シャーロットの涙

☆映画と音楽、その他、芸術鑑賞記録と残しておきたい日々の雑記☆

愛の嵐 ―無修正 ノーカット完全版- (1973)

2008-02-06 23:34:26 | 旧作等あれこれ特集上映もの
特集上映 リリアーナ・カヴァー二傑作選にて

シャーロット・ランプリングの作品でこんなに若い頃を見たのも初めてかもしれない。ブルーの瞳に痩せた体つきとショートヘア・・・退廃的な感じがする作品の雰囲気に、冷え切って傷ついた心を抱えた女性ルチア役がよく似合っていた。
あんなに痩せた体が美しいとは普段ならあまり思えない私なのだけど、彼女のどこかひんやりとした雰囲気は同じ女性としてもゾクゾクするほど魅かれるから、やはり男性的にもそそられるのかしら;

ホテルの夜間フロント係として働いているマックスには、他人には知られたくないナチス親衛隊出身という過去があった。しかし、運命の再会は突然訪れる。ユダヤ人ゲットーを管轄していた時代、支配する者とされる者との関係を越え、異様な愛の絆で結ばれていた少女ルチアが、高名な指揮者の妻となって眼前に現れたのだ。(作品資料)
恐怖心でいっぱいでその思い出から逃げ出したくなるほどなのに、彼女はマックスにそんなにも囚われていただなんて・・・なんだかアブノーマルな世界をしばし傍観しつつも、退廃的な映像と終始その場の温度差が感じられるような雰囲気に酔った感じ。
捕らえられた人達、しかもひと際ルチアの全裸にカメラを執拗に向け明かりで照らしたり、屈辱的にも見える行為を幾度となくしているにも関わらず、どこか優しげなマックス。しかしまた突然いたぶるかの様に殴ったりいきなり熱くなったり、彼はとても温度差が激しい。
それにサスペンダーだけの上半身裸体にメンズちっくなボトムで歌を歌うシーンなど、イヤにシャーロットは艶かしい。ガリガリの体に肉欲なんて沸くんだろうかと思ってしまうけれど、なんだかとても当時の年齢とは思えないほどの色気を放っていた。またジャムをむさぼる様も彼女はなんだかとってもエロティック。直接性的描写はあまりないにせよ、かなりの高揚感。まるで昼メロ;
でもやはりこれってアブノーマルな世界なんだろうけど、そのうちにその異様な絆が崇高な愛のようにも見えてきちゃったから、やっぱり酔っ払ったかも;笑

囚われていた時はただ服従していただけのルチアで、きっと恐怖心もたくさんあったろうし逃げ出すことばかり考えていたのかもしれないけれど、自由となった今は自分の意思で彼の元に戻る。たとえ昔の悲惨な毎日からすればやっと救われたであろう今の幸せな生活を捨てる事になっても。でもそんな生活こそ常に失う恐怖がつきまとっていたのしれない。自由になったとたんに不安にかられ心が寒くなるというか。かえって暴力的で傷つけられそうでも、どこか離れられない囚われの身の安心感の方がルチアには心地よいのかもと思ったり。

過去に戻ったような軍服姿のマックスと天使のような少女ルチアが最後に向える結末は哀しいけれど、どこかそういう結末を2人は望んでいたようにも思えてきた。
自分のツボをしっかり押えるような(笑)ダンスシーンあり、オペラ魔笛シーンあり、色彩を抑制したような映像がなんだか終始印象的だった。
官能的…というのとはちょっと違うかな。でも「ラスト、コーション」のような直接的な性描写よりは本作の方がもっとエロく感じたのだよな。ナチズムという狂気がそこにあったからかもしれないけど。
時間を隔てていま一度惹かれあい、愛の嵐に身を委ねる二人。
なんとなく、本作と「ラスト、コーション」が重なって見えてきたりして;比べるのもおかしいのだけど。
ラスト…も色のトーンが抑え目なところが気に入ったし、美術や衣装セットに目が向いた。音楽がなんだか仰々しく感じた面もあったけれどそれが印象的であった。それに対し本作は音楽はあまり覚えていないけれど、色とか空気感が冷たかったのが個人的には好みなの。
どこか昼メロちっくな「愛の嵐」なんて邦題だけど;「ラスト、…」よりはこちらの方がお気に入り度高し。なんせシャーロットだしww

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上映時間 117分
製作国 イタリア/アメリカ
公開情報 劇場公開(ヘラルド)
初公開年月 1975/11/
リバイバル →彩プロ-97.3
監督・原作・脚本 リリアーナ・カヴァーニ
製作: ロバート・ゴードン・エドワーズ
原作  バルバラ・アルベルティ アメディオ・パガーニ
脚本  イタロ・モスカーティ
撮影: アルフィオ・コンチーニ
音楽: ダニエレ・パリス
出演: ダーク・ボガード シャーロット・ランプリング
フィリップ・ルロワ イザ・ミランダ
ガブリエル・フェルゼッティ
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 '57年のウィーン、冬。身元を隠し、ホテルの夜番のフロント係として働く元SSのマックスの目前に、かつて弄んだユダヤ少女ルチアが今や高名な指揮者の妻となって現われる……。 (allcinema)
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10 コメント

