元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「20センチュリー・ウーマン」

2017-06-17 06:26:33 | 映画の感想(英数)

 (原題:20TH CENTURY WOMEN)時代風俗の描写以外には、何ら見るべきものが無い映画である。とにかくストーリーが退屈極まりない。何も面白そうなことは起こらないし、展開の平板さをカバーするような語り口の巧みさも無い。聞けば作者の自伝的内容らしいが、独り善がりであるとの誹りは免れないであろう。

 1979年のカリフォルニア州サンタバーバラが舞台。15歳の少年ジェイミーの両親は離婚して、今は母ドロシアと暮らしている。とはいえ狭くはない家には、下宿人の若い女アビーと中年男ウィリアムがいる。また近所に住む幼なじみのジュリーが頻繁に訪ねてくるので、けっこう賑やかだ。息子との関係が上手くいっていないことに悩むドロシアはジュリーとアビーに助けを求めるが、彼女たちもけっこう屈託を抱えていて頼りにならない。逆にジュリーに自身の恋愛に対する及び腰な姿勢を指摘されたドロシアは、アビーに刺激的な世界を教えてくれと頼むのだった。

 ジュリーの妊娠騒ぎとか、アビーがガンに罹患していたことがあったとか、ウィリアムがドロシアに気があるとか、それ自体はドラマを広げられそうなモチーフは並んではいるのだが、どれも見事なほど面白さのカケラもない弛緩した展開が目立つ。作り手に盛り上げようという気が無いのか、あるいは自己満足で済ませているのか、とにかくつまらなくて観ている間は眠気との戦いに終始した。

 ジェイミーは母親が中年になってから生まれた子だが、そのことがストーリーに大きく反映することはない。ジェイミーに添い寝するけど何もさせないジュリーの態度は面倒くさいし、写真家志望のアビーの生活もアーティスティックな部分は見受けられず、ウィリアムの優柔不断ぶりもイライラするばかり。斯様に微温的なハナシが長々と続いた後には、どうでも良い幕切れが待つのみだ。マイク・ミルズの演出は凡庸である。

 ただし、精神分析医に相談することが一種の流行だったり、音楽ではパンクロックが一段落してニューウェイヴに移行したりと、当時の時代色は良く出ていた。西海岸らしい明るい映像も取り柄だろう。55歳という設定のドロシア役のアネット・ベニングは自身もまだ50代なのだが、かなり老けて見える(若い頃は可愛かったけどね)。演技面でも今回は精彩が無い。

 ジュリーに扮するエル・ファニングは“見た目だけ”のパフォーマンスに終始。グレタ・ガーウィグやルーカス・ジェイド・ズマン、ビリー・クラダップといった他の面子も印象に残らない。雑誌等では高得点の評も見受けられるが、私は同意しがたい。
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