元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ソウル・サーファー」

2012-06-17 07:16:44 | 映画の感想(さ行)

 (原題:SOUL SURFER )良く出来たアイドル映画だと思う。ハワイに住むプロ・サーファー志望の少女ベサニーがサメに片腕を奪われてしまうが、絶望を乗り越えて奮起し大舞台で活躍するという、絵に描いたようなスポ根もの。よく考えてみると、ストーリー面では食い足りない部分がある。

 まず、いくらサーフィンが好きでもサメが泳ぎ回っている(かもしれない)海にスグに入ろうとする、その気持ちが分からない。少しはトラウマを引きずっているような面を出すべきだ。さらに、キリスト教の伝道師グループが介在するというのも、何となく愉快になれない。まあ米国にはこういう“団体”が多数存在して地域の精神的支柱になっているという話は聞くが、部外者の私から見ればカルトもどきの様相を呈してくる。

 しかも、このグループが中心になってタイの津波被災地のためのボランティアを組織し、ヒロインがそれに加わることによって自分が出来ることをシッカリと確認するという、何とも図式的な御膳立てが用意されている。実話を元にしている映画であり、正面切って“これらも本当のことなのだから仕方がない!”と開き直られると何も言えないが(爆)、居心地が悪いのは確かである。

 だが、そんな難点を帳消しにしてくれるのが主人公に扮したアナソフィア・ロブの奮闘だ。「テラビシアにかける橋」や「リーピング」に出演した子役時代からそのルックスは際立っていたが、ハイティーンになった今はアイドル的容姿に磨きが掛かっている(笑)。アメリカ人の女優としては小柄で(同学年のダコタ・ファニングよりも10センチ近く低いらしい)、加えて表情が豊かで可愛らしく、性格が良さそうに見える。実に日本人ウケするキャラクターだと言えよう。

 そんな彼女が逆境をものともせずに困難に立ち向かうのだから、観ている方も応援せずにはいられない。数ヶ月の特訓の成果で、サーフィン場面は頑張っている。難易度の高い技に限っては映画のモデルになったベサニー・ハミルトンが担当しているが、これだけ出来たのだから合格点だろう。

 ショーン・マクナマラの演出は派手さは無いが、スムーズにドラマを運んでいる。両親役のヘレン・ハントとデニス・クエイドも好演。キャリー・アンダーウッドが歌声を少し披露してくれたのも嬉しかった。サーフィンの描写は「ビッグ・ウェンズデー」や「ブルークラッシュ」ほどではないが、かなり健闘している。クライマックスの競技会のシークエンスは、ライバルに大差を付けられるが終盤で怒濤の追い込みを掛けるという、この手の映画の常道手段が展開されるが、やはりかなり盛り上がる。

 エンドクレジットにはベサニー・ハミルトン本人の映像が登場。不自由な身体で妙技を披露し、さらに彼女の家族(両親や兄たち)それから友人も凄腕のサーファーとして名を成しているのを知るに及び、胸が熱くなった。風光明媚なハワイの自然も紹介され、鑑賞後の印象は上々である。

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