ケミストの日常

大学化学系教員の日々考えること。
HNはchem@uと省略してます。

国立大学法人 教員の給与

2011-01-26 18:00:34 | 公募・異動
生駒日記さんの国立大学助教の給料という記事で、一年目の源泉徴収の中身が公開されていました。

大学教員は、研究できる環境があればそれでいいと考える人がマジョリティーで、給与への執着も、それほど強くない人が多いようです。

実際、私も、助手になって数年目、仲良くなった事務のおばさん(お姉さん)から、「頭はいいのかもしれないけれど社会人能力ゼロよね」と弄られながら、定年退職した親を扶養家族に入れる手続きのアドバイスを頂いたりしてました。

その後、教員問題を考えるうちに教員の給与にも関心を持って色々調べるようになりました。

そんなわけで、うちのブログでも以前、国立大学教員の給与について、少し考えたことがあります。

教員の給料

教員の給料2

以前ブログペットのアクセス解析を見てたら、意外とここら辺の記事への検索ヒットがコンスタントにあって修正が必要だと思いつつ放置してましたが、その後のカオス状態を経て落ち着いてきましたし、生駒日記さんに触発されもして、改めて整理しておきます。

とはいえ、ぼちぼち若手と言いづらくなる年齢になってくると、昇進・昇給のタイミングで個人差がだいぶ出てきて、自分の事例を出すのは気が引けるので、典型的な例を考えてみます。

ガラス張りとはいえ、ここまで、晒してしまっていいのかという不安はあるのですけれど(笑)



大学教員の俸給表はどこの大学も公開してるはず。

それで、どこの大学も差異はほとんどないはず。

例えば東大の俸給表は東京大学教職員給与規則の中に
2 第11条関係 教育職俸給表
イ 教育職俸給表(一)

として掲載されています。

1級が教務職員、2級が助教、3級が講師、4級が准教授、5級が教授です。

教員の給与は各級ごと勤続年数・経験等によって号俸が決められており、勤続年数ごとの昇給は号俸のアップということになります。



ただ、新任教員が何級何号俸になるのか、昇給は、昇格時の号俸変化は、といった情報を押さえないと、この表だけでは何も見えてきません。

で、大概の大学の給与規定では「新たに採用する者の俸給は、その者の学歴、免許・資格、職務経験等及び他の教職員との均衡を考慮して決定する。(東大)」などとなって詳細は見当たらないことが多いのですけど、ざっと検索したところ京都大学の規定が必要十分な情報を網羅していたので。

国立大学法人京都大学教職員給与規程

ここまではどこの大学でも似たような情報を公開してるわけですが京大はさらに

国立大学法人京都大学教職員の初任給、昇格、昇給等の基準に関する細則

も公開していました。

この中に「教育職俸給表 初任給基準表」というのがあって、
助教助手
博士課程修了(大学6卒後相当) 2級 37号俸
博士課程修了 初任給 2級 31号俸
修士課程修了 大学6卒 専門職学位課程修了 2級 13号俸  
大学卒 2級 1号俸

となっています。

「博士課程修了(大学6卒後相当)」と「博士課程修了」の違いは何だ?という不明な点は置いときます。

博士課程修了ですぐに職につけば、2級 31号俸ですから

教員の俸給表から初任給「283,200」と出てきます。

ポスドク経験が数年ある場合、それを研究経験年数としてどう数えるかで、初任給の号俸が変わるようですが、これ以上下がることはないという一つの目安になると思います。

ここらへん、大学ごとの違いはあるかもしれませんが、詳細はわかりません(以前調べた時は29号俸だった記憶)。



で、年ごとの昇給はどうなるか。

2006年改正以前の旧俸給表では、一年一号俸ずつ時々二号俸特別昇給と、ある意味わかりやすかったのですが、昔の一号俸を四号俸分に分割して昇給区分を色々設けて、移行期のどさくさもあって、ここ数年はカオス状態でした。

新号俸への移行が2006年4月、で、給与ベースが基本的に引き下げ。

引き下げ分は、原給維持でも、新給与額が原給以上になるまで昇給凍結。


ここまでが以前書いた内容。

実際には、さらに、一年の昇給停止、三年の昇給ペース半減、といった処置がありました。

これによって多くの教員が基本給上がらず、ボーナス減って、天引きは増えて、手取りが減って、何故だろうと思う教員がほとんどだったのではないでしょうか。

※ 政治の世界で公務員給与削減といった話題がありましたが、実はこういった事情でここ数年、公務員個々の給与(大学の給与ベースも公務員準拠)は上がらず、高級取りは定年で退職ということで、全体的には下がっているはず。

