元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「バーニング・オーシャン」

2017-05-06 06:50:10 | 映画の感想(は行)

 (原題:DEEPWATER HORIZON )実話を基にしており、その題材は深刻な問題を内包しているとは思うのだが、出来上がった作品は昔懐かしい“パニック映画”のスタイルを踏襲していて、その点は面白く観た。やはり映画は娯楽である以上、観客を楽しませてナンボのシロモノなのだ。

 2010年4月。ルイジアナ州沖約80kmのメキシコ湾にある石油掘削施設“ディープウォーター・ホライゾン”で、海底油田から逆流してきた天然ガスに引火した大爆発が起こる。それにより、施設内に126名の作業員が閉じ込められてしまう。技師のマイクや上司であるジミーらは、あまりの惨事に驚くばかりであった。そもそもこの事故の原因は、施設の出資元であるBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)社の幹部が、スケジュールの遅れを取り戻そうとして安全確認を疎かにしたまま掘削を強行したためだった。従業員を押しのけて脱出しようとするBP社の幹部を苦々しく思いつつ、マイク達は必死の救出活動に挑む。

 冒頭、事故後の諮問会にマイク達が呼ばれて証言するシークエンスが紹介されるため、主人公は助かることが早々に示される。要するに最初からネタバレしているのだが、それが欠点にはならない。良い意味で観る側に過度のプレッシャーを与えず、肩に力を入れないで楽しんで欲しいという、作劇上のサービスだと思いたい(笑)。

 海底油田のシステムは素人には分かりにくく、何がどうなっていて何をどうすれば解決するのか判然としない。だから脚本の御膳立てとしては上手くいっていないのだが、そんなことを忘れさせてくれるのが、圧倒的な映像効果である。海底から汚泥が噴出して、やがてガスが漏れ出し大火災が起きるまでの畳み掛けるような展開はスペクタクルそのものだ。

 泥と油と血にまみれながら一人でも多くの仲間を救おうとするマイクの奮闘をあざ笑うかのように、火は全てを焼き尽くし設備を倒壊に追い込んでいく。“パニック映画”全盛期だった70年代から技術は格段の進歩を遂げ、大災害の現場を再現することは可能になったが、テクノロジーに寄り掛からずに演出力で臨場感を醸し出しているピーター・バーグ監督の手腕は確かだ。

 主演のマーク・ウォールバーグは大熱演。カート・ラッセルやジョン・マルコヴィッチ、ジーナ・ロドリゲス、ケイト・ハドソンといった脇の面子もよくやっている。それにしても、技術を過信して安全策よりも利益を優先させると、カタストロフに陥るというのはこの事故も我が国の原発事故も一緒だろう。タイトな作劇とスケール感で飽きさせず、その中に確固としたメッセージ性も織り込むという、まことに見上げたシャシンだと思う。
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