ケミストの日常

大学化学系教員の日々考えること。
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アカハラ“加害者”を支援

2010-02-21 16:12:26 | ハラスメント
アカハラ“加害者”を支援 処分基準なく複雑化…再発防止へ
2010/02/15 13:18
 大学などの研究や教育の場で発生し問題となっている「アカデミックハラスメント」(アカハラ)。この対策に取り組むNPO法人が今春から、“加害者”の復職支援に乗り出す。アカハラの処分は、大学側に統一した基準がないことが多く、処分を受けた教員らが、逆に大学を訴えるなど、トラブルが複雑化するケースが増えている。NPO法人は再発を防ぐ研修制度を大学側に提案し、処分を受けた教員に復帰の道筋を開くことが被害防止につながると考えたという。

 取り組むのは、平成13年に設立されたNPO法人「アカデミックハラスメントをなくすネットワーク」(大阪市)。ネットワークは年間約250件の相談が寄せられ、これまで、被害者へのアドバイスや支援を行ってきた。

 設立当初はアカハラの概念すら大学側に理解されなかったが、徐々に取り組みが進んだ。文部科学省が19年度に行った調査では全国の国公立大学のうち約70%が専用の相談窓口を設置し、約58%が全学的な調査機関を設けている。

 こうしたなか、アカハラで教員が処分されるケースが増加する一方で、処分に不満を持つ教員が、「理由なく不利益な扱いを受けた」として逆に「大学によるパワーハラスメント」を主張し新たなトラブルが発生するようになったという。

 和歌山大学では、懲戒処分を受けた50代の教授が昨年6月、大学側に損害賠償を求め提訴。教授は処分を受けた内容については非は認めた上で、「大学当局と教授会から二重の処分を受けた上、退職勧奨など執拗(しつよう)な嫌がらせを受けた」と主張している。

 同種の訴訟やトラブルが昨年、全国的に目立ったため、ネットワークが事例を分析したところ、大学側の対応も不完全で、アカハラを指摘された教員の処分や復帰の基準がないケースが多かった。

 このため、ネットワークには、アカハラの再発を防ぐ研修制度を確立し、復帰の道筋を開けばトラブルが減り、被害防止にもつながると判断。昨年末、教員研修用のDVD教材を作成し、具体的な行動の仕方も盛り込み、学生のリポートを「なっていない」と突き返すのではなく、「ここを直したら」とアドバイスする▽学生に不満が募っても机をたたいたりせずに休憩を取って心を落ち着ける-といった改善方法を提示した。

 同法人の御輿久美子代表理事は「アカハラをしてしまった教員でも自分の問題点を知って改善すれば、復帰していいはず。処分だけでは解決しない」と指摘している。

 【用語解説】アカデミックハラスメント

 大学など研究・教育の場で行われる権力を利用した嫌がらせ。(1)機器や予算を使わせないなどの研究妨害(2)指導を放棄したり不公平な評価をしたりするなどの進路妨害(3)退職を迫ったり意味のない仕事を強制したりする職場いびり(4)暴力的言動や悪口、中傷などの身体的・精神的傷害-などがある。権力を持つ研究者が研究計画の決定や人事権などに幅広い権限を持っていることが背景とされ、加害者に嫌がらせの意図がない場合も含まれる。


記事のタイトルの加害者がダブルコーテーションでくくられているのが、意味深ですが。

あがっている具体的事例が

> 和歌山大学では、懲戒処分を受けた50代の教授が昨年6月、大学側に損害賠償を求め提訴。教授は処分を受けた内容については非は認めた上で、「大学当局と教授会から二重の処分を受けた上、退職勧奨など執拗(しつよう)な嫌がらせを受けた」と主張している。

ということで、多分世論から教員への共感を受けずらいなと思います。

しかし、一言でアカハラと言ってもその実態は様々です。
一方で、痴漢の例もそうですが、現行犯逮捕されると、その先の当人の人権は無きに等しいものとして扱われます。
それが、えん罪だったとしても。
アカハラ(大きくは教員による学生・生徒への不利益行為)においても、子ども・親の訴えのみが独り歩きして、当事者の人権が蹂躙されているケースは多々ありそうです。



大学内での処分に限定しても。
学生からハラスメントの訴えがあって、大学の関係部署が事実関係を調査しようとする過程において、大学も当然、こういった処理には不慣れです。
大学には警察・検察のような捜査権はありませんから、事実関係の調査には限界があります。

聴取を受けること自体をハラスメントと認識する、は論外としても、密室での言った言わない、やったやらないの調査です。
事実関係が対立すれば、大学は難しい対応を迫られます。

事実関係の認識が異なる場合、「加害者」教員への聴取の過程でハラスメントがなされる、なんてことは起こりえそうです。
また、学生の主張のみを聞いての処分は、事例によっては教員へのハラスメント(というより不法行為)にもなりえます。



処分被害からの回復訴訟の記事のように、表向き"加害者"とされている人が"被害者"として大学を訴える、というケースもあります。

その時かいたコメントを再掲(一部修正)。
いわゆるハラスメント問題の分類です。

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私も異動経験があるのでわかりますが、異動すぐの教員や新任教員がハラスメント問題に巻き込まれるケースは、ひと昔前より増えてる感じがします。

