「東京ラビリンス」第22話・人質

「ん……」
 顔に触れる空気は刺すように冷たいが、背中には仄かな温もりを感じる。
 澪はぼんやりと目を開いた。
 錆びて崩れかかったドラム缶、乱雑に積まれた藁、無造作に放置されたシャベルや布きれ、塗装が剥げて変色したトタン板、腐蝕しかけた金属製のバケツ、薄汚れたガラス窓、その高窓から降りそそぐ月明かり。どうやら、ほとんど廃屋といってもいい物置小屋か何かのようだ。そして、自分は――。
「動くな!」
 耳をつんざく鋭い声に、澪はビクリと身をすくませる。
「せっかく温まった空気が逃げる」
「あ……」
 澪と男は薄汚れた一枚の毛布にくるまっていた。その毛布以外は、おそらく二人とも何も身につけていない。澪は男の膝の上で抱きかかえられていたが、密着している部分は間違いなく双方とも素肌である。
 ただひとつ、澪には手錠が嵌められている。
 その感触と痛みで、何があったのか記憶がよみがえってきた。研究所からこの男に連れ去られる途中、澪が逃げ出そうとしたことで、二人一緒にバイクごと真冬の海へ転落したのだ。それ以降のことは何も覚えていない。
「おまえ、心中でもする気だったのかよ」
「……私は、ただ逃げようとしただけ」
「バカが、結果を考えてから行動しろ」
「そっちこそ!」
 澪はカッとして後ろに振り返った。瞬間、大きく目を見張って硬直する。
「それが、本当の色……?」
「ああ、カラコン流れちまったのか」
 至近距離で自分に向けられていたのは、まるでサファイヤのような鮮やかな青の瞳だった。高窓からの月明かりを浴びて、神秘的に、不気味に、怖いくらいの鮮烈な輝きを放っている。
「あなたいったい何者なの?」
「答える義務も義理もない」
「あの女の子と同じで、人間じゃない……?」
 冷たく一蹴されても引き下がらず、澪は憶測を投げかける。不思議な力を使うことから考えても、女の子を知っていたことから考えても、おそらく間違いないだろうという気がした。しかし、男は露骨にムッとして眉根を寄せる。
「それはおまえらの言い分だ」
「えっ?」
「正確なことは俺にもわからないが、もともと同じ人間だったのは事実だ。おそらく、環境の違いにより別々の進化をたどった、というところだろう。俺らの側から言わせれば、おまえらが人間じゃないとも言える」
 澪はハッと息を呑み、目を伏せた。
「……ごめんなさい」
「俺も感情的になった」
 男は気持ちを整えるように息をついた。そして、静かな口調で話を続ける。
「たとえ双方にゲノムの違いがあったとしても、本質的な部分では何も変わりはない。俺がこの国で何年か過ごして実感したことだ」
「でも、手から光みたいなのを出してたのは、その遺伝子の違いによるものだよね?」
 澪が尋ねると、男は急に怪訝な顔になった。
「おまえは使えないのか?」
「私たちは誰も出来ないよ」
 何年もこの国にいながら知らなかったのだろうか、と澪は不思議に思う。あのようなことが出来るのであれば、とっくにその力を使って反撃していただろう。これほど大人しく連れてこられはしなかった。
 彼の眉間の皺はいっそう深くなる。
「力はあるんだがな」
「どういうこと?」
「ん? ああ……」
 彼は低い声で相槌を打つと、思考を巡らせながら言葉を紡いでいく。
「あれは……俺らは魔導というような呼び方をしてたが、おそらくゲノムの違いには関係ない。俺らの中でも力のない奴は大勢いたし、こっちでも力を持った奴はいる。おまえたち双子のようにな」
「私と、遥?」
 澪は困惑しながら首を傾げた。
「でも、本当にあんなこと出来ないんだけど……私も、遥も……」
 男は表情を険しくして考え込んだ。そして、普段より若干低めの声で切り出す。
「橘美咲が研究していたのは、この力だ」
「えっ……」
 もし彼の言うことが真実だとすれば、自ずと一つの推論が導き出される。そのような恐ろしいことは、出来るなら信じたくはない。ただ、幼い頃から頻繁に研究所に連れてこられ、健康診断と称して検査や点滴をされるなど、思い当たる節がありすぎるのだ。僕らも人体実験されていた――遥の言ったことは間違っていなかったのかもしれない。
「知らなかったのか?」
 そう尋ねられ、澪はうつむいたまま小さく頷く。
「橘美咲の手がけている研究は、戦後最大のエネルギー革命になるとも、人類最大の兵器になるとも言われている」
 男は耳元で静かに語り始めた。
「エネルギーを生み出して増幅させ、自在に発動させることができれば、おそらく各種爆弾に取って代わる兵器となるだろう。原爆と同規模のものも不可能じゃない。それも、いっさい汚染のないものだ。すべてを吹き飛ばして更地にしたうえで、すぐ次の目的に利用することもできる。ただ、そのエネルギーに耐えうる器を作ることができていない。器となりうるのは、今のところ、もともとその力を持った人間だけ――つまり、俺や、あの子や、おまえら双子だ」
 澪はごくりと唾を飲んだ。
 男はさらに難しい顔になり、重い声で話を続ける。
「その原理を解明しようとしているのか、手っ取り早く人間兵器を作ろうとしているのか――どちらにしても、利用価値はあるってことだな」

