テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ それは、レモンの花咲くところ ~

2014-05-18 21:32:18 | ブックス
「こんにちわァ~、テディちゃでス!
 おォ~ッ、あじさいィ、みィつけたッ!」
「がるる!ぐるるるる!」(←訳:虎です!咲いてるね!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、今日は道端に咲いているアジサイのお花を見かけましたよ♪
 もうすぐ梅雨、なのかなぁ?
 では、雨降りシーズン突入の前に
 本日も楽しく読書タイムを!

  



        ―― パウル・クレー 地中海の旅 ――



 著者は新藤信(しんどう・まこと)さん、2014年3月に発行されました。
 前々回記事では『ムーミンを生んだ芸術家トーヴェ・ヤンソン』を御紹介しましたが、
 テディちゃ、虎くん、
 《ムーミン》で人気の“旅人”キャラさんといえば?

「ふァいッ! すなふきんさんッでス!」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:帽子のさすらい人!)

 スナフキンさん、
 それにムーミンパパさんも旅好きな御方、ですね。
 “ここではないどこか“からの信号に
 常に耳を傾けている二人と、そして。

 画家さんの中にも、
 同じように旅を愛し、
 異郷の地を愛する御方がいます。

 パウル・クレーさん(1879~1940)は、
 在外ドイツ人の御両親のもと、スイスに生まれました。
 
 麗しの山岳国、スイス。
 豊かな自然に恵まれたこの国に、
 しかし、ひとつだけ、無いものがあります。

「ふァ? ないィものォ??」
「がるるる?」(←訳:何だろう??)

 スイスにないもの、それは――

 海。

 青い大海原、
 天と溶け合う水平線、
 月が照らす海峡の夜空。
 
 スイスにない海を求めて、
 クレーさんは旅に出ます。

 灰色で冷たい北海じゃありませんよ、
 君知るや南の国、
 レモンの花咲くところ――

 地中海へ!

「まッさおなァ、うみィ!」
「ぐっるるるる!」(←訳:あったかい海!)

 クレーさんが初めて海を目にしたのは
 21歳のときだったそうです。
 イタリア、ジェノヴァの海。
 視界いっぱいに広がるのは、
 青い青い地中海の海と空。

 以降、クレーさんは何年かごとに
 旅に出ました。

 ドイツや北海方面へ出かけたこともありましたが、

 
「やぱりィ、みなみがァいいんでス!」
「がぅるるる、ぐるっる!」(←訳:チュニジア、モロッコ!)
「しちりあァ、みなみィふらんすゥ!」
「ぐるるるる!」(←訳:エジプトも!)

 この御本では、
 クレーさんの《南への旅》の記録が語られています。

 クレーさん御自身による旅のメモ、
 家族へ書き送った手紙、
 旅先でのスケッチや水彩画、写真。

 南への旅は、クレーさんの画風を大きく変化させました。
 画面の中には、
 海としか思えない色、線が描き込まれ、
 青の深さ、美しさが際立っています。

「みなみのォ、あおッ!」
「がるる!」(←訳:海の青!)

 書店さんに並ぶ何千何万冊の書物の海にあっては、
 あまり目立たない御本……かもしれません。
 けれど、手に取って、じっくり読んでみれば
 波音が恋しくなるような、
 異郷への憧れが詰まった一冊です。

 アート好きさん、
 クレーさんのファンの方々は、ぜひ♪


 


 
 
 
 
コメント
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