M.シュナウザー・チェルト君のパパ、「てつんどの独り言」  

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みなとの病院、240時間

2017年05月05日 | エッセイ





 <山手の桜>

 2014年の大腸ポリープの切除後、横須賀のドクターに言われたフォローアップを一昨年末(2015)、この病院で受けた。しかし無罪放免とはいかず、さらに一年後のフォローアップが言い渡された。そして今年(2017)一月末の検査で、7mmのポリープが出来ていた。他にも小さなポリープが散見された。K先生に入院して切除しましょうと言われた。これが今回の入院の目的。




 <横浜の眺望>

 若い医師は大体3年以内で、いろいろな病院を渡り歩いて臨床を経験積むようで、見てもらったK先生は医科歯科大の指示で、今年度末(3月31日)で他の病院に回ることになっていた。オペの実施は3月末までの先生の任期中にはできず、4月に他の医師が切除する予約になった。本来なら、発見した医師に切ってもらうのが一番いいのだが。そうはいかなくなった。残念。

 4月に来たばかりの先生に切ってもらうことになった。それが、若いA女医。
なんだか心もとないなとの感じがした。最初に会った時、オペの経験は少ないなと感じたし、意志の弱そうな風情を見せたからだ。歯切れが悪いので、こちらがいろいろ心配することになる。でも、仕方がない。

 さらに、心配だったのは、入院から4日目でオペをやると決まっていたことだった。

 大腸のポリープの切除など普通は、入院などは必要なく日帰りで終わるものだ。しかし、僕の場合はそうはいかない。僕が肥大型・心筋症からくる心房細胞を持っているので、血液をサラサラにする薬を飲んでいるからだ。そのまま切除すれば、大出血になる。シャブではないが、薬を体から抜く時間が必要なのだ。

 前回の横須賀のオペは、休薬して6日目の切除だった。INRという数値を見ながら薬切れを確認するのだ。しかし、今回は4日目にオペが予約されていた。それは前任のK女医に立てられた予定だった。

 入院して3日間は、特にやることもない。ぶらぶらと院内を歩き回るか、本を読むか、テレビを見るか、スマホをいじくっているかの生活になる。しかし、ワルファリンは休薬しているから、代わりにヘパリンの注射を24時間受け続けなくてはならない。点滴用のガラガラに付けたでかいシリンダーを引っ張って歩き回ることになる。

 暇だからいろいろ歩き、この病院の運営の仕組みもだんだんわかってきた。

 

 <混合病棟5D>

 まず驚いたのは、各科の専門病棟ではないということだ。僕の病棟は5D。小児科が主の病棟だけれど、その複数の区画は混合病室になっていた。つまり、消化器内科の僕のほかに、整形外科の二人、耳鼻咽喉科の一人の患者さんの4人で、一つの病室で過ごすことになった。個室を断った時、消化器内科病棟以外に入ることになるかもとは聞かされていたが、他科の患者さんと同室になるとは思いもしなかった。

 僕の入院の経験は、35歳の時の自損事故で整形外科へ一回、心臓君のための4回。そして、ポリープのための1回と、大人になって6回の入院経験があるが、今回のような診療科を跨った混合病室に入れられたことはない。横須賀の循環器内科では循環器病棟に入院して、看護婦さんたちも循環器の専門家だった。

 今回の場合は、一人の看護師さんが、消化器内科の患者も、整形外科の患者も、耳鼻咽喉科の患者もまとめて面倒を見ることになる。患者も大変だけれど、ナースも大変だと分かった。広い経験ができると言えば、その通りだが、専門知識が深まることにはならないだろう。ドクターとの関係も、特定の診療科のドクターとだけの連絡ではなく、複数の科のドクターと話すことになる。大変なストレスだとも思い始めた。