 ザッ、ザッ、ザッ――。
 不意に、小屋に近づく鈍い足音が耳に届いた。
 男は瞬時に全身を緊張させた。息をひそめ、大きな手で澪の口を塞ぐ。
「武蔵、おるのか?」
「ああ……入ってきてくれ」
 しゃがれた声を聞くやいなや、男は大きく安堵の息をついて扉越しに答える。すると、立て付けの悪い扉がギギギと開き、地味な作業着姿の老人が小屋に入ってきた。足腰はしっかりしてそうだが、頭髪はほとんど真っ白で、顔には深い皺が刻まれている。剛三よりも幾分か年老いている感じだ。
「ほれ、着替えじゃ」
「サンキュ」
 男は邪気のない笑顔で答え、そそくさと一人毛布から抜け出していった。乱雑に地面に落とされたその毛布を、澪は手錠をされたまま大慌てで掻き寄せ、裸の体を隠すべくあたふたと巻き付けていく。恨めしげに口をとがらせ横目を流しても、彼はまるで意に介していないようだ。前を隠すことなく堂々と立ち、老人から大きな手提げの紙袋を受け取っていた。
「ムサシ……って名前?」
「そ、宮本武蔵の武蔵」
 紙袋から取り出した衣類を身につけながら、軽い口調でそう答える。本当のことを知らないときであれば、素直に信じたかもしれないが、今となっては胡散臭いとしか思えない。
「本名じゃないよね」
「世を忍ぶ仮の名だ」
 彼は真顔でそんな答えを返すと、ジーンズを穿き、ブルゾンに袖を通し、黒々とした前髪を大きく掻き上げる。
「……髪、染めてる?」
 澪が遠慮がちに尋ねると、武蔵と名乗った男はニヤリとして振り向いた。その意味ありげな視線に耐えかねて、澪はぷいっと顔をそむける。そして、ほんのり染まった頬を膨らませながら、縋るように毛布を掴んで身をすくめた。
「さ、行くか」
「ちょっ、もういいでしょう?!」
 澪は体をよじって精一杯の抵抗を示すが、彼はものともせず、薄汚れた毛布ごとひょいと抱き上げた。
「何のためにわざわざ助けたと思ってんだ。おまえは人質だ」
「せめて服くらい着させて! 私の服はどうしたわけ?!」
「そうだ、忘れてた」
 武蔵の振り向いた方に、二人の着ていた服が無造作に積み上げられていた。まだ濡れているようだ。彼は横抱きにした澪を下ろすことなく、その衣類の山に左手を突き出すと、日本語でも英語でもない言葉を呟く。すると、手のひらから強烈な光球が放たれ、服はすべて一瞬で灰と化した。
「ちょ……!」
 抗議は言葉にならなかった。
 武蔵は唖然とする澪を抱いたまま、老人とともに足早に小屋をあとにした。

 外はまだ暗く、夜は明けていなかった。
 澪たちのいた小屋は、枯れ木に覆われた小山を少し登ったところにあったようだ。他に建物は見当たらない。不気味なくらいの静寂があたりを包んでいる。草を踏みしめる音がやけに大きく響いた。
「ねえ、おじいさま」
 隣を歩く老人に、澪は媚びるように声をかけた。
「私、橘財閥会長の孫なの」
「ほう」
 興味をひかれたような声音。
 脈ありとばかりに、澪は老人の方に首を伸ばして畳みかける。
「ね、どうにかして私を逃がしてくださらない? 無事に逃げられたらきちんとお礼をするわ。私個人でも一千万くらいなら出せるし、祖父に頼めば三億くらいは用意してくれると思うの」
 老人はフッと小さく笑った。澪を一瞥し、ゆったりと後ろで手を組み合わせる。
「お嬢ちゃん、ワシは友人を売ったりはせんよ」
「友人? だったら悪事に手を染めるの止めなきゃ!」
「武蔵は何も間違ったことをしておらんだろう」
「うら若き乙女を拐かそうとしてるじゃない!!」
「おまえ、いいかげん黙れ」
 武蔵がうんざりした口調で割り込んできた。呆れたような目つきで、腕に抱く澪をじとりと見下ろしている。確かに、犯人の目の前でこんな交渉をするなど、馬鹿げた行動としか言いようがないだろう。それでも、僅かでも可能性があるのなら、どんな無謀なことでも試さずにはいられなかった。
 こうなったら――。
「大声で助けを呼ぼうとか考えるなよ」
 まるで思考を見透かしたかのようなタイミングで、武蔵がそう牽制する。澪はグッと言葉を詰まらせるが、すぐに気持ちを立て直し、真っ向から強気な視線を送って挑発する。
「私は大切な人質なんでしょう?」
「ああ、おまえには生きててもらわないと困る。だが――」
 武蔵はいったんそこで言葉を切ると、足を止め、凄みのある低い声を突きつける。
「おまえを助けに来た奴は、全員殺す」
「なっ……」
 澪は口を半開きにして固まった。
「悲鳴を上げたら、無関係な人も含めてまわりは皆殺しだ。俺にはそれが可能だということも、今のおまえならわかるだろう。無駄な死人を出したくなければ大人しくしてろ。いいな?」
「…………」
 理性的に諭すような口調であるが、実質は脅迫以外の何物でもない。そのようなことに素直に頷こうという気にはなれない。だからといって逆らうこともできはしない。不条理に耐えつつ、キュッと唇を噛み締めるのが精一杯だった。

