「資格検定情報センター」準備事務局より

各種資格・検定の情報を分析し、信頼性の高さや疑問点の有無を報告します。

通検、V通検が試験実施中止

2008-11-08 18:30:57 | Weblog
通訳検定を実施している日本通訳協会が、明日11/9(日)の試験の実施を突然中止しました。新聞やテレビでもニュースになっています。

通訳の資格といえば、国家資格である「通訳案内士」が有名です。
平成17年までは「通訳案内業試験」という名称でした。「通訳ガイド試験」と言われることもありましたが、戦後一貫して通訳に関する唯一の国家試験でした。

通訳案内士試験の他に、通訳の技能を認定するいくつかの検定試験がありますが、すべて民間資格です。公的な資格ではありません。

その中でも、通訳士を認定する通訳技能検定(通検)や、ボランティア通訳検定(V通検)は比較的名前が知られている試験でした。
しかし、受験者数は公表できないほど激減していたようですから、資金繰りもむずかしくなっていたのでしょうか。
日本通訳協会の同じフロアには「株式会社通協リンガパートナーズ」がありますが、こちらの経営も厳しかったのかもしれません。
どちらにしても数人のスタッフでは、試験問題を毎回新規に作成する力もなかったと思われます。
民間資格の運営者のうち、運営組織や試験問題制作の体制について自信を持って公開できる団体は少数かもしれません。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081108-OYT1T00289.htm?from=navr
■「通訳技能検定」直前に突如中止、協会閉鎖を理由に
 独自に通訳の資格試験を行ってきた「日本通訳協会」(東京都新宿区、向鎌治郎(むかいけんじろう)代表)が、協会の閉鎖を理由に、9日に予定していた検定試験を直前になって中止していたことが8日わかった。
 公式サイトなどによると、同協会は1974年に設立された株式会社。試験中止の理由について、同社は「今般の経済不況の中で必要な金融支援も受けられず、日本通訳協会はやむなく閉鎖せざるを得なくなった」と説明。「11月下旬頃には今後の連絡先などをサイトに掲載する」などとしている。
 同協会は英語や中国語の「通訳技能検定」(通検)を全国で年2回行い、「通訳士」に認定。受験料は通検1級が1万7000円、2級が1万2000円などで、同サイトでは「34年間に通算12万9544名が受験し、3万8304名が合格した」としている。
 今月4日付で受験生に郵送された向代表名の謝罪はがきには「受験料が無駄にならないよう努力していく」などと記されていた。
(2008年11月8日11時49分 読売新聞)

http://www.jipta.net/cgi-bin/info/cf.cgi?mode=all&namber=264&rev=0
■日本通訳協会閉鎖のお知らせ

創業以来35年間以上にわたり、 通訳技能検定試験(通検)そしてボランティア通訳検定試験(V通検)、 中国語日本語 通訳検定試験(中日通検)を日本通訳協会は実施してまいりました。 しかしながら、 このたび、 今般の経済不況の中で必要な金融支援も受けられず、 日本通訳協会はやむなく閉鎖せざるを得なくなり、 通検、 V通検、 中日通検などの各試験も実施を断念せざるを得なくなりました。
各試験の直前でもあり、 皆様方には大変なご迷惑と混乱をおかけいたします点、 深くお詫び申し上げます。
なお、 予定しております2008年11月9日(日)の各試験および12月14日(日)の通検2次試験、 2009年2月1日(日)の通検3次試験のいずれも中止いたしますが、 業界の各社と協議中であり、 皆様方の受験料がむだにならないように努力していく所存です。 協議の進展に伴い、 今後の方向が決まり次第、 皆様にはご通知いたしますが、 11月下旬頃には今後の連絡先も含めまして概要をウェブサイト(http://www.jipta.net/)に掲載してお知らせしたく思っていますので、 それまでお待ちくださるよう、 お願いいたします。
ご迷惑をおかけします点、 重ねてお詫び申し上げます。

2008年11月4日
    日本通訳協会    
代表 向 鎌治郎


<参考>
http://www.bunsai.net/html/about.htm
特定非営利活動法人 文際交流協会 代表 向 鎌治郎
[略歴]
慶應義塾大学在学中マグロ船で渡米。米国ポートランド州立大学卒業。帰国後慶應義塾大学・同大学院修了。在学中に通訳ガイド養成所と日本通訳協会を創立。その後、文際教育交流センター、オープン・ドア日本協会(現在の文際交流協会)、ナセル文際交流協会を設立。

1988年、国際交流の各分野の第一線で活躍する日本全国の担い手たちの集い「箱根会議」を提唱、設立。平成5年度文部省(当時)研究助成により異文化体験ゲーム“クスクス”を開発するなど、国際理解教育と留学、英語教育と異文化理解等の分野で幅広い活動を展開中。英語教育では「通訳学習を応用した英会話学習」や「IQよりEQを重視する教育」を提唱。

2004年、地域社会振興等貢献活動功労者として(社)茗渓会より表彰をうける。現在、特定非営利活動法人文際交流協会理事長の他に、日本通訳協会/日本英語会代表を兼任の傍ら、中国の大学(北京語言大学、北京第二外国語大学)で「異文化コミュニケーション」の教鞭をとる。

[主な著書]
『オールラウンド英会話教本』(研究社)、『英語通訳への道』(大修館)、『THE高校留学』(共著/はる書房)、『高校生の留学と国際交流』(共著/三修社)、『中学英語で通訳ができる』(ジャパンタイムス社)、『DONDON 英会話』(研究社)、『英会話「通訳式」トレーニングすばやく自然な受け答え上達法』(宝島社)など多数。