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シャーロットつながり ()
2008-02-07 11:28:44
え? シャーロットって、ひょっとしてランプリングのことだったの? などと思ってしまいました。

私、公開時にこの映画を見て、しばらくシャーロット狂いしてたことがあります。やっぱり『愛の嵐』と『地獄に落ちた勇者ども』のナチス2作が最高でした。
雄さん (シャーロット)
2008-02-09 01:16:55
こんばんは。
あはは、ランプリングの事だと嘘でも言いたい;笑
(本当は蜘蛛です。爆)
いやー、彼女はまさしく小鹿。
雄さんが狂うのもわかる気がします。完全版がさぞかし見てみたいでしょうね;
そうですか・・・「地獄に落ちた勇者ども」・・・マイ見たいリストに加えさせていただきましたw
おぉ~懐かしい! (cinema_61)
2008-02-10 23:57:56
こんばんは。
「愛の嵐」とは・・・「地獄に落ちた勇者ども」も勿論観ました!
この映画のサスペンダーだけの彼女の裸体!ステキでした~数年後「スイミングプール」でも、見事な肉体を披露していましたが、「愛の嵐」の若々しさには!
シャーロット・ランブリングファンなので先日の「ゼロ時間の謎」も観ましたが、さすがにお年を・・・
cinema_61さん (シャーロット)
2008-02-11 00:34:01
こんばんは。
本作のランプリングの若さに最初は驚きました。
そして若さゆえの美しさに見とれました。
危うい美しさという感じもうけましたけど。
無垢な少女をあんなに支配しちゃっていいのかー、マックスーーー!って思いながら(笑)見てました;
でで、ランプリングが出ていたのは「エンジェル」ではなかったですかね?0時間にも出てましたっけ??思い出せナーイ;
なつかすい。 (じぇにぃ)
2008-02-11 22:24:03
ほほお、今また上映中ですか。
『愛の嵐』シャーロット・ランプリング
上半身裸にサスペンダー&ナチの帽子ですね。
このシーンは印象に残ってますね。
何十年前だったのかしら。
『地獄に堕ちた勇者ども』ヘルムート・バーガー
ここらへんの時代の退廃美って凄かったような。
ごめんなさい (cinema_61)
2008-02-11 23:24:44
シャーロット・ランブリングのでていたのは「エンジェル」でした!申し訳ない・・・・・・
じぇにぃさん (シャーロット)
2008-02-12 01:07:41
そうそう、完全版が上映中です。多分じぇにぃさんがご覧になられたものよりもっと追加シーンがあると思われ…
私なんて公開の時はまだ幼児期ですよ。爆
でも、すごく好み。
シャーロットっていうハンドルネームも今からランプリングからいただいた…と設定変更できるならしたいものだ。笑
ビスコンティにも絶賛されていたようですね、この監督さん…
ああ、いたりあーん。意味不明に感動してます。爆
cinema_61さん (シャーロット)
2008-02-12 01:10:53
こんばんは。
すみませーん、突っ込んでばかりで;そうそうエンジェルですよね。あの冷ややかな目線は怖かったのですが、本作では冷え切った少女のおどおどした目が忘れられません;
でかだーん (かえる)
2008-02-14 21:12:13
ぼん。

先日こちらを読み、なんでラスト、コーションが引き合いに出されるんだろうと疑問に思ったんですが、後で、ラスト~をアジアのラストタンゴインパリ、愛の嵐と表したものがあったと知って納得。

そんな私はどちらにもさほどハマらず。

でも、シャーロットさんのサスペンダー姿にはもちろん衝撃を受けましたー。
ラスト・・・ (シャーロット)
2008-02-14 23:03:58
かえるさん♪
この頃、映画を一日見るヒマをあまり作れなくて、まず新作よりも旧作を見ようと思っていたので、この本作は初日の初回で見たわけですよ。で、フィルムのしおりなんてーものをいただいたのでした。
それでー
…コーションはたまたまその後すぐ、近くのシネコンでレイトショーで見たわけです。
で、両作を見終わった後レビューを書いてるうちに2人の絡むシーンが同時に頭に浮かんだのでして;
私はそんな表記は知らなかったんですが、きっとかえるさんには早かれ遅かれ突っ込まれるだろーとは思ってましたえ。笑
なんとなくですが、きっとラスト、…は、かえるさん好みではないのだろうなあと思ってはいましたけど;本作もさほどハマラズですか…。
なんか、シャーロットさんのサスペンダー姿、、、って書かれると私がそういう姿をしたかのようで、自分でもドキリといたしました;う。笑

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