 しばらく林道を下ったところに、小型トラックが駐めてあった。
 荷物の積載部分はアルミの箱になっており、宅配業者が配達で使ってそうな印象の車だ。それなりに手入れはされているが、かなり古びているように見える。しかし、それがかえって本物らしさを醸し出していた。
「検問はあったか?」
「いや、一度も見かけんかったな」
「念のため大通りは避けてくれ」
「わかっておる」
 二人はそんな会話を交わしながら、トラックの後方へと向かう。
 老人が荷台の扉を開くと、武蔵は澪を抱えたまま軽々と飛び乗った。そして、荷台の中ほどでそっと澪を下ろし、積まれた段ボール箱をいくつかどけて、意図的に隠していたと思われる奥の扉を開いた。その向こう側は、人ひとりが何とか立てるくらいの狭い空間になっている。いわゆる隠し部屋のようなものだろう。
「入れ」
 この状況では従うより他にない。
 澪は長い毛布を内側からつまみ上げて中に進んだ。すぐあとから彼も入って扉を閉める。微かな光さえ届かない暗闇で、武蔵は手探りで澪を引き寄せて拘束する。薄いアルミの向こうからは、段ボール箱を引きずるような音が聞こえた。
「武蔵、良いか?」
「ああ、行ってくれ」
 老人は了解を得るとすぐに荷台から降り、運転席に乗り込んでエンジンをかける。澪たちを乗せたトラックは、小刻みに振動しながらゆっくりと林道を走り出した。

「おい、起きろ」
 澪はその声で目を覚ました。
 いつのまにか、立ったまま武蔵に身を預けて眠っていたようだ。トラックはすでにエンジンを切って停車している。一時間か、二時間か、どのくらい走ったのかわからない。ここがどこなのかもわからない。最初のうちは外部の音に耳を澄ませていたが、夜明け前という時間もあり、これといって手がかりらしきものは得られなかった。
「おい!」
「起きてるよ」
 澪はムッとしてぶっきらぼうに言い返す。彼から離れようとするが、腕できつく拘束されて身じろぎもできない。文句を言おうとしたそのとき、ギィ、と音を立てて外から扉が開かれた。
「サンキュ、じいさん」
 武蔵はそう言いながら、澪を抱きすくめたまま荷台へ出た。
 そこには、半開きになった外扉から光が射し込んでいた。老人の顔も武蔵の顔も判別できる。が、トラック外の様子はその扉が邪魔してよく見えない。全体的に明るそうに見えるし、鳥のさえずりも聞こえるので、もう夜は明けているようだ。
「わっ……」
 ぼんやりと考えごとをしていると、いきなり武蔵の着ていたブルゾンを頭に巻き付けられた。視界が遮られて何も見えなくなる。あたふたしていると、またしても武蔵の両腕に抱き上げられた。
「息苦しいかもしれないが、しばらく我慢してくれ」
 そう言って、彼は澪を横抱きにしたまま荷台から飛び降り、坂道らしきところを大股で歩いて上っていく。足音は一つだけだ。トラックの走り去る音が聞こえたので、あの老人は武蔵を下ろして帰ったのだろう。
 数分ほど歩き、どこかの建物に入った。
 床に座らされるような格好で下ろされ、頭に巻き付けたブルゾンを外される。はぁっと大きく息を吸い込むと、手を握り合わせながら、こわごわと顔を上げて周囲を見まわした。
 そこは、ただっ広い部屋だった。
 調度品はほとんど置かれておらずガランとしている。ただ、左奥にはダイニングテーブルとキッチンがあり、そこだけは冷蔵庫や調理器具など多少の生活感を窺うことができた。正面奥はガラス窓になっているようだが、厚手のカーテンが引かれていて外は見えない。
 武蔵はどこからかもうひとつ手錠を取り出して、細いポールに澪の左手を繋いだ。
「なっ……」
 右手と左手、左手とポールがそれぞれ手錠で繋がれている状態だ。腕を引っ張り出されたことで、体に巻き付けてあった毛布が滑り落ちたが、武蔵はすぐにそれを拾い上げて巻き付け直した。
「俺、シャワー浴びてくるわ」
「あっ、自分だけずるい!」
「じゃあ、一緒に入るか?」
「誰がっっ!」
 澪は噛みつかんばかりの勢いで言い返した。
 しかし、武蔵はふっと軽く笑っただけで、思い出したようにエアコンをつけると、何も言わずに部屋をあとにした。残されたのは静かな運転音だけである。澪はポールに頭をつけてぐったりとうなだれ、大きく溜息をついた。

 ――もしかして、チャンス?
 部屋が暖まってきた頃、澪はようやくその考えに至った。
 外に見張りがいるわけでもなさそうなので、手錠さえなんとかすれば逃げられるはずだ。慌てて、左手が繋がれているポールを観察する。見たところ手首ほどの太さしかないが、金属製で継ぎ目もなく、ちょっとやそっとでは壊れそうもない。床から天井まで通っているため、壊さずに抜くことも不可能である。手錠の鎖を引きちぎることも上手くいかなかった。とはいえ、可能性としてはそれがいちばん高いだろう。
 澪は真剣な顔で頷いた。
 ガシャガシャ、ガシャン――歯を食いしばって痛みに耐えながら、何度も全力で引きちぎろうとする。すでに痛々しく変色していた手首に、新たな傷がいくつも重ねられていく。毛布が落ちて上半身が露わになったが、そんなことに構っている余裕はない。あまりの痛さに脂汗が滲んでも、傷口から赤い血が滲んでも、手を止めようとはしなかった。

