シャーロットの涙

☆映画と音楽、その他、芸術鑑賞記録と残しておきたい日々の雑記☆

ラスト、コーション

2008-02-14 23:22:39 | 映画「ら」行の作品
ヴェネチア映画祭グランプリ受賞作品

「ブロークバックマウンテン」では静かなる大地で魂同士の結びつきを魅せてくれたアン・リー監督。話題性にものってこの作品にも早々注目をしてきたけれど、私的には音楽のアレクサンドル・デスプラの起用の方がもっと期待度が大きかった。
デスプラといえば・・・最近の話題作はざっとこんな感じ。

(2007)
ライラの冒険 黄金の羅針盤  ラスト、コーション  マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
(2006)
ファイヤーウォール  クィーン
(2005)
ホステージ   シリアナ  真夜中のピアニスト カサノバ  ママが泣いた日
情痴 アヴァンチュール
(2004)
コルシカン・ファイル  記憶の棘
(2003)
真珠の耳飾りの少女

私自身かなり惹かれる作曲家。でも・・・正確に言うなら惹かれる作曲家「だった」;
最近はシネコン鑑賞となるような大作系の作品をあまり見てないのだけど、その理由の一つに音楽が過剰すぎるのが最近耳障りでイヤだなと思う事が増えちゃったからなのだな。もちろん、全部が全部そうではないのだけど;
今回も印象的なフレーズが今も尚、頭の中で鳴り響いてる感じ。それ自体はとってもいいフレーズではあるのだけど、今回はシネコン鑑賞の為結構な大音響でまさにその過剰気味な音楽に思えてしまったの;サスペンス的な物語の流れからしてシンフォニーは当然心理操作を担うスコアだったりするのだろうけど…もっと抑制されていた方が私は好きかも。
むしろデスプラの音楽ではない歌…日本料理店でタン・ウェイがトニーに聞かせる歌「天涯歌女」の方が印象的。これは1930年代の上海が舞台の映画「街角の天使」という映画で歌われた曲らしい。

個人的に注目した点はその他に衣装やセットや小道具等の美術。艶やかなチャイナドレスとはっきりクッキリの化粧・・・上流階級のマダム達の醸し出す色気はむせ返りそうなタバコの煙と相まって、途中で頭が悪い意味でクラクラしてきてしまった;笑
どうしても昼メロのように思えて仕方がなくて、中国の映画史上衝撃的なシーンの連続と言われる濡れ場もさほどツボにはまらず。どうせならぼかしもいらないのにとは思ったけれど;

昼メロちっくと思ってしまった原因は私の場合、多分音楽に他ならないのだな。
せめて「ブロークバックマウンテン」くらいの抑え目な曲使いであったらもっと映像の詩的な部分に目を持っていけたのかもしれないけど。いつもなら気がつけるちょっとした心の機敏に、音楽が邪魔して気がつかなかったみたい;
何度も言うけど個人的には映画に「詩」的な要素を求めてしまうので、過剰さがあるとどうも傍観してしまう。普通は逆よね;
・・・といいながらも、俳優陣の放つ映画に対する真撃な姿勢を感じ取る事も出来ていたし、とてもいい仕事をしていたと思える。役に対する考察もそれぞれがきっと熟考したのであろう演技だと思えたもの。元々こういう禁断の愛とか三角関係みたいな、それこそ昼メロで出てきそうな恋愛って自分の中では「好き」(笑)な方ではあるんだけど、見せ方がもうちょっとクールな狂気があった方がいい。例えば「愛の嵐」みたいな2人のような。