 さらに、看護師さんは、昼夜のローテーションと、他の病室、病棟とのローテーションもあるらしく、入院10日間(昼夜合わせて20シフト)のうち、担当が同じナースになったのは3人で、3回しかない。毎日、毎シフトごとにナースが挨拶に来るが、くるくる変わっていくから顔は覚えているが、名前は覚えられない。昨日、頼んだこと、おととい話した要望が、今日の人には伝わっていないという経験を沢山した。端末に記録を取っているようだけれど、100%は伝わらない。こちらは、同じことを繰り返し言い続けるしかない。



 <夜のみなとみらいスカイライン>

 24時間注射の管理の仕方も、みんなバラバラ。聞いてみたら、先輩に教えてもらった通りやっているという。先輩が違うから、やり方もバラバラになる。夜10時に消灯する灯りだって、日によってバラバラ。病室に明るい光が、一晩中射し込むことだってあった。

 患者と看護師さん間の、「昨日と比べてどうですか?」とか「三日前より良くなっているようね」などという、会話は成り立たない。呼吸器科の患者の吸入のネブライザーのゴ~~というデカイ音が、突然、隣から寝ている僕に響く。一番の問題点は、免疫力の弱い子供たちがいる病棟に、他の科の見舞客がドカドカ、外の汚れを持ち込んで込んでくることだろう。

 入院4日目、ポリープの切除を受けた。この大腸関係の検査やオペのいやなところは、マズイ水を2L、腸がきれいになるまで飲み続けなくてはならないことだ。心臓に慢性心不全を持っている僕には、不安なことだ。とにかく、7mmのポリープを一つ、切除した。近くにあった小型のポリープは、出血のリスクとのバランスで、取らなかったという。「おいおい」と思った。ポリープの種類は、精密検査に出して結果が上がってくるまで分からない。ガンではなさそうだとだけは、聞くことが出来た。

 ポリープ切除のネットデータによると、切除して、クリッピングでの止血の成否は3日目だとあった。術後、3日間出血がなければ、成功したことになるという。失敗の確率は、1/1000とあった。僕は早く病院という場所から逃れたいから、成功を祈った。しかし、4日目に血便が出た。しかも土曜日で休診。女医さんがいない日だった。月曜日まで待って相談した。結果、再度内視鏡を入れて、治療しましょうということになった。

 最初のオペから5日目、また水を飲んで内視鏡の治療を受けた。結果は、切除部分からの出血ではなかった。それは大腸の凸凹の凹の部分、憩室(けいしつ)からの出血だった。原因はわからない。またクリッピングをして、止血。またまた様子見となった。

 この病院は、開業して10年の比較的新しい病院だ。比較的食事もよかったと言えるだろう。一番うれしかった献立は、「鳥南蛮蕎麦」だった。汁を張った蕎麦が食えた。患者が選択できる昼食だった。うれしかった。



 <鳥南蛮ソバ>

 様子見の間は、院内散歩。他には何もないので、8階のロビーにはよく足を運んだ。みなとみらいや、港の見える丘公園、大さん橋に停泊中のクルーズ船などが見える。僕がクルーズ船に気が付いたのは、少し日が経ってからだったが、豪華客船が遠くに見えた。

 横浜港の入港記録をスマホで検索して調べてみると、ドーン プリンセス、飛鳥Ⅱ、そして一番デカイのが、ダイヤモンド プリンセスだった。



 <ドーン・プリンセス>



 <飛鳥Ⅱ>



 <ダイアモンド・プリンセス>

 神様、仏様に祈った甲斐があって、二度目の出血はなく、10日目に退院することが出来た。

 今度の入院で感じたことは、効率重視の混合病棟と、あまりにも激しい看護師さんのローテーションでの運営だ。最大限に患者を受け入れようという努力は認めるにしても、効率重視の病院の都合と、患者が期待するQOLとのギャップが大きかった。この価値感が、必ずしもかみ合っていない感じだった。

 入院の時の、横浜の最後の山手の桜は、退院時はもう葉桜になっていた。



 <病院の葉桜>

 退院して今日で5日目。「3日目の出血」のチェックポイントは、一応クリアできたようだ。

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