「ったく、無駄なことはやめろ」
 呆れたようにそう言いながら、武蔵が部屋に戻ってきた。半袖Tシャツにジーンズという冬らしからぬ格好だが、エアコンのきいたこの部屋ではちょうどいいくらいかもしれない。首にかけたバスタオルで無造作に髪を拭きながら、拘束されている澪の方へと足を進める。
「……っ!」
 そのとき、澪は自分の上半身が裸であることに気付いて息を呑んだ。しかし、手錠で繋がれたこの状態では、毛布をかけ直すことも体を隠すこともできない。すでにさんざん見られてしまったので、今さらではあるが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。
「む……無駄かどうか、やってみないとわからないじゃない……」
「その手錠はおもちゃじゃない。おまえよりよっぽど頑丈だ」
「…………」
 言われるまでもなく、本当はもう身をもって気付かされていた。ただ認めたくなかっただけである。現実を突きつけられて沈む横顔を、武蔵はしゃがみ込んでじっと見つめた。
「シャワー浴びてこい」
「えっ、いいの?」
「悪臭を放たれても困るからな」
「悪臭って……」
 澪は微妙な面持ちで口をとがらせるが、武蔵は無表情のまま鍵を取り出し、ポールに繋がれていた左手の手錠を外した。ただし、両手を繋ぐ手錠はそのままである。
「下手なことは考えるなよ」
「ちょっと、毛布っ!!」
 澪は武蔵に抱き上げられた。かろうじて足もとに掛かっていた毛布は、無情にも彼に払いのけられ、今は何ひとつ身につけていない状態だ。身をよじって毛布を示してみるものの、彼は醒めた目で見下ろすだけである。
「どうせシャワーを浴びるんだ。すぐそこだからいいだろ」
「そういう問題じゃなくてっ!」
 必死の抗議も虚しく、結局、澪は素っ裸のままバスルームへ連れて行かれた。

「……ずっと見張ってるつもり?」
「おまえは油断ならないからな」
 バスルームの扉を開け放ったまま、武蔵はその入り口を塞ぐように座り込んでいた。狭いバスルームなので必然的に距離は近くなる。そんなところからじっと見張られていては落ち着かない。何より、逃げるのが格段に難しくなってしまう――。
 それでも、この機会を逃すつもりはない。
 澪は不自然にならない程度に自分の体で隠しながら、シャワーの温度設定をさりげなく最高値までまわす。残酷なことだという自覚はあったが、このくらいやらなければ逃げられはしないだろう。シャワーヘッドを手にとって堅く握りしめると、目一杯カランを捻り、武蔵の顔面に思いきり熱湯を浴びせかけた。つもりだったが――。
「えっ?!」
 彼の前にガラスでも置かれているかのように、熱湯シャワーはその手前できれいに阻まれた。アイボリーの床へ垂直に流れ落ち、もわもわと白い湯気が立ち上る。その向こうから現れたのは、凄まじい怒気を放つ青の双眸――。
 ゴトン。
 澪はシャワーヘッドを滑り落とした。立ち上がった彼に気圧されて後ずさるが、たったの二歩で壁にぶつかる。足は今にも崩れそうなくらいガクガクと震え、背筋にはぞくりと冷たいものが走った。
「本当に油断も隙もねぇな」
 武蔵は低く唸るようにそう言うと、ズイッと間合いを詰め、大きな手で乱暴に顎を掴み上げた。
「ぐ……」
 澪の顔は苦痛と恐怖で大きく歪み、喉の詰まるような声が漏れた。それでも彼の手は緩まない。鮮やかな青の瞳が、視界に映るすべてが、次第にぼんやりとその輪郭を失っていく。
 意識が途切れかかったそのとき、手が離された。
 澪はぐったりと壁に寄りかかり荒く呼吸をする。足もとで身を屈めた武蔵に目を落とすと、彼は温度設定を適正値に戻しながら、床に投げ出されたシャワーヘッドを拾い上げていた。自分の手で水温を確認したあと、そのシャワーを澪の頭上から浴びせかける。
「んっ?!」
 澪は思わず目をつむって下を向くが、武蔵は容赦なく強い水流で浴びせ続けた。そして、ありえないくらい大量のシャンプーをかけると、乱暴な手つきで髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜていく。みるみるうちに、澪は頭から体まで泡だらけになった。

 髪も、体も、すべて武蔵の手で洗われた。
 初めは怒りまかせの乱暴な手つきだったが、その荒々しさは徐々に消えていき、体を拭かれるときにはすっかり冷静に戻っていた。その手で服も着せられる。用意されていたのは、武蔵のものと思われる黒のトレーナー一枚きりである。しかしながら太腿くらいまで丈があり、見られたくない部分を隠す役割は、ひとまず果たしているといえるだろう。
 部屋に戻ると、再びポールに繋がれる。
 手首は広範囲にわたって傷ついており、内出血もひどく、もはや暴れる気力はなくなっていた。手錠を外されたのはトレーナーに袖を通すときだけで、あとはずっと嵌められっぱなしである。バスルームでは湯が沁みてさんざんな思いをした。今となっては、おとなしく繋がれているだけでも痛みを感じる。
 武蔵はキッチンで食べるものを作っていた。
 炊飯と煮物の匂いに食欲が刺激され、堪え性のないおなかが、ぎゅるぎゅるとけたたましく音を立てた。澪は顔を赤らめてうつむく。武蔵には聞こえていないことを祈った。だが――。
「待ってろ、もう少しだから」
 彼はニッと口もとに笑みをのせて振り返る。
 その表情が無性に腹立たしく、澪は口をとがらせて上目遣いで睨みつけた。

