テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 天使の手に迎えられて ~

2013-05-16 21:46:45 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむむッ! これはッ!」
「がるる!ぐるぐるる!」(←訳:虎です!いま評判の!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 第10回開高健ノンフィクション大賞を受賞し、
 2012年の読書界で大きな話題となった一冊ですよ。
 さあ。こちらを、どうぞ~!

  



 
             ―― エンジェル・フライト ――



 著者は佐々涼子(ささ・りょうこ)さん、2012年11月に発行されました。
 『国際霊柩送還士』と副題が付されています。

 
   国際霊柩送還(こくさいれいきゅうそうかん)、とは、
   海外で亡くなった日本人の遺体や遺骨を日本に搬送し、
   日本で亡くなった外国人の遺体や遺骨を祖国へ送り届けること――

 御本の中でこのように説明されている仕事をしているのは、
 エアハース・インターナショナル株式会社の皆さん。
 日本で最初に、
 国際霊柩送還の専門会社として
 設立された会社さんです。

「ふァ~…たいへんなァ、おしごとォでスゥ……!」
「ぐるるがる……!」(←訳:外国と日本……!)

 海に囲まれ、
 地球のどの国からも『遠い』『異国』であると感じさせる、極東の島国――日本。
 
 その日本と、
 海の彼方の国々に、
 橋を渡そうと全力を尽くすのがエアハース社さん、でしょうか。

 なぜなら、
 橋を渡って帰ってきてほしい人がいるから。
 橋が整っていなければ、
 彼らは行き場を失ってしまうから。

「ごいたいィ、でスねッ……!」
「がるるぐるるがっるぐる!」(←訳:悲しいけれど帰ってきて!)

 著者・佐々さんが
 4年の月日を取材に費やした対象は、
 エアハース社さんの社長・木村理惠(きむら・りえ)さんを中心とする、
 まだまだ耳慣れない国際霊柩送還という職業。

 
 事故や事件、病気、
 或いはテロ、紛争地域で銃撃戦に巻き込まれ、
 無念にも棺に納められて母国への帰路に就く御遺体、
 そして御遺族、
 御遺族の意を汲んで奔走するエアハース社員さんたちを、
 佐々さんは敢えてエモーショナルに、
 つつみ隠さず、真っ正直に綴ってゆきます。

 御遺体を運ぶとは
 御遺族に向き合うとは、
 どういう仕事、
 どういう意味を持つのか。
 どういう形がベストなのか、と。

 煩雑な事務手続き、
 国ごとの風習、
 敬うべき御遺体を食い物にする悪質な業者との闘い、
 悲嘆、切なさ、
 安堵と落胆、
 終わりの見えない悲しみ……。

「まいにちィ、にじゅうよじかんッ!」
「ぐるがるるるがるぐるるる!」(←訳:社長さんは働き詰めです!)

 個々の死生観、
 また、日本人としての死生観。

 《死》の在りかた・あるべき形をつぶさに描くこの御本は、
 もう読んだよ!という活字マニアさんも多いことでしょうが、
 評判は聞いてるけれど未だ読んでないぞ!という方々に、
 あらためておすすめしたい作品です。
 皆さま、どうか一読を~!

「きびしィけれどォ!」
「がるるぐるぐるるぅ!」(←訳:必読の傑作ですよぅ!)




 
 

 
コメント
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