陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

保護貿易主義に動こうとする身勝手な米国 : バイ・アメリカン法

2009-02-09 05:14:03 | 米国関係
 米国は、わがまま過ぎる。他国に貿易自由化を説いておきながら、調子が悪くなれば自国への輸入品を制限し、貿易保護主義に走ろうとする。他国に干渉しない普通の国がそうするのなら、国際的理解が得られる場合もあろう。だが、米国は我が国や欧州に対し繰り返し自由貿易を迫って来た過去がある。それを忘れたのだろうか。

 第二次世界大戦は、特定国が自国利益を確保するためのブロック経済化をやり過ぎて起きた。それを反省して、WTOが作られたはずだ。バイ・アメリカン法は、WTO協定に違反している。オバマ大統領は、その制定を阻止しなければ、益々世界の信用を失うだろう。


バイ・アメリカン 保護貿易主義は許されぬ(2月5日付・読売社説)

 世界不況が続く中、米国が保護貿易に走れば、景気回復にも悪影響を与える。かつての大恐慌を深刻化させた教訓を忘れてはいけない。

 オバマ米大統領は、保護貿易の封じ込めへ、強い決意で臨む必要がある。

 米議会下院が1月末に可決した8000億ドル超(約74兆円)の景気対策法案に、「バイ・アメリカン条項」が盛り込まれた。

 米国政府が発注する道路や橋などを建設・改修する公共事業で、米国製の鉄鋼を優先的に購入するよう政府に義務づける内容だ。

 景気悪化で住宅と自動車市場が冷え込み、米鉄鋼各社の業績は急速に悪化した。米国製の鉄鋼を公共事業に優先的に使用させ、業界を支援する狙いだろう。

 上院が近く採決する法案は、鉄鋼だけでなく、政府が調達する一般工業製品も、バイ・アメリカン条項の対象に加えている。外国製品を締め出すもので、露骨な保護主義といえよう。

 米国は戦前の大恐慌の際、バイ・アメリカン法を制定した。各国が対抗したことで、ブロック経済化が進み、貿易が縮小して危機が拡大した。

 これを反省し、戦後は貿易自由化が重視された。こうした流れの中で米国は、世界貿易機関(WTO)の政府調達協定で、日欧などに対しては、バイ・アメリカン法を適用せず、内外無差別とすることを約束した。

 バイ・アメリカン条項はこの協定に違反している可能性が大きい。「今後1年は新たな貿易障壁を設けない」という昨年11月の金融サミット合意も反古になる。

 日本や欧州が、米国に懸念を表明したのは当然だ。全米商工会議所なども反発している。

 オバマ大統領は3日、「貿易戦争の引き金を引くような条項が法案に盛り込まれないようにすべきだ」と述べた。各国の批判などを踏まえた発言とみられる。

 上院で法案が可決された後、下院との調整を経て、大統領が署名し、法律が発効する。大統領は、問題の条項を削除するように議会を説得すべきだ。

 金融危機が広がった昨秋以降、ロシアが自動車、インドが鉄鋼の関税を引き上げるなど、保護主義的な動きが相次いだ。

 米国で保護主義圧力が高まれば、こうした傾向に一段と拍車をかける恐れが大きい。世界不況も長期化させかねない。

 自由貿易を推進してきた米政権の姿勢が問われている。

(2009年2月5日01時43分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090204-OYT1T01146.htm
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政府調達情報 (政府調達情報)
2009-03-03 11:43:30
全国の政府調達情報(一般競争入札)を公開

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