元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ゴースト・イン・ザ・シェル」

2017-04-24 06:34:55 | 映画の感想(か行)

 (原題:GHOST IN THE SHELL)そこそこ面白かった。もとより押井守監督によるアニメーション版(95年)に迫るほどの出来の良さは期待していない。しょせんハリウッド映画だ。最後まで目立つような破綻が見られなければ御の字だろう。その意味では、本作は水準はクリアしていると思う。

 近未来、サイバーテロ阻止を専門とする部署である公安9課に所属する女性捜査官ミラ・キリアン少佐は、かつて凄惨な事故に遭い、脳以外は全て義体(機械)となりサイボーグとしてよみがえった。その実力は折り紙付きで、猪突猛進的に事件を追う姿勢は上官の荒巻大輔も彼女には手を焼きながらも、大いに評価している。

 今回の公安9課のターゲットは、テロ事件を企てる謎めいた男クゼだ。だが、クゼの足取りを調べるうちに、少佐は自分の記憶が何者かによって操作されていたことに気付く。そしてそれは、サイバー技術の大手であるハンカ・ロボティックス社の大きな陰謀に繋がっていることが明らかになる。

 押井作品が“人間とは何か”という重いテーマを大上段に振りかぶって扱い、しかも成果を上げていたことに比べると、本作の佇まいは“小さい”と言える。要するにヒロインの“自分探し”がストーリーの中心になっているのだ。しかしながら、分かりやすく万人にアピールできるような内容にするという作品の狙いにおいては、正解であろう。いたずらに哲学的なテイストを前面に出してしまうのは、ハリウッドの娯楽編としては相応しくないということだろう。

 ルパート・サンダースの演出は取り立てて才気走ったところはないが、ソツのない仕事ぶりだ。活劇場面も無難にこなしている。主演のスカーレット・ヨハンソンは健闘していると思う。ボディスーツが垢抜けないという声もあるようだが(笑)、よく身体は動いているし表情なども魅力的に撮られている。

 荒巻役のビートたけしも楽しそうに演じているが、セリフ回しや仕草がお笑い芸人っぽいのは御愛敬か。この2人に比べると公安9課の他のメンバーは大きくクローズアップされていないが、上映時間の都合で仕方が無いのかもしれない。その分、ジュリエット・ビノシュや桃井かおりなど、主人公を取り巻く人物達を演じる面々が印象深く扱われている。

 未来世界の有り様は「ブレードランナー」の類似品みたいだが、たぶんこういう方法論以外に思い付くものが無かったのだろう。なお、クリント・マンセルとローン・バルフェによる音楽よりも、ラストクレジットで流れる押井版の川井憲次の手によるスコアが効果的だった。
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