季節の「うえの」

上野周辺の四季折々の見所や、地元民ならではの楽しい情報を中心に、日本茶に関する話や明日から使える?発見をお届け致します。

ラジオショッピングの商品を考えてみる

2016-10-21 16:11:18 | Weblog

こんにちは、茶坊主の見習い店員です。いつもありがとうございます。

 

 

最近、よくラジオを聴きます。というのも、お気に入りのラジオがあり、それを聴いているうちに

 

 

他のも聴くようになったというところです。

 

 

その中で、ラジオもさることながら、「ショッピング」を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。 

 

 

ラジオショッピングにしろ、テレビショッピングにしろ、商品を紹介するCMは欠かせずに、売り口上も含めて楽しいですよね。

 

 

過日、ラジオショッピングで「掛川茶」を販売するコーナーがありました。

 

 

各お店色々な売り方があり、売り文句があるので、楽しく聞いていましたが、

 

 

場末のお茶屋として、少しそのお茶を分析してみたくなりました。もちろんお茶を見ていないので何とも言えませんし、

 

 

耳の情報から推測するもので、決して、販売者を悪口を言う意図はないので、ご了承くださいね。

 

 

<聞こえてきたフレーズ>

「静岡県掛川市のお茶」「お茶は荒茶(あらちゃ」「農家の方が自分たちの為だけに作っている、まかない茶」

 

「めったに市場に出回らない」「特別なお茶」「太陽の恵みをいっぱい受け、アミノ酸たっぷり」「5杯で脂肪燃焼効果も」

 

「静岡県のお茶品評会で「農林水産大臣賞」を受賞した、お茶園(もしくはお茶屋)が作ってる」

 

「今だけ、なんと200g入りを8袋で1,6㎏で5,980円、送料無料」「差し上げても喜ばれる」・・・

 

 

こんな感じのPRアナウンスでした。

 

 

まず、荒茶(あらちゃ)とは・・・

 

 

上記をご覧いただければわかるように、茎や粉などが混じっている、つまり選り分けていないお茶です。

 

この荒茶から、茎や粉を取り、形をそろえて「火入れ・乾燥」という作業を経て、仕上げ茶になります。

 

この形の揃え方、粉と茎の抜き方、火入れの仕方が製茶問屋の腕の見せ所です。

 

そして、この仕上げ茶を、味と香りを鑑別しながらブレンドするのがお茶屋の腕の見せ所です。

 

簡単な比較↓↓↓

 

 

 

次に、値段。

 

1,6kで6,000円弱とすると、1袋200gが約740円。わかりやすく100gにすると370円のお茶です。

 

一般的な相場からすると、お茶の摘採、摘まれた時期は6月中盤。いわゆる5月頃の「新茶」ではないと考えられます。

 

もし新茶だとしても、最晩期頃だと。となるとお茶自体も「煎茶」と「番茶」の境界線くらいの品質ではないでしょうか。

 

まあ、でも「荒茶」なので、煎茶の方に入るかも。(仕上げ加工していないので)

 

 

味としては、

 

太陽をいっぱい浴びてアミノ酸は、考えられません。アミノ酸=うま味は、玉露や抹茶などに代表されるような、新芽の時期に日光を遮ります。

 

うま味は、簡単に言えば、太陽を浴びると、カテキン、苦渋味に変わりますので、両成分がともに多いことは考えられません。

 

新茶の早い時期はうま味が強く、だんだん後半になるにつれて、苦渋味が出てきます。このバランスのいいところでお茶を摘むのがポイントです。

 

つまり、このお茶は、お値段からして、うま味より、どちらかというと、さっぱりした苦渋味が強い、多いと推測できます。

 

誤解が無いようにいうと、苦渋味は、決して劣っているわけではありません。味の好みですし、この味がカテキンですので、健康効果は

 

むしろ、お安い番茶の方がカテキン摂取という意味では優れていると言えます。

 

売り文句としては、

 

「農家のだけのまかないのお茶」ですが、農家の方はビールの方が好きなようです。

 

というと誤解されますので、冗談として、「荒茶」は、火入れ乾燥をしない分、お茶の葉に水分が多いため、傷みやすい、品質が急激に低下しやすいお茶です。

 

ですので、毎日生産される荒茶を工場内でその時期には飲むでしょうが、あまり、まかないとして隠して特別に飲むというほどのお茶ではないと思います。

 

一般のお店では、確かに「仕上げ茶」よりは、保存の上記の理由からもあまり見かけませんが、無いこともないと思います。

 

近所のお菓子屋さんでも見かけますし(笑)

 

また農林水産大臣賞は、この価格でしたら、全く関係のない話です。製茶問屋さんが受賞していたら、お茶の仕上げ技術の高さと、契約する茶畑の出来が

 

良かったんでしょうし、茶園でしたら、栽培管理が行き届いた熱心な農家さんということになります。

 

脂肪燃焼効果は、この価格帯のお茶なら、期待できるかと思います。が、薬でないので、明言を避けつつ・・・

 

 

ちなみに、今手元にある、それこそ「静岡県掛川市産」の今年の「荒茶」を比べてみました。

 

 

1番茶(新茶)4月下旬摘採

 

 

 

 

 

同じお茶工場で生産されたものです。ですのでほぼ同じ地域(あるいは同じ畑)の2番茶(6月初旬)

 

お茶の写真は難しいのでよくお分かりになるかわかりませんが、

 

1番茶の方が芽が細かい(=葉が柔らかい=うま味が強い)のがわかるかと思います。また色も鮮やかな緑色です。

 

一方、2番茶は、葉が少し扁平で大きくなって、緑色も浅くなっています。これは繊維が多い=葉が大きい(苦渋味がある)ということです。

 

(この2番茶は、2番茶でも比較的上質なものです。)

 

 

お茶自体を拝見していないので、なんとも言えませんが、上記のことをまとめると、何となく

 

このラジオショッピングで売られているお茶のグレードがわかるかと思います。

 

お茶自体は、よく「品質がわかりずらい」とお聞きしますが、この様に、少しづつ分類すると

 

多少はお分かりになられるかと思います。

 

しかし、やはり実際は、手で触って、鼻で嗅いで、舌で吟味してみないことにはわかりません。

 

こんな吟味を、日々コツコツ繰り返し、お客様にお届けするお茶をお届けしているのがお茶屋でございます。

 

長々と失礼を致しました。最後までお読みいただきありがとうございました。

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