと思いますが、今、あり方が変化してきていることやこれからますます変化していくということは確かなのではないかと思いました。

登壇されていたのは、NPO法人淡路プラッツの代表・田中俊英さん(http://www4.ocn.ne.jp/~awjplatz/)、NPO法人「育て上げ」ネット・理事長の工藤啓さん(http://www.sodateage.net/)、一般社団法人WIA・代表理事の加藤徹生さん(http://wia.stonesoup.jp/)のお三方。
そもそもこの「オルタナティブNPO」「シェアNPO」というのは田中さんが提唱されている概念です。
田中さんがおっしゃるには淡路プラッツさんはある意味、昔ながらのオルタナティブNPOとしてのスタイルが強く、現代的なシェアNPOの代表格が工藤さんの「育て上げ」ネットなのだとか。

それぞれの違いを下記にまとめてみました。

---------【オルタナティブNPOとシェアNPOの違いについて】--------------------------
<大まかな違いを示した図式>
NPO        共有      つながり方
―――――――――――――――――――――――――――――――――
オルタナNPO   理念     ネットワーク(長年のウェットのつながり)
シェアNPO   利益/情報    コラボレーション(プロジェクト単位のつながり)

・オルタナティブNPOは団塊世代が中心(60年代から続く市民活動が多い)。主流とは異なるオルタナティブな流れのNPO(反体制的?)
・最近のNPO(つまりシェアNPO)は、NPOどうしがプロジェクト単位でつながりあい、情報を共有しあいながら、ときにはつながり、コラボレーションして利益をシェアしあう。
・オルタナティブNPOは市民運動だった。シェアNPOは事業。
・オルタナティブNPOは価値感を伝えるのが、上手。アドボカシ、政策提言。シェアNPOもその点を見習うべき。
・シェアNPOはシェアしながらきっちり競争もしている。これからのNPOはやはりシェアNPOか?
・シェアNPOの代表例:NPO法人「育て上げ」ネット、トイボックス、G-net、Etic.など
・固いテーマ(教育、原発再稼働など)は行政の委託事業では変わらないから、オルタナティブNPO的な動き方をする。
・オルタナティブNPOのネットワークはウェットでしつこい。でもちゃんと応えていくと可愛がってもらえるし、みかえりもある。
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と、以上がセミナーで話されたオルタナティブNPOとシェアNPOのおおまかな違いです。

この説明を受けて、「育て上げ」ネットの工藤さんからもシェアNPO的立場からの「育て上げ」ネットさんの取り組みについてお話がありました。
以下がその内容のメモになります。

------------【育て上げネット・工藤さんのお話のメモ】------------------------
(NPOが本質的に背負うもの)
受益者とコスト負担者が異なる場合が非常に多い
・共感を軸にしたマネタイズ(無収益事業の収益化)が重要になる
・単体マネタイズはかなり個人力⇔組織力

コラボレーション
・ビジョン(社会課題の解決)の共有(第一義)
・お金の話から逃げない(第二義)
・無理だと思ったら無理して組まない(関係は壊れない)
・アウトプット/情報の利活用は原則自由


特定の課題を解決したい

自分/自分たちだけではできない

課題解決への共感/シェアによる取り組み(コラボレーション)

○シェア
・成功モデルを創る
社会化させることに躊躇がない

・目的は社会課題の解決
でも、やっぱりお金から逃げない

<シェアNPO的コラボレーション事業の事例>
◎キフボン・プロジェクト
( 株式会社バリューブックス×「育て上げ」ネット )

若者自立・就労支援のために教育プログラムを提供したい「育て上げ」ネット。でも資金をどこから調達するかということが課題。
いっぽうで古本販売のバリューブックスは古本の調達に課題があった。古本業界はブックオフのブランド力が強すぎて、ほとんどの人が古本をブックオフに持っていってしまい、高めの買取価格にしてもなかなか調達が困難。
そこで立ちあがったの『キフボン・プロジェクト』!
『キフボン・プロジェクト』(http://www.kifubon.jp/)を通してバリューブックスさんに古本が売られた場合、その買取金額の一部が「育て上げ」ネットへと寄付され、若者たちの自立・就労支援にあてられるという仕組み。
このプロジェクトを通して集まった2012年6月30日時点までの寄付総額は3,847,753円(1,836人から151,229冊の本が集まった)です。

若者自立・就労支援という目的を達成するために、これまで若者自立・就労支援に関わりのなかったバリューブックスさんと手を組み、共感を軸とした『キフボン・プロジェクト』により見事に若者自立・就労支援のための資金を獲得し、さらにバリューブックスさんも課題としていた古本調達を解決できたという、まさにシェアNPO的なプロジェクトの成功事例!
さらにこのノウハウを決してクローズにせず、みんなにシェアされているところがシェアNPO的な特徴です。

ちなみに「育て上げ」ネットの工藤さんもこの日のセミナーのことをブログの記事にされているのでよろしければご覧ください。↓
http://ameblo.jp/sodateage-kudo/page-2.html
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セミナーの中でも、「これからのあるべきNPOのカタチはシェア型NPOなのか?」という議論がありました。
基本的にはシェア型NPOが主流になっていくと思われます。
ただその一方で、いまだに原子力発電所再稼働問題や米軍基地移転、教育問題などの骨太のテーマに対する取り組みはオルタナティブな活動が多く、必ずしもオルタナティブNPOが無くなるわけではないのではないか、と考えられます。

個人的には、確かに市民活動の源流はオルタナティブな活動にあって、たとえ主流に逆らう様な主張でも、本当に必要なことであればそれを主張して世の中を変えていくのがNPOのあるべき姿ではないかと思います。
ただ、その主張の仕方というのは旧来のオルタナティブ型の様な対立軸による主張ではなく、シェアNPO的な共感軸によるコラボ型の課題解決の取り組みによってなされるべきなのではないかという気がします。
そういった意味では、新しい時代のNPOのカタチというのは、オルタナティブNPOの気概をもちながら、シェアNPOの柔軟なコラボによる問題解決手法を実践できる、ハイブリッド型NPOなのではないか?と思いました。

皆さんは新しい時代のNPOのカタチについてどう思いますか?
皆さんのご意見もお聞かせいただけたら嬉しいです。(^-^)

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