 野菜の煮物と白飯、お茶、箸などが、ダイニングテーブルの上に並べられている。
 それを挟んで、澪と武蔵は向かい合わせに座っていた。まるで家族の食卓のようである。ただ、澪の両手を繋ぐ銀色の手錠が、その家庭的な雰囲気を台無しにしていた。
「材料がなくてたいしたものが作れなかったが、今日はこれで我慢してくれ。あしたからはもう少しまともなものを食わせてやる」
 武蔵は箸を手に取りながら言う。
 しかし、澪は両手を膝に置いてうつむいたままだった。
「手錠じゃ食えないなんて言うなよ」
「そうじゃなくて……」
 武蔵の視線から逃げるように目を逸らし、少し迷いつつも口先でぼそりと答える。
「何か……毒とか、変なもの入ってないかなって……」
「はぁ?」
 武蔵は裏返った声を上げると、これでもかというくらい盛大に溜息をついた。
「おまえ、本っ当にどうしようもないバカだろ。わざわざ毒なんか仕込まなくても、その気になれば、おまえくらい簡単に殺せるんだよ。なんでそんな七面倒くさいことをやる必要があるんだ」
「殺すのが目的じゃなくて……自白剤とか、惚れ薬とか……」
 澪としては真面目に考えたつもりだったが、武蔵は心底呆れ果てたような顔をしていた。溜息をつきながら澪の皿に箸をのばすと、じゃがいもを取って自分の口に放り込む。そして、見せつけるようにモグモグと口を動かして飲み込んだ。
「これで信用したか?」
「でも……」
 ぎゅるるる、と再びおなかが高らかに鳴り響いた。あまりの恥ずかしさに、澪は顔を紅潮させて小さく身を縮こまらせる。今にも頭から蒸気が噴き出しそうになっていた。
「食え、命令だ」
 面倒くさそうに武蔵は言いつける。
 不安に思う気持ちは残っていたが、そこまで言われては仕方がない――と内心でもっともらしい言い訳をしつつ、澪は両手を繋がれたまま箸を持ち上げ、危なっかしい手つきでじゃがいもを口に運んだ。
「……おいしい」
「だろ?」
 思わず呟いてしまった一言に、武蔵は嬉しそうに目を輝かせた。その屈託のない表情が、澪の警戒心を和らげる。両手を繋がれているという慣れない状態で、何度も箸を往復させ、時間は掛かったがすべてきれいに平らげた。

 窓には遮光カーテンが引かれているので、外の様子はわからないが、だいぶ日が高くなっているように感じた。隙間から漏れ入る光が、ここへ来たときよりかなり眩しくなっている。そろそろ昼になる頃かもしれない。
 澪はポールの横に座り込んだまま、武蔵を見ていた。
 彼は一組の布団をポールにくっつけて敷いている。薄っぺらな煎餅布団で、あまり寝心地が良さそうには見えない。それでも、ずっとまともに休めていない身には、今すぐにでも飛び込みたくなる代物だ。しかし、澪のために敷いてくれたのかと思いきや、彼自身が真っ先にその布団で横になった。
「俺はしばらく寝る。おまえも寝た方がいい」
「えっと……一緒に、ってこと……?」
「布団は一組しかない」
 その素気ない返答にムッとしながらも、澪はガシャガシャと手錠の音をさせて頼み込む。
「じゃあ、せめてこれ外してくれない?」
「そのままでも寝られるだろう」
 考えてみれば、これから寝ようとしているときに、人質の拘束を解く犯人などいないだろう。いっそ座ったまま眠ろうかとも思ったが、布団の引力には抗えず、彼の隣へそろりと潜り込む。両手はポールに拘束されたままなので、バンザイのような格好になっているが、座っているより随分と体が楽に感じた。吸い込まれるように意識が沈みそうになる。
 だが――。
 そのとき、不意にとある考えがひらめき、澪の眠気は一気に吹き飛んだ。実行するなら彼の疲れてそうな今しかない。ひとり密かに頷いて決意を固めると、隣の武蔵に目を向け、若干緊張しながらそろりと声を掛けた。
「……ねぇ」
「何だ」
 彼は目を閉じたまま返事をした。澪は少し彼の方に身を捩り、声になけなしの色気を乗せて問いかける。
「このまま寝ちゃうのもつまらなくない?」
「はっ?」
 武蔵は大きく目を見張って振り向き、怪訝に顔をしかめた。
 さすがに唐突すぎたかもしれない、とびくつきながらも、澪はそれを悟られないよう必死に微笑む。
「ほら、せっかく男と女が一つ布団の中にいるんだし……」
「俺は疲れてんだ、寝かせろよ」
 武蔵はぶっきらぼうにそう言い捨てると、背中を向けて布団を被り直した。微塵も興味がないと言わんばかりのその態度に、澪は本来の目的そっちのけでカチンときた。半ば意地になりながら、自分にできるありったけの甘い声で囁く。
「そんなこといわずに、ねぇ……しよ?」
「ったく……」
 武蔵は掛け布団は跳ね上げて体を起こし、眠そうな目で前髪を掻き上げた。そして、溜息を落として澪の足もとに座り直すと、おもむろに両足首を掴み、それを持ち上げながら大きく左右に広げる。
「ひゃっ! ちょっ、まっ……!!」
 完全に予想外だったその展開に、澪は顔を真っ赤にしてパニックを起こした。抵抗すべく足をばたつかせようとするものの、掴んでいる力には敵わずびくともしない。ますます焦る澪を、武蔵は無表情でじっと見下ろしていた。
「やるんだろ?」
「ま、まずこれとってよ!」
 澪はポールに繋がれた手錠をガチャガチャ動かし、大慌てで訴えかけた。
 しかし、武蔵の表情はまるで変わらない。
「別にこのままでも出来る」
「やだっ、そんなのダメ!!」
「なんで?」
 澪はすでに頭が真っ白になりかけていた。それでも、彼を納得させる答えを捻り出すべく、死にもの狂いで思考を巡らせる。額にはじわじわと汗が滲んだ。やがて、彼の冷ややかな視線に追いつめられ、考えがまとまらないまま口を開く。
「わ……たし……ノーマル至上主義なの!!」
「…………くっ」
 武蔵は掴んでいた澪の足を下ろしてうつむくと、小刻みに体を震わせる。
「えっ……あ……もしかして……」
「おまえ、本当にどうしようもないバカだな」
 その声は笑いを含んでいた。頭の後ろで手を組みながら、澪の隣にごろんと仰向けになる。
「おまえの考えてることなんて丸わかりなんだよ。それに、手錠を外したって俺から逃げられはしない。やられ損になるだけだぞ。結果を考えてから行動しろって言っただろう」
「だって……帰りたいんだもん……」
 嘘偽りのない率直な言葉。
 それにより、堰を切ったように気持ちがあふれ出す。
「誰だってそうでしょう? 得体の知れない人に監禁されたら、どうにかして逃げ出したいって思うじゃない。逃げる方法があるなら試してみたいじゃない。バカかもしれないけど必死なの。遥や師匠のところに帰りたい、学校に行きたい、遊びに行きたい……ずっと続いていた幸せな日常に戻りたい……ただそれだけなのに、こんな……」
 最後の方はほとんど涙声になっていた。鼻の奥がつんとして目頭が熱くなる。それでも、まっすぐに天井を見つめ、涙がこぼれないよう懸命に堪えていた。