当人に明らかに問題がある場合は論外として。

昔と違ってメンタルの弱い学生が増えた印象です。
また学生の権利意識もしっかりしてきてるので、出身研では問題の無いことでも違う大学では問題になる、そういったこともあるのだと思います。
公募などで選ばれる教員はアクティビティーが高いことが多く、他の研究室より学生へのロードがかかって、学生がついていけない状態になりがちです。
それを気付けずに突っ走ると、一気にハラスメントまで話が進みます。
これは一般教員も巻き込まれかねない事例です。

特に、最近の教育現場では親/生徒の無理が通り学校が振り回されるようになっています。
自分が悪くても教員が謝らせられる、そういった状態が子どもにとっての日常になれば、当然大学でも同じ意識でいるでしょう。

それとは別に、組織的な「陰謀」のようなものもあるのではないか、なんてことも話を聞くなかではありますね。
---


「当人に明らかに問題がある場合」
これは程度にもよるけれどお辞めいただくしかない。
若しくは反省しての出直し。
実際には、ここの処分が中途半端で、復職して後の「不利益」による二重処分を不服とした訴訟で大学が負けるケースがあり、どうもそれ以降、処分が厳格化した(懲戒免職になりやすくなった)ような気がします。
それによって影響を受けるのが次の分類なわけで。

「教員と学生の意識のすれ違い」
これは問題が大きくなる前の対応で、学生・教員双方をトラブルに陥らないように対策をとるしかない。
この事例で処分に走ると遺恨が残って、問題化するような気がします。


「いわゆるでっち上げのハラスメント」
学生によるでっちあげ、研究グループ・学科・学部単位での陰謀、こういったものに対しては「加害者」とされる教員は毅然と対応するしかない。
教員にも自らの正当性を主張する権利があります。

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東京大学大学院でのアカハラ、根が深く今も被害回復していません (西川美幸)
2010-07-07 05:13:15
ノーベル賞も関係する素粒子理論分野ですが、私は長年アカハラを受け、学問の自由や言論・出版の自由、職業選択の自由を奪われました。豊田亨死刑囚を輩出した物理学科の元公務員の教授達は、誰も阪神大震災を予報できなかったのに、税金を使った賞を受けています。研究職の就職には指導教授などの推薦書がほぼ必須でした。教授の子息等が在学中から私の20倍の給与の研究員に税金で採用された例も多いようです。反面、大学院入試問題の不備を指摘したところ、教授はお認めになりましたが私はその後一度退学させられました。海外出張など、希望しても一度も行かせてもらえず、提出論文は数年間無視され、22-29歳まで平均年収は15万円程度でした。大卒後7年間、就職していたら稼げていたはずの2千万円を失いました。独占禁止法違反というか、公務員職権濫用罪ではなかったのでしょうか?(詳細はURLのほか「nisimiyu」で検索してみてください)

こちらの被害は回復していないのに、なぜ30年前からまったく実証されていない「超対称性粒子」の研究者は准教授以上になれているのでしょう?税金を使った研究なら、せめて日本物理学会予稿は無料公開して欲しい。現状で、なぜ無給だった私のだけ無料公開されていて、税金で研究していた人(加害者)のが有料でないと見られないのか理解できません。特許になるような分野でもありませんし。加速器には1千億円近い税金を使う研究なのに、国立大学法人に採用されている誰が何を主張したのかすら秘密で、教授の縁故採用が多いのでは、学問の公平さが保たれる訳はありません。私は基本的人権を奪われたまま名誉回復もされていないのため、現在も、眠れないほどつらい思いをしています。
Unknown (chem@u)
2010-07-07 17:30:39
西川さん

ご本人ですよね。

http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200901074584564336
Read情報

http://www.phys.s.u-tokyo.ac.jp/TOSHO/hakuron/hak16.html
東大 物理学科 2005年(平成16年度)博士課程学位取得者論文題目

より
1975年6月 生まれ 
1998年3月 学部卒
2001年3月 修士修了
2004年9月 博士学位取得

http://spysee.jp/%E8%A5%BF%E5%B7%9D%E7%BE%8E%E5%B9%B8/1061396/
あの人検索スパイシー経由

http://www.kyoto-u.com/lounge/advice/html/200602/06020004.html
京大生のためのコミュニティサイト



と、たどってみると

○院生時代TA採用経験あり
○アカハラ調査委員会にてハラスメント認定されず(2003年くらい)
○学位は取得できている。指導内容には不満

という感じでしょうか。

研究がどうこう、という点については、異分野故に内容がわからず何も言及できません。

ハラスメントに関しても、事情もわからない状態では何も言及できません。
一般論でいうと、学位取得して5年以上経過しての現在、何ができるかというと難しいだろうなあ、と思います。

ポジションについても、全ての人が学振に採用されるわけではないし、素粒子分野でアカデミックポストに就くことの大変さを思えば、何とも言えません。



文面からは周りのことすべてが不満、というようにしか読み取れません。
あしからず。

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