ケミストの日常

大学化学系教員の日々考えること。
HNはchem@uと省略してます。

教員免許更新講習・今年は昨年並みです>今年は大盛況

2010-08-14 11:24:41 | 教育関連
お盆休み中ですが、gremzの木が萎れない程度には更新。

「失職困る」教員免許の更新講習、今年は大盛況
2010年8月14日3時2分
 教員免許が失効しないように、大学などで授業を受ける免許更新講習が大盛況だ。昨年は申し込みが少なく、開催中止が相次いだ。だが、今夏は、民主党が訴えた制度改革を含めた議論がなかなか進まないこともあり、教員が講習に詰めかけている

 昨春、導入された免許更新制は、教員免許の有効期限を10年に設定。35歳、45歳、55歳を区切りに、それまでの2年間に大学などで30時間(必修12時間、選択18時間)受講することが義務づけられた。全国で毎年10万人程度が対象で、大型の休みに大学などで開かれる講習を受ける。

 昨年は各大学などが免許講習の講座を開設したが、申し込みの段階で、ゼロや5人以下などの講習が出て、多くの大学で開催中止が相次いだ

 政権交代で更新制が廃止になるか見極めようと様子見の教員もいたとみられる。このため、今年は講習数を絞り込む大学が増えた。

 民主党は昨夏の総選挙のマニフェスト(政権公約)で、現行の制度を廃止することを念頭に「免許制度を抜本的に見直し、養成課程を6年制(修士)にする」と訴えたが、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で見直しへ向けて具体的な作業が始まったばかり。更新制の存廃がまだ決まらないこともあり、状況が一変した。

 8月に6講習(定員200人)を開いた玉川大(東京都町田市)の場合、5月上旬の申し込み開始後、すぐに定員に達した。8月3〜4日に開かれた選択講習「円滑な対人関係を促進するためのコミュニケーション」を受けた2年後の春が期限という女性は「制度がどうなるかわからないけど、いまの状態だと、必ず講習を受けないと職を失うので」と話した。(編集委員・山上浩二郎)


うちの大学だと、昨年より今年の方が受講者少なめ、と聞いたような。
この記事でも、「免許更新講習が大盛況だ」「教員が講習に詰めかけている」の根拠が何か示してない。
「玉川大(東京都町田市)の場合、5月上旬の申し込み開始後、すぐに定員に達した」って1大学の事例だけで、こんな記事書くのなら、「飛ばし記事」と言っていい。

これって、文部科学省あたりで統計情報でもでてるのかな?

平成21年度免許状更新講習の受講申込受付状況について

とりあえず目につくとことではこの程度。
これって、中間報告だし、どうやら21年度の確定の受講者数、合格者数ってのは見当たらないみたい。

それでも、この記事の信ぴょう性については、文部科学省の出してる数字からある程度予想がつく。



受講対象教員数は学校教員統計調査 から数字を拾ってこれるので、最新のH19年度調査を元に考える。

受講対象教員は、昨年度は2011年3月修了確認期限の32歳、42歳、52歳の人、今年度はこれに2012年3月修了確認期限の31歳、41歳、51歳の人が追加(H19年度調査時の年齢)。

2011年3月修了確認期限の人数は高校20700人、中学19185人、小学35597人、合計で75482人。
特別支援等と非常勤なんかで増えたと考えても最大8万人の教員が受講対象。
これに特別支援5318人と幼稚園5029人に、非常勤もふくめると、多少の異動があったにしても多分最大9万人の教員が受講対象。

2012年3月修了確認期限の人数は高校18213人、中学17292人、小学33229人、合計で68734人。
同様に8万5千人位。



講習は必修12時間に選択6時間1セット×3。
必修の受講者は1年目に全員が受講したら、2009年は非常勤等も含めて9万人程度と見積もり、2010年は8万5千人程度とみつもり。
選択も同じく、2009年度に全部受講したら9万人×3で27万人のべ数、2010年度は25万人のべ数。

後は、1年目と2年目の受講バランスをどう取るか、にかかってくる。

上のリンクの2009年度の5月29日現在の申し込みは。
必修921講習中196が受付を開始していない状況で募集定員117,249人で申し込み51,593人。
選択8,358講習中2,056が受付を開始していない状況で募集定員624,898人で申し込み127,164人。
なお、予備講習で4.5万人が受講済み。



2011年3月修了確認期限者は2009年度までに、のべ22万3千人が受講済み。
本来必要な受講のべ数は必修9万、選択27万程度の合計36万程度。
2009年度5月29日以降の申し込みも一定数あるはずで(受付を開始していない講習が残っている)、必要な講習の2/3は1年目に修得していることになる。
今年の受講は、取りこぼし(2年目に受講を回したもの)の回収のみ。

2012年3月終了確認期限者の今年の受講動向は読めません。

一般論としては、昨年は1年目受講者の実が対象であったのに対し、今年は1年目と2年目の受講者が対象になるから、単純には倍増するはず。
今年が昨年に比べて格段に受講者数が増えるというのは、ある意味当たり前です。

ただ、2011年3月期限の方が、あらかた受講を終えている現状が示すように、実際には一年目に多めに受講するという受講者心理のため、二年目の受講数は絞られるので、倍増まではいかない。

見えてる統計数字だけで考えても、「免許更新講習が大盛況だ」「教員が講習に詰めかけている」には違和感があります。



講習の受入キャパも2009年度は開講講習受入可能数が必修11万7千人、選択62万5千人と、実際の受講予定に比べると相当に余裕を持たしていました。

2010年度開講を見ると
必修領域 通信等を含む 586講習88,220人以上
選択領域 通信等を含む 5,442講習136,860人以上(1つずつでは41万人相当)
と2009年度より絞っています。

うちの大学でも、受講者数の多い講習と少ない講習の差は大きいです。
不人気講習の開講見合わせはある意味あたりまえでしょう。



結局のところ

免許更新講習が大盛況だ → 統計をみる限り昨年と同程度以下と予想
昨年は申し込みが少なく、開催中止が相次いだ → 必要以上に開講していただけ
政権交代で更新制が廃止になるか見極めようと様子見の教員もいたとみられる→昨年はこういった教員は数字上はいなかった
今年は講習数を絞り込む大学が増えた。 → 講習あたりの受講者数は増えて当然

というだけで、何も面白くない記事だ、と。

時系列としては、民主党が衆院選で勝ったのは8月末。
講習見直しの話題がニュースになったのは、9月に入ってから。
この頃には、ほとんどの講習は終わっていたし、9月以降開催の講習も、既に申し込み受け付け完了。
キャンセルしてもキャンセル料が発生するし、制度廃止までどのくらいかかるかわからないし、2009年度において、「様子見」はおよそありえない。

今年は制度廃止をにらんでの様子見、で受講者数が減ると予想されていた。
実際のところは昨年並みか昨年以下。

この記事、細切れにした部分部分では、それなりに事実をつないでいるけど、全体を通して眺めると出鱈目、ってことになる。
なんかね、言葉の端っこつかんでの、教員批判なんてのが、でてくるんじゃないかな。
ジャンル:
ウェブログ
キーワード
文部科学省 飛ばし記事 中央教育審議会 教員免許更新講習
コメント (0) |  トラックバック (0) |  この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック
« お盆休み中 | トップ | 卒業後数年は新卒扱いに…日本学... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。