 暫しの間、沈黙が続いた。
 耳に届くのは、鳥のさえずりと木々のざわめきくらいである。
 二人とも身じろぎ一つせず、ただじっと息をひそめている。
 そこには、呼吸さえ許されないような、張り詰めた空気が流れていた。

「研究所に監禁されていた女の子は、俺の姪だ」
 思慮深い声が、沈黙に落とされる。
 澪はゆっくりと隣の武蔵に振り向いた。先ほどと同じく、彼は仰向けのまま頭の後ろで手を組んでいる。その声からも横顔からも感情は窺えない。ただ、青い瞳だけは、思いを馳せるように遠いところへ向けられていた。
「俺の故郷では、小さな子供が行方不明になる事件が続いていた。わかっているだけで十人は下らない。いずれも犯人からの接触は皆無だった。巷では神隠しだの何だのと言われていたが、俺たちは、外部からの侵入者によるものだとあたりをつけていた。そんなとき……姪のメルローズも、忽然と姿を消してしまった」
 穏やかな口調だが、そこにはやるかたない思いが滲んでいる。
「俺はメルローズを捜すために故郷を出た。けれど手がかりが掴めないまま何年も過ぎ、諦めかけていたとき、ようやく掴んだ糸口が橘美咲の研究だった。残念ながら、あと一歩というところで救出には失敗したが、橘美咲に監禁されていたという確証は得られた」
 地下室のベッドで手枷を嵌められていた、白いワンピースを着た赤い瞳の少女――忘れようとしても忘れられない鮮烈な光景だ。もっとも、それを目にしたのは澪だけで、武蔵はまだ対面を果たしていない。
「俺は必ずメルローズを救う……といっても、故郷に帰る手立てを失った俺には、あの子を両親のもとに帰してやれないかもしれない。けれど、せめて人並みの幸せくらいは与えてやりたいと思っている。実験体として一生を終えさせたくはないんだ」
 ドクン、ドクン、と澪の鼓動は大きく脈打ち始めた。
 武蔵はゆっくりと振り向き、青の双眸でまっすぐに澪を見つめる。
「だから……ここにいてくれ。人質になってくれ」
 深く突き刺さる真剣な言葉。
 彼の姪である小さな少女は、一方的に日常を奪われ、人生を台無しにされ、未来さえ望めなくなっている。そして、その犯人はおそらく自分の母親であり、今もどこかで少女の監禁を続けている。なのに、自分は自分のことしか頭になくて――考えているうちに、いつしか涙が溢れて止まらなくなった。顔をそむけても嗚咽までは隠しようがない。
「泣きたいのはこっちなんだがな」
「ごめんなさい……わた、し……お母さまのせいでこんな……」
「悪いのはおまえじゃないし、連帯責任だとか言うつもりもない」
「でも……」
 武蔵は煩わしげに溜息をついて体を起こすと、冷たい一瞥を送る。
「罪悪感や同情で泣くのは勝手だが、俺からしたらうっとうしいだけだ。おまえに泣かれても謝られても、問題は何ひとつ解決しないし、所詮はおまえの自己満足でしかない」
 澪には返す言葉がなかった。
 それでも小さくすすり上げていると、武蔵が真上から覆い被さるように覗き込んできた。澪はビクリとして顔をこわばらせる。だが、彼は何も言うことなく、身につけていたTシャツで澪の涙を拭った。冷ややかな表情とは裏腹の、その気遣わしげな手つきは、形容しがたい戸惑いと不安を澪に与えた。


…これまでのお話は「東京ラビリンス」でご覧ください。

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七海。
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らくがき・アンジェリカ

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らくがき・遥

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名探偵コナン「コナンVS平次 東西探偵推理勝負」

しっかり対抗心を燃やしている平次とコナン。世良さんの一言で推理対決をすることに。二人とも大人げなさすぎてちょっと可愛かった。平次はいつものことだけど、新一(コナン)のこういうのはめずらしいもんね(笑)。

世良さん、自称探偵なのに平次のことを知らなかったんだ。平次って関西以外ではあまり知られていないのかな。どのくらい名があるのかイマイチわからないんだよなぁ。新一も関西ではそんなに知られてないのかな。でも、新一は新聞の一面にデカデカと載ってたりしたし…いや、全国紙かどうかはわからないけど…。

平次、やっぱり世良さんのことを女性だとわからなかったか。まあ、あの格好では仕方ないよな。しかし、初対面の女性に向かって乳が寂しいとか…失礼にもほどがあるよねぇ(汗)。相手によっては命がないぜ…ってか、世良さんがもし本気で怒ってたらかなりやばかったと思う!

