元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ラン・ローラ・ラン」

2017-07-16 06:41:51 | 映画の感想(ら行)

 (原題:Lola Rennt)98年ドイツ作品。上映時間が81分で、まさに“一発芸”みたいな映画だが、楽しめた。監督・脚本は当時は若手だったトム・ティクヴァで、後年の冗長な仕事ぶりとは異なるキレの良い演出を見せる。

 午前11時4分、ベルリンに住むローラの部屋の電話が鳴る。ヤクザの裏金の運び屋をしている恋人マニからで、10万マルクを電車の中に置き忘れたという。20分以内に金を都合しなければ、ボスに消されてしまうらしい。彼女はまず銀行頭取の父親の元に行って金の無心を依頼するが、愛人と密会中の父親はそれどころではない。仕方なくマニと待ち合わせる場所に行き、一緒に強盗を働こうとするが、警察隊に囲まれて撃たれてしまう。

 すると映画は冒頭まで巻き戻され、ローラがマニの電話を受けるところから再開する。今度は父親を人質に銀行強盗を働くが、マニの方が不幸な目に遭ってしまう。再度映画は冒頭に戻るのだが、果たして“三度目の正直”でローラは上手く金を手に入れることが出来るのだろうか。

 作者の“単なる思い付き”みたいな題材をそのまま映画にしてしまうと鼻白むものだが、本作はいろいろなアイデアが詰め込まれており、退屈しない。同じシチュエーションでもエピソードの積み上げ方によって別々の結末に導くことが出来るという、映画手法のテキストにも使えるシャシンだ。

 何より、フランカ・ポテンテ扮するヒロインが街中を走り回るシーンが基調になり、作劇にスピード感を与えている(彼女の走る姿は美しい)。効果的に挿入されるアニメーションや、「ブリキの太鼓」のパロディなど、小ネタも充実している。特筆すべきはティクヴァとジョニー・クリメック、ラインホールド・ハイルによる音楽で、リズミカルでカッコ良い出来だ。

 F・ポテンテはその後「ジェイソン・ボーン」シリーズなどで広く名前が知られるようになるが、インパクトとしてはこの映画デビュー作を超えるものはないと思う。共演のモーリッツ・ブライプトロイのダメ男ぶりも良い。
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