元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「LOGAN/ローガン」

2017-06-19 06:30:26 | 映画の感想(英数)

 (原題:LOGAN )とても見応えはあったが、設定と結末が思い切った扱いで、これまでの本シリーズの位置付けや今後のあり方が心配になってくる。ただ言い換えると、従来までの流れをひっくり返してまでも撮り上げたという、作者の良い意味での気負いが感じられて好ましい。とにかく一見の価値はある映画である。

 2029年、すでにミュータントの大半が死滅しており“X-MEN”も存在していない。ウルヴァリンことローガンは何とか生き延びているが、体内に埋め込まれたアダマンチウムにより、治癒力の低下と老化が目立ってきた。今ではメキシコ国境近くでリムジンの運転手をしながら、認知症を患っているプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの世話をする毎日だ。

 ある日、ローガンは元看護婦でガブリエラと名乗る女から、ローラという素性の分からない少女をノースダコタまで連れて行って欲しいと頼まれる。ローラはローガンの遺伝子を元に人工的に生まれたミュータントで、兵器としてミュータントを利用しようとする政府系企業の研究機関から逃げ出してきたのだ。ノースダコタではローラの仲間が待っているという。ローガンはチャールズを伴い3人で北に向かうが、ピアース率いる組織の実働部隊は執拗に追いかけてくる。

 お馴染みのキャラクターの中で生き残ったのはローガンとチャールズだけだという、その設定には驚くしかない。しかも2人とも往時のパワーは失われ、人生の終焉を持つだけの身だ。特にチャールズは、今までの行いを悔いている。そんな彼らの最後の仕事はローラを無事に送り届けること。2人は、この旅の行き着く先に自らの境遇が好転するような期待を見出しているわけでもない。ただ、久しぶりに現れたローラという“守るべき対象”のために全身全霊を尽くす。

 無謀な戦いに徒手空拳で臨むローガンには、時代劇や西部劇における孤高のヒーローに通じるものを見出すことが出来る。事実、劇中には「シェーン」(53年)の映像が主人公たちの運命のメタファーのように何度か挿入される。このロクでもない世界で、それでも生きなければならないローラたちの世代に希望を託し、老兵は去りゆくのみだ。この筋立てには、正直グッと来た。

 ジェームズ・マンゴールドの演出は、今までの精彩を欠く仕事ぶりがウソのように堅牢でブレがない。畳み掛けるような筆致は、長い上映時間も気にならないほどだ。ヒュー・ジャックマンとパトリック・スチュワートは好演で、子役のダフネ・キーンも実に達者だ。

 それにしても“X-MEN”がこのような形で終わるとは思ってもみなかった。もちろん、アメコミの世界ではパラレルワールドは珍しくもないらしいので、今後いつものキャラクターが出てくる映画が作られる可能性はある。しかし、“X-MEN”の行く末がこのようなヴォルテージの高い形で提示された以上、それらの“新作”が存在感を発揮するとは思えない。MARVELの今後を予想する意味でも、とても興味深い作品である。
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