本件、当初からその重大さがちゃんと伝わっていなかった、理解度が上がるにつれてだんだんとその意味が理解できるようになってきました。
かなり紆余曲折を経ましたけれど、おかげさまで、大学でこの件について講義しろ、と言われてもできるレベルまで理解度が上がったと自負。
本件何で混乱があったのか、というと、
1.BqとSvという二つの単位の関係の理解
2.桁合わせのmやμ、×10-6みたいなやつの理解
3.Svの単位の理解における甲状腺等価線量と実効線量の混同。
4.摂取モデルの特異性
だいたいこの四つの壁があって、私ら化学やってる人間が化学やってる時の手法で考えてしまった、という問題。
1.や2.は日常遭遇する問題で、単純に応用してしまったけれど、それでOKと思っていたところに大きな落とし穴。
等価線量・実効線量を資格取得のための丸暗記でしか理解してなかったから、ここで、ポカをしてしまっている。
ネットを見て回っても、ここで誤解してる件が多数。
そして、4の摂取モデルの特異性は完全に盲点と言うか、先入観にだまされていました。
化学物質の摂取許容量は、「生涯を通じて同量を摂取しても健康被害がないと推定される量」として定義します。
しかも、その定義の仕方は、動物実験で、害の認められないという量(無毒性量)からさらに安全を100倍見越すという、安全側に振って定義していました。
放射性物質についても同様に考えて、化学物質の「100倍の安全係数」に対して、放射性物質は安全マージンが低いんだな、非常時だからか、と思いこんでしまっていましたが、実は、「放射性物質は一度ばらまかれたら、その先は減衰していくだけ」というモデルで食品の摂取許容量が決められていました。
この特異性による計算とのずれについて、本来は何故?と思うところを、「等価線量・実効線量」の関係という分かりにくさが入ってきて、なんとなく誤魔化してしまった。
できるだけわかりやすく整理してみます。
ヨウ素131は摂取すると甲状腺に特異的に蓄積されます(摂取量の7〜数十%で年齢が低いほど大きくなる)。
その為、他の放射性物質に比べて、甲状腺への被曝量が格段に高くなります。
ヨウ素131の内部被曝で甲状腺の等価線量が100mSvの時でも、全身被曝の実効線量ではたかだか5mSvです。
ヨウ素131の人体への影響は、全身被曝によるがん発生率の増加で考えるのではなく、特異的に甲状腺への蓄積が高いことによる、甲状腺への影響を考えなくてはいけません。
team_nakagawaさんの「暫定規制値」とはでは
甲状腺等価線量換算係数(mSv/Bq)(放射性ヨウ素131〔I-131〕の場合)
成人0.00043幼児0.0021乳児0.0037
これ、mSv/BqではなくBq/mSvに置き換えます。
そうすると、
成人 2326 Bq/mSv
幼児 476 Bq/mSv
乳児 270 Bq/mSv
となります。
実は、これだけでよかったのです。
ことの重さを理解するには。
成人は2300Bq摂取すると1mSvの甲状腺への被曝になります。
乳児は270Bq摂取で1mSvに達してしまいます。
甲状腺等価線量の上限である1年間あたり50mSvに達するのは
成人 12万 Bq
幼児 24000 Bq
乳児 13500 Bq
です。
野菜・牛乳、水道水で検出されたと報道されたヨウ素131の濃度と比較してください。
最大で50000Bq/kgで検出された野菜中のヨウ素131。
100gで5000Bq、それだけで幼児の上限の20%に達してしまいます。
食品安全委員会が何故、各種食品の暫定規制値に踏み込んで数値を決めなかったのか、今後の推移(環境中のヨウ素131がさらに増加することがあるか)を考えれば、とてもじゃないけど、値を決めることはできない、そういった葛藤のあらわれでしょう。
なお、これを一日当たりでならす(365で割る)と
成人 320 Bq/day
幼児 65 Bq/day
乳児 37 Bq/day
これが、化学的な感覚で考えた時の摂取許容量です。
甲状腺癌は、100%致死の病ではありませんし、甲状腺等価線量50mSvで直ちに将来発がんするというわけでもありません。
食品安全委員会の資料を確認しても、「50mSvで問題があるという報告は無い」ということで、ここにもある種の安全マージンが多少は入っているわけですが、「健康に影響は無い」というここ一二週間飛び交っていた報道は余りに呑気です。
PS
正しく理解するうえで有用なアドバイスをいただいたMAKIRINさんに感謝します。
また大学教員の説明だから、と信頼をされて読まれていた方に、結果的に混乱させる間違った情報を発信してしまったことを、深くお詫びします。
