元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「藍色夏恋」

2010-09-22 06:43:27 | 映画の感想(あ行)
 (原題:藍色大門)2002年作品。高校生3人の恋愛模様を描く台湾製の青春篇である。監督は「アバウト・ラブ 関於愛(クワァンユーアイ)」などのイー・ツーイェン。青春ものに限らず映画に観る側がのめり込めるかどうかは、ひとえに登場人物に感情移入できるか否かにかかっているが、この作品の場合、そのへんがどうも不調だ。

 主人公の女子高生は親友に頼まれて同じ高校の男子生徒にラブレターを渡す。ところが彼はヒロインが好きになり、親友との仲がギクシャクし始める。この三角関係をジックリと描けばそれなりの出来になったはずだが、捉え方が実に表面的。“思春期の淡い恋”をキレイな映像にオブラートして提示するのはいいとして、それを言い訳に表現そのものも“淡い”まんま放置していることがわかる。

 思わぬ展開に戸惑う男子生徒や乙女チックに“恋いに恋焦がれる”親友の屈託が全然伝わってこないし、そもそもその“屈託”自体存在するのかどうかもわからない。実は主人公には“ある秘密”があるのだが、それもこの微温的ドラマに何とかアクセントを付けようという苦肉の策にしか思えないのが辛い。

 とにかく、フワフワした“青春時代の思い出”だけでは観る者にインパクトを与えられないことをこの作者は知るべきだろう。我が国の「blue」や「まぶだち」といった思春期ドラマの秀作を見習って欲しい。なお、主演の新人二人(チェン・ボーリン、グイ・ルンメイ)は素質そのものは悪くないと思う。

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