司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

電磁的方法による株主総会の招集

2009年07月23日 | 株主総会

“株主総会のIT化” って言葉、皆さん聞いたことがありますよね?
これって、上場会社特有のことだって思っていませんか?

上場会社では、書面によって議決権行使ができますが(正確には、株主が1000人以上の会社は、書面によって議決権が行使できる旨を定めなければならない。です。)、これをインターネットで行使させたり、招集通知をインターネットで提供したりすることによって、コスト削減、議決権の行使をしやすくする。。。などの目的で商法の時代に創設された手続です。

上場会社では、議決権行使のIT化は相当進んでいるように思いますが、上場会社でない会社が株主総会のIT化をしていますって話、聞いたことありますか? ほとんどないと思うんですが、どうでしょう? でも、そういうご要望もあるんです。
今日の話で、「ウチもやりたいっ!」 と思われる会社さんは、どうぞご連絡くださいねっ!(若干営業

クライアントのS社は、ある会社の事業譲渡を受けて従業員十数名で設立した会社です。株主が多いというほどでもありませんが、少なくもありません。
そこで、社長さんであるT氏はある日こんなことをおっしゃいました。

T氏 「株主総会の招集通知を送るのってすごく面倒ですよね~。」
ワタシ 「でも、株主さんって会社にいらっしゃるんじゃないですか?郵便で送らなくても手渡しでいいんですよ? そんなに大変なんでしょうか?」
T氏 「地方の人もいるし、出張だったりするヒトもいるしねぇ~。 とにかく、もっと簡単になりません?」

通常、上場していない会社さんの場合、株主さんから株主総会招集手続省略の同意をもらうことが多いんですよね。モチロン、株主さん全員の同意をもらう必要があるんですが、株主が2~3人とか、100%子会社だったりすれば、それほど大変なことじゃあありません。
しかも、株主総会に欠席する場合、どうせ代理人による議決権行使の委任状ももらわないといけないし、プラスアルファの面倒くささはないみたいです。

でも、S社の場合、それなりに株主さんがいらっしゃるので、全員から印鑑を押した書面をいただくよりも、法律どおりに招集手続をした方が楽だとおっしゃるわけです。
(ちなみに、“招集手続省略の同意” は書面による必要はありませんが、後日の紛争を避けるために書面にするのが一般的だと思います。)

そこで、

ワタシ 「じゃあ、IT化するっていうのはどうですか? メールで招集通知を送れば良いので、カンタンですよ。」
T氏 「メールでいいんですか? それはカンタンですね~。是非それでやりたいですっ!」

というわけで、S社は株主総会のIT化をすることになりました。
メール(電磁的記録)で株主に通知する場合、予め書面で株主さんから「あなたの会社からの通知は、電磁的記録で送ってもらっていいです」という承諾をもらいます。また、株主から会社に対する通知(例えば、議決権行使の委任状に代えてを電磁的記録にするなど)も、会社がそれを事前に承諾しておく必要があります。
具体的にはざっと次のようになりま~す
(1)会社から株主さんに対して、書面で次の事項を提案します(事前にやっておきます)。
  ①今後、当社から貴殿に対する通知はメール(電磁的記録)で行いたいと思います
  ②ご承諾いただける場合は、承諾をすることと、当社が通知をするメールアドレスを記載した書面をご送付ください。
  ③貴殿が当社に宛てて通知をするにあたり、書面に代えて次のアドレスにメールを送ることを承諾します(具体的なアドレスを記載しておきます)。
(2)株主さんから会社に対して承諾 (書面で交付します)します。このとき、株主さんが会社に届け出た印鑑を押してもらうと良いでしょう。会社宛にメールで通知するかしないかの意思確認を行っておくことも考えられます。

ポイントとしては、“なりすまし” の防止でしょうか? 書面決議の場合もそうですが、通知元のヒトが想定したヒトと同一人物であるかどうかということをどこまで厳格に確認すれば良いか、ということです。
メールを暗号化するとか、添付ファイルに電子署名してもらうとか、それぞれの事情に応じてご検討くださいね。

手続自体はお分かりいただいたとおり、しごく簡単! ですが、事前の提案、承諾については、どの本にも非上場会社の雛形はありません(ワタシの知る限り)。ですので、ない頭を絞り、上場会社の雛形を修正して作りましたが、結構苦労いたしました。

この手続は、招集通知をメールで送れば、相手が何も言ってこなくても良いのです。例えば、株主全員の同意が必要な場合、それをメールで送ってもらっても良いですが、全員から返信してもらわなくてはいけません。忘れたヒトがいたら手続がオジャンになってしまいます。

そんなことができるとは露知らず、書面のほかにメールも送っている会社さん、あるいは、事前の手続をしないで勝手にメールだけでやり取りしている会社さん、いらっしゃいませんか?
自分で言うのも何ですが、結構有効な手段だと思います。 オススメ!

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 定時株主総会と種類株主総会 ... | トップ | ぎんじ登場! »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (マモ)
2009-08-12 17:36:37
こんばんは マモです。メールアドレスを株主
名簿に登録しておくのでしょうか。なんらかしっかりした方法をとらないと内部統制上問題ありますね。。また、定款にはなにも記載しなくていいのでしょうか。

 
Unknown (charaneko)
2009-08-17 11:37:44
マモさん、こんにちは。

おっしゃるとおりですよね。方法は特に決まっていないので、会社の注意義務としてどうするべきか、各社で検討する事項だと思います。

定款には特別な規定を置く必要はありません。
Unknown (マモ)
2009-08-17 12:21:29
管理人さん

できるけど、内部統制上どうするか問題ですね。どうもありがとうございました。

コメントを投稿

株主総会」カテゴリの最新記事