ジトッとした湿気をたっぷり帯びたようなアジアの風という印象。天気も激しく変わるような。例えるなら、雨もしたたるというよりは豪雨。嵐。風も台風並み;
なんとなく自然をもう少しスクリーンから感じ取りたかったなって思ったりした私が一番印象的だったのは、ワンがバスの中から身を乗り出して雨に当たるシーンだった。
個人的にはもっと渇いた空気を欲してしまったかもしれないけれど、アン・リー監督の風には手ごたえをしかと感じ、それに胸を打たれたのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
製作年 : 2007年
製作国 : アメリカ=中国=台湾=香港
配給 : ワイズポリシー
上映時間 : 158分

監督 : アン・リー
原作 : アイリーン・チャン
出演 : トニー・レオン 、 タン・ウェイ 、 ワン・リーホン 、
    ジョアン・チェン 、 トゥオ・ツォンホァ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本軍占領下の1942年の上海。傀儡政府のスパイのトップであるイーは、かつて香港で出会った女性ワンと再会する。数年前、香港大学の学生だったワンは、抗日に燃える演劇仲間たちとイーの暗殺計画に加わっていた。その時、イーが突然上海に帰ったことで計画は流れたが、レジスタンス活動を行う組織は、上海に戻っていたワンに再びイーの暗殺計画への協力を求める。ワンはイーに近づき、彼の愛人になることに成功。やがて二人は…。(goo映画)
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18 コメント

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こんにちは! (由香)
2008-02-15 18:26:09
お邪魔します~♪
シャーロットさんは音楽に注目して鑑賞されたんですね。
私は主役二人の心の動きに注目して鑑賞しました。
で・・・この映画はかなり評判がいいようですが、私はイマイチだったかなぁ~
どうも二人が何考えているか分からなかったし、大好きなトニーが演じたキャラが好きじゃーなくって・・・引いちゃった~
例のシーンも・・・長く感じたなぁ~
出巣麩羅 (かえる)
2008-02-16 02:04:48
わはは。私もシネコンで観てしまったので、音楽はちいとうるさかったです。
「情痴 アヴァンチュール」くらいひかえめな方がむしろいいですよねー。
これはまぁ、ドラマ内容にあわせると、激しい音楽にせざるを得ないのでしょうか?
アレクサンドル・デスプラの音楽は、「真夜中のピアニスト」と「記憶の棘」 あたりがとびきり好きです。
「カサノバ」も好みだったなー。
「陽のあたる場所」なんかもめちゃめちゃ控えめ、ほとんど音楽なんてなかったじゃんっていうくらいのものがむしろステキでした。
あと、シャーロットさん!「愛のエチュード」はご覧になってます?
この音楽と映像の美しさはシャーロットさんにためしてもらいたい系なんですがー。コモ湖ー。
って、全然、色戒の話題がないじゃーん。
シャーロットさん☆ (mig)
2008-02-16 11:36:43
こんにちは

うーん、シャーロットさんのツボにはあまりこなかった
のかな?
確かにじっとり湿気ある作品
わたしは見事にどっぷり浸かって入り込んじゃった。
比べるのも違うけど前作『ブロークバック~』よりも
好みでした~★
由香さん (シャーロット)
2008-02-16 17:23:15
こんにちは。
人物に焦点を合わせようと思うと、音楽がじゃーんとなって、うるさいのぉ~なんて…追っかけるのが結構大変だったりして、繊細な心理面を表す表情とか仕草とか大事なものを見逃しちゃった感じかも;
ここは黙って見せてくれよーと思うと、またジャーンとなったり、あの印象的なフレーズがリフレイン。
もっともっと静かであったらあの性交しーんだってもっとクールに響いたんだと思うんですよね。
もっと狂気があったっていいとさえ思ったのに、どうも変な甘さを感じてしまったかも;
甘さはここぞというときに出して欲しいのに、ちょっとツボハズレでした。