これがそのまま固定化されるのではないかという不安があったのですが、さすがにそういったことは無く、ようやく、この特別移行期が終わって、各大学通常の昇給ベースに戻っているはずです。



京大の昇給は
第29条 教職員の勤務成績に応じて決定される昇給の区分(以下「昇給区分」という。)は、第27条に規定する勤務成績の証明に基づき、当該教職員が次の各号に掲げる教職員のいずれに該当するかに応じ、当該各号に定める昇給区分に決定するものとする。この場合において、第4号又は第5号に掲げる教職員に該当するか否かの判断は、総長の定めるところにより行うものとする。
(1) 勤務成績が極めて良好である教職員 A
(2) 勤務成績が特に良好である教職員 B
(3) 勤務成績が良好である教職員 C
(4) 勤務成績がやや良好でない教職員 D
(5) 勤務成績が良好でない教職員 E


別表第8 昇級号俸数表(第29条関係)
をあわせると
A=8以上、B=6、C=4、D=2、E=0

ABCDEの区分をどうするかは流石に見当たりませんが、普通の勤務状態ならC区分ですから4号俸アップ。

「2級 31号俸」の初任給を受けた人は4号俸アップですが、一年目は1月昇給時には勤務が12カ月に満たないので、多分期間割して3号俸アップの「2級 34号俸」

助教の通常の二年目給与「291,400」となります。

以降、1月を迎えるごとに同様の昇給。



昇格時はどうなるかというと、こちらも京大に規定が。

第20条 教職員を昇格させた場合におけるその者の号俸は、その者に適用される俸給表の別に応じ、かつ、昇格した日の前日に受けていた号俸に対応する別表第7に定める昇格時号俸対応表の昇格後の号俸欄に定める号俸とする。
2 前2条の規定により教職員を昇格させた場合で当該昇格が2級以上上位の職務の級への昇格であるときにおける前項の規定の適用については、それぞれ1級上位の職務の級への昇格が順次行われたものとして取扱うものとする。


数年勤めて昇給を重ね「2級 46号俸」になったところで准教授に昇格すると、4級となって「教育職俸給表昇格時号俸対応表」から

「3級 26号俸」→「4級 14号俸」と昇格。

給与が「314,800」から「360,000」に大幅アップ。

旧俸給表から新俸給表になって、大きく変わったのが、この昇格による給与アップが顕著になったことでしょうか。



ここらへん、大学によってどんな資料を公表しているかはまちまちですが、基本的な考え方はそう違わないと思います。

この表をグラフにしてみます。




横軸が昇格前の号俸数、縦軸が昇格後の号俸数です。

グラフの傾きの変化で一目瞭然ですが、助教→准教授の昇格は53号俸未満で行わないと昇給レースに遅れることになります。

31号俸スタートなら53号俸に到達するのに22号俸分、5年前後です。

准教授→教授の昇格は50号俸未満でないとやはり昇給レースに遅れますし、一方で30号俸未満での昇格は事実上の特別昇給となります。

例えば、50歳教授で比べても、助手の期間が長くて号俸が上がってようやく昇格した教授より、号俸が低い若い時にとんとん拍子で昇格をした教授の方が、給与が高くなります。

通常はこれに加え、若いうちに昇格できる人物=昇給区分が良好で年4号俸以上の昇給を多くgetしてる、という可能性大で、さらに差が広がるのでは?



これが月給のうちの基本給の考え方です。

ただ、実際の月給は基本給よりも多くなりますし、月給を単純に12カ月分足しても、年収には届きません。

これの何故については、基本給以外があるからですが、時間があれば整理して書いてみようかと思いつつ、余りに晒し過ぎるのでちょっとどうしようかな、と悩み中です。




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2 コメント

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過去の経歴換算 (みちぱぱ)
2013-03-27 16:20:38
京都大学の初任給のことで少し気になることがあり、捜していたらこちらにたどり着きました。国立大学の場合、私立大から移るとその在職年数が1/2としか換算されないと聞いたことがあるのですが、京大の場合も同じなのでしょうか。規程をみてもわかりにくかったので、もしご存じでしたらお教え下さい。よろしくお願い申し上げます。
Unknown (chem@u)
2013-04-09 18:47:39
私にもちょっとわかりかねます。
民間から国立に移る人は対外給与が下がったといいますが、基本給自体がさがっているのか、勤続年数計算部分も過小評価されているのか、詳細を聞く機会もありませんし。
そのうち情報が入りましたらまた書いてみます。

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