レトルトカレーを買いにファミレスに寄った和葉が、男性がトイレで亡くなるという事件に遭遇。大男の外国人で日本語がペラペラな人が居合わせたらしい。誰かと思ったらFBIのキャメル捜査官でしたか! 人相悪いって平次はまたしても失礼発言。和葉もフォローにならないフォローを…お似合いですねこの二人(笑)。

キャメルは休暇を取って日本に旅行に来てる…というわりには、ジョディやジェイムズまで日本にいるんですね。どう考えてもプライベートに思えないんだけど。このメンツってことはやっぱり世良さんは…と勝手に予想してワクワク。世良さんはFBIに反応してたしね。

事件のことは半ばどうでもいいと思っていたけど、日本語ペラペラの外国人が関西弁を聞いて誤解するってのは面白かったな。これは平次に有利だよなぁ。この件だけで平次の方が上とは言えないでしょうね。なのに、平次はすっかり舞い上がってますよ…まあ、たまにリードしたから嬉しいのはわかるんだけど。でも最終的にはコナンが持って行くんだよね~(笑)。

関西人は下手な関西弁にはほんと厳しいよね。コナンはたぶん怒らせようとして関西弁でしゃべり出したんだろうとは思ってたけど、まさか本当にそんなことに引っかかるとは…。あの犯人に堪え性がなかっただけだよね…。

来たよ、来た来た! 世良さんの画像がキャメルからジョディに送られてきました。キャメルもジョディもかなり気になっている様子。ジェイムズがすぐに女性と言い当てたのは本当に年の功なのかな。実は知ってるんじゃ…。そして、世良さんの顔を見てジョディはあることに気付いたっぽいですね。ふふ、楽しみだなぁ。

平次が東京に来た理由は、死んだ人から送られてきた手紙について調べるため。どうやらその人を殺した犯人が送ったものらしい。ここから連続殺人事件? 今日はイントロダクションでここからが本気の事件ってことですかね。FBIの極秘捜査はこれに絡んでいるのかいないのか…。世良さんのことも含めて、というかそちらが大きいんだけど、いろいろ楽しみなことが多いです。わくわく。

と思ったら、次回はデジタルリマスターか。それはそれで楽しみなんですけどね。

▼名探偵コナン アニメ感想等
名探偵コナン@SKY BLUE
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らくがき・七海

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らくがき・サイファ

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らくがき・澪

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『相棒 season 10』最終回スペシャル「罪と罰」

クローン作成に関する家族確執的な話。信心深い息子は、クローンを作った母親を「神への冒涜」と告発。母親も娘も息子もなんだかなぁ、というのが最初の印象。やっちゃいけないことをドヤ顔でやる母親はもちろん、失った子供をクローンで代用しようとする娘、宗教にどっぶりはまったエキセントリックな息子…ってね。

しかし、科学者に対して「神への冒涜」という説得は無意味だと思うんだけどなぁ。息子の宗教が何なのかちょっと気になる。キリスト教っぽく見えるけど、キリスト教にも派がいろいろあるし、エセキリスト教みたいなのもありますから。神学校に行こうとしていたみたいだから、エセというわけではないのかな。

クローンは技術的に十分可能、とはいえ、障害とかが出る可能性が高いのでは? 長くは生きられないとか、どこかおかしいとか、そんなふうになっちゃうとかいう話を聞いたことがあるような。人間以外の話だけど。人間での研究は(表向き)やってないはずなので、上手くいくかどうかはまったく保証がないわけで。というか、いきなりそう上手くはいかない気がするんだけどな。娘はそういう危険性をわかっていたのかな。いなかったんだろうな。

「家宅捜索の片付けにやってきました☆」って、神戸君、その場で思いついた出任せだったのか。詐欺師の素質があるかもしれない(笑)。でも、右京さんもあのくらいのはったりは言えますよね。いつもお手洗いを借りておきながら、お手洗いじゃないところに行ってますし。

証拠品(コート)のカマかけ。まるっとゴミに出してくれたから良かったものの、庭で焼かれたり、ずたずたに切り裂かれたらどうするつもりだったんだろう…。重要な証拠品だという目算があったんですよね。だったらきれいな状態で捨ててくれる可能性は低いと思うんだけど。あの娘があまり賢そうに見えなかったから…? にしても危険な懸けのような…。

米沢さん、最終回までこき使われまくり。なぜか右京さんには逆らえませんからね。しかし、真夜中に叩き起こされて駆けつけたとはこれまたハードな…お疲れさまです…。でも、今回はちゃんと労ってもらえましたね! 花の里で朝食っていいなぁ。自腹、じゃないですよね…? 右京さん奢ってあげたよね? せめてそのくらいはやってあげてほしい。でも、そのせいで幸子さんが叩き起こされたわけですが(笑)。