トニーが好きな人は、目の前で自分の夫が愛人を抱いているような気分になって嫌悪しちゃうんでしょうか。。。どうですかねえ。。。
天麩羅 (シャーロット)
2008-02-16 17:34:43
かえるさん
にいはお。シネコンでは見たくなかったかもー;
音量を絞りたくなるんですよぉ。
天麩羅…ぢゃなくって、デスプラさんの音楽ってすこぶる美しいじゃないっすか。記憶の棘なんてとってもうっとりしたし。(真夜中のぴあにすとって実は私は未見なんですよね;なんでだろう。爆)
だから、音楽にちょっと期待しすぎちゃったのかもしれないです。まあでも、やはり物語上あの位の演出は必要だったのかもしれないですね;

ところでデスプラ?デプラ?どっちなの?むー

でで、愛のエチュードってもしかしたら私見たかもしれないんですが、ほとんど記憶にないんですよ;
以前はあまり映画に入れ込んでなかったし。もう一度ちゃんと見てみたいなあ。

本作でももうちょっと自然を感じたかったなあ。
中国ならではの自然の壮大さとか。で、羊が出てきたりして・・・ブロ山まんま・・だ。笑


migさん (シャーロット)
2008-02-16 23:31:23
んー、migさんならきっとこういう作品はお好きなんだろうなってよくわかりますよ。
話としては結構緊張感の連続で面白いし、惹き付けられる要素がたくさんあったと思います。
私はアジア作品というともっと毛色の違う監督さんの作品が好きだったりするので、まずそういう監督作品頭にも浮かんでしまったんですよね;
それにアジア作品で甘い恋愛ものって得意ではないんですよ;愛が絡むものなら、絶対におフランス。笑
でもブロークばっく山のお話よりは私もこちらの方が好きかもです。でも映画の質感としてはブロ山の方が好みだしなぁ;
なんだか細かいですけど。汗
なるほどー (マダムS)
2008-02-17 11:30:03
音楽ですねー そういえば私も「記憶の棘」はメチャ好みでした。これは気になりだすとちょっと邪魔に思えるかもね~ 監督の思い入れたっぷーりという感じで、昼メロを思い出しちゃったというのもわかるような気が・・案外古臭いというかクラシックなメロドラマですもんね(戦争メロドラマってそうなんですよね~大概)
なので、客層も年配が多かった気が。
若い人には受けないなと思いましたわ わはは。
アン・リーも台湾に戻って製作という事で故郷の人たちにも受け入れてもらえるような映画を作ってみたかったのかもと思います。
マダムSさん (シャーロット)
2008-02-21 21:54:21
こんばんは。遅くなりました;ごめんなさいー。
そうなのです、歴史ものってちょっとメロドラマ的な要素が入りますよね。
どうせなら甘さ一切ナシとかの方が嬉しいのですけど、甘いならくどい演出はいらないかなあとか思って。ただし、もっと小さい劇場で見ていたら違った印象をもったかも。もしくはおうちTVでDVD鑑賞とか。
音楽が素晴らしいなら映像は心躍るような躍動感か、もしくはもう少し抑制が効いていた方が好きです。
・・・若い人達の中に私が入るのかはわかりませぬ。笑
そうですね、監督もやはり万人ウケする作品を撮ってみたいとか思うのかも。どうでしょー。。。
こんばんは (ノラネコ)
2008-02-26 00:01:06
デスプラの音楽はハリウッドっぽかったですね。
最近のライラではジョン・ウィリアムスチックにも聞こえて、まあある意味で正統派の映画音楽なのかも。
映画の方は実にアン・リー的な思わせぶりな真理劇で、なかなかに面白かったです。
ノラネコさん (シャーロット)
2008-02-26 15:07:39
こんにちはー。
そうでしょ?なーんか最近彼の曲はジョンもどきになってきた。爆
おなじハリウッドならハワード・ショアの方がまだ好きだったり。ロン・ハワードとか。
まあ、私にしてみれば、ジョンもロンもハワードもジマーも、なんでも一緒だったりして;笑
確かに大作系の音楽は正統派でないと、物足りなく感じると思いますよ。
映画は・・・私は「愛の嵐」派です。笑

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