元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「バレット・バレエ」

2017-06-18 06:45:16 | 映画の感想(は行)
 2000年作品。塚本晋也監督作品としては、平易な面白さを感じ取れる映画だ。「鉄男」(89年)や「東京フィスト」(95年)などのエキセントリックな路線とは明らかに違う。もちろん、フツーの映画と比べれば相当アクは強いが(笑)、魁偉な“外観”に慣れてしまえば良質の娯楽映画としての側面が見えてくる。コアな映画ファンには幅広く奨められるシャシンだ。

 CMディレクターの合田は、恋人の桐子を拳銃自殺で失ってから“死”と“銃”のイメージが頭から離れなくなった。ある晩、泥酔した彼は不良グループの少女・千里にちょっかいを出すが、彼女の仲間である後藤たちにボコボコにされてしまう。何とか仕返しをしようとする合田だが、そのためには拳銃が必要だと思い込み、街をさまよい歩く。



 一方、後藤たちは別の不良グループとの抗争の真っ最中であった。ついにはグループのメンバーが次々と殺されるという事件が発生。やっと拳銃を手に入れた合田はその渦中に飛び込むが、後藤によって孫を殺害されたヤクザの工藤が乱入し、激しいバトルが展開する。

 塚本自身が演じる主人公の、偏執的な言動が凄い。銃を密造したり、ヤクザから買い入れようとしたりと、その振る舞いは間が抜けてはいるのだが、やればやるほど合田の狂気が発散されて目が離せなくなってしまう。また、単なる不良のケンカが派手な殺し合いに発展する畳み掛け方は大したものだが、それに合田と工藤という常軌を逸したキャラクターを介入させることにより、尋常ならざる迫力を生み出すに至っている。

 モノクロ画面や手持ちカメラなどの素材が、マイナー映画っぽくならずに娯楽作品の要素として料理されているのに感心(撮影も塚本が担当している)。ひとつひとつのシークエンスにパワーがみなぎり、スピード感に圧倒される。千里を演じる真野きりなの存在感にはシビレたが、鈴木京香や井川比佐志、村瀬貴洋といった脇のキャストも見逃せない。バイオレンス満載の展開ながら、意外とラストが爽やかなのも高得点だ。
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