かなり紆余曲折を経ましたけれど、おかげさまで、大学でこの件について講義しろ、と言われてもできるレベルまで理解度が上がったと自負。
本件何で混乱があったのか、というと、
1.BqとSvという二つの単位の関係の理解
2.桁合わせのmやμ、×10-6みたいなやつの理解
3.Svの単位の理解における甲状腺等価線量と実効線量の混同。
4.摂取モデルの特異性
だいたいこの四つの壁があって、私ら化学やってる人間が化学やってる時の手法で考えてしまった、という問題。
1.や2.は日常遭遇する問題で、単純に応用してしまったけれど、それでOKと思っていたところに大きな落とし穴。
等価線量・実効線量を資格取得のための丸暗記でしか理解してなかったから、ここで、ポカをしてしまっている。
ネットを見て回っても、ここで誤解してる件が多数。
そして、4の摂取モデルの特異性は完全に盲点と言うか、先入観にだまされていました。
化学物質の摂取許容量は、「生涯を通じて同量を摂取しても健康被害がないと推定される量」として定義します。
しかも、その定義の仕方は、動物実験で、害の認められないという量(無毒性量)からさらに安全を100倍見越すという、安全側に振って定義していました。
放射性物質についても同様に考えて、化学物質の「100倍の安全係数」に対して、放射性物質は安全マージンが低いんだな、非常時だからか、と思いこんでしまっていましたが、実は、「放射性物質は一度ばらまかれたら、その先は減衰していくだけ」というモデルで食品の摂取許容量が決められていました。
この特異性による計算とのずれについて、本来は何故?と思うところを、「等価線量・実効線量」の関係という分かりにくさが入ってきて、なんとなく誤魔化してしまった。
できるだけわかりやすく整理してみます。
ヨウ素131は摂取すると甲状腺に特異的に蓄積されます(摂取量の7〜数十%で年齢が低いほど大きくなる)。
その為、他の放射性物質に比べて、甲状腺への被曝量が格段に高くなります。
ヨウ素131の内部被曝で甲状腺の等価線量が100mSvの時でも、全身被曝の実効線量ではたかだか5mSvです。
ヨウ素131の人体への影響は、全身被曝によるがん発生率の増加で考えるのではなく、特異的に甲状腺への蓄積が高いことによる、甲状腺への影響を考えなくてはいけません。
team_nakagawaさんの「暫定規制値」とはでは
甲状腺等価線量換算係数(mSv/Bq)(放射性ヨウ素131〔I-131〕の場合)
成人0.00043幼児0.0021乳児0.0037
これ、mSv/BqではなくBq/mSvに置き換えます。
そうすると、
成人 2326 Bq/mSv
幼児 476 Bq/mSv
乳児 270 Bq/mSv
となります。
実は、これだけでよかったのです。
ことの重さを理解するには。
成人は2300Bq摂取すると1mSvの甲状腺への被曝になります。
乳児は270Bq摂取で1mSvに達してしまいます。
甲状腺等価線量の上限である1年間あたり50mSvに達するのは
成人 12万 Bq
幼児 24000 Bq
乳児 13500 Bq
です。
野菜・牛乳、水道水で検出されたと報道されたヨウ素131の濃度と比較してください。
最大で50000Bq/kgで検出された野菜中のヨウ素131。
100gで5000Bq、それだけで幼児の上限の20%に達してしまいます。
食品安全委員会が何故、各種食品の暫定規制値に踏み込んで数値を決めなかったのか、今後の推移(環境中のヨウ素131がさらに増加することがあるか)を考えれば、とてもじゃないけど、値を決めることはできない、そういった葛藤のあらわれでしょう。
なお、これを一日当たりでならす(365で割る)と
成人 320 Bq/day
幼児 65 Bq/day
乳児 37 Bq/day
これが、化学的な感覚で考えた時の摂取許容量です。
甲状腺癌は、100%致死の病ではありませんし、甲状腺等価線量50mSvで直ちに将来発がんするというわけでもありません。
食品安全委員会の資料を確認しても、「50mSvで問題があるという報告は無い」ということで、ここにもある種の安全マージンが多少は入っているわけですが、「健康に影響は無い」というここ一二週間飛び交っていた報道は余りに呑気です。
PS
正しく理解するうえで有用なアドバイスをいただいたMAKIRINさんに感謝します。
また大学教員の説明だから、と信頼をされて読まれていた方に、結果的に混乱させる間違った情報を発信してしまったことを、深くお詫びします。












お役に立てて何よりです。
これから多くの人が氾濫する誤情報に惑わされず、正しくこの危機を理解することを望みます。