神戸君のシャワーシーンとバスロープ(ガウン?)姿はサービスショットですかね。ついつい大河内さんの姿を探してしまったではないですか(阿呆)。いや、今回はさすがにいませんでしたけどね。しかし、あの高層階はいったい…どこ…? ホテルじゃないですよねぇ? 神戸君の自宅?? すごい見晴らしがいい…お高いんでしょうね…。

右京さんにとって伊丹たちは「愉快な仲間」らしいです(笑)。右京さん自ら言っちゃいましたよ。でも薫ちゃんのいるときに言ってほしかったなぁ。

「人間が再生できたら」という神戸君に対し、「遅れて生まれてくる一卵性双生児」という右京さん。でも、実際にクローンを作ったら「遅れて生まれてくる一卵性双生児」という扱いは受けないですよね…。SFでよくあるネタだけど、適合する臓器などを得るためだけに作ったり、あるいは失った愛する人の代用としての役割だったり。そういう歪んだ目的でしか作ろうと思いませんもの。だから問題になるんじゃないかなぁ…と自分は思っています。

片山雛子から神戸君に「杉下右京を止めて」という特命が。しかし、神戸君自身も言っていましたが、無理だろうと思いましたよ。たとえ右京さんがどういう決断を下そうとも、それは右京さん自身の考えであって、神戸君の説得による心変わりではありえないだろうなと。

神戸君、思いあまって妊娠している娘を拉致りました。しかも、検挙するなら子供を始末するって…実質的な脅しですよね。でも子供を殺すってどうやるんだ? 神戸君にその手立てがあるとは思えないんだけど。母体もろともというならいくらでも手はあるけど、神戸君にそこまではできないだろうよ。右京さんもわかってたんじゃないかな。

幸子さん、そういえば刑務所の先輩でした(笑)。経験者の言葉は頼りになりますね。

追いつめられたときは大河内さんに頼る神戸君。このバーも見納めかなぁ。しかし「人事に掛け合ってください」って言われても、大河内さんも困っちゃいますよね。監察官としての見解なら通るだろうけど、単なる本人の異動希望じゃあ…大河内さんに言わせず自分で言えよと思ったり…。まあ、神戸君もわかってるよね。監察官としての大河内さんに頼ったわけでなく、個人としての大河内さんに甘えてるだけだよね。ね。

神戸君が神様を怒らせてでも再生して会いたかった人間は城戸だと。右京さんは最初から神戸君の気持ちに気付いていたんだろうな。おそらく神戸君自身でさえ気付いていなかったうちから。でも、ストーリー的には強引なこじつけのように感じる。とってつけたみたいになってる。城戸を絡めるならもっとガッツリやればよかったのに。中途半端にやるぐらいなら、城戸のことはすっぱり切っちゃった方がよかったような。

右京さんも追い出すつもりはなく、神戸君も残ることに納得したところへ、異動辞令が出ました。大河内さんはもちろん異動させるようなことをしていません。せっかく近くにいる神戸君を手放すわけなかろうと(そうは言ってないけど)。となると、もう長谷川しかいませんよねそうですよね。でも、これなら今後もちょくちょく出てくるのでは? 警察庁絡みの話もありますし。大河内さんともバーでイチャイチャできますよね。

結局、クローンは生まれなかった。うーん…まあこれで丸く収まったという感じではあるんですけど、なんか安易な決着の付け方だったような気がして残念。いや、クローンが生まれるとなると、話が終わらなくなりますが。

というわけで、神戸君卒業だったわけですが…ぬー…なんというか拍子抜けというか…。いろいろと釈然としない気持ちではあります。神戸君自身も納得して特命係を去ったわけではないですからね。城戸の件で偽証したという話も、さんざん思わせぶりに煽っておきながら、たいして関係がなかったというね。

▼相棒 感想等
相棒@SKY BLUE
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らくがき・遥

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tactics 14巻 初回限定版

tactics(14) 初回限定版 [ドラマCD付]。年に一度のお楽しみです! せめて年に2回くらい出てくれると嬉しいんですけどね。まあ、きちんと続いてるだけありがたいです。贅沢はいえない。

今回は番外編なしで本編のみでした。まるまる勘太郎の過去話。でもまだこの過去話は終わらないのですよね。ようやく佳境に入ったあたりでしょうか。

大山さんはノーマークだったなぁ。普通にちょっとヘタレなお人好しかと思っていたのに、まさかまさか…まだ何だかよくわからないんですが…とにかくビックリですよ。人間でも妖怪でも悪霊でもない、といったらなんだろう。神様ってわけでもない…よな? 勘太郎の胸の傷と関係あるのかなぁ。勘太郎に憑いてる(?)のが大谷さんだったり…とか…しないか…。

勘太郎の母親、知れば知るほど可愛い人です。小悪魔的に奔放だけど、純粋なところもあって。過去の話を読んだらなおさら。勘太郎からしたら腹立たしいけど可愛らしくて守りたい存在といったところか。勘太郎の気持ちに気付いているのかどうか気になるところ。てか、この二人がどうなるのかすごく気になる…結局、勘太郎が殺したのか、守れなかったのか。

渋いヒゲのおじさんが頼光パパか。すごいまともな常識人っぽくて意外だった(……)。

初回限定版のミニドラマCDは「十人もいる!」。あれやそれのパロディではない…はずです、多分。十人もいたのは確かですが(笑)。出演は勘太郎、春華、頼光、渡辺、坂田。それでなぜ十人なのかは聴けばわかるということで。今回は学園tacticsも合わせたような感じですかね。見どころは各々が自分で自分を罵倒するあたり。坂田は安定の自爆っぷりだけど、今回は渡辺と頼光の暴露がけっこうひどいです(笑)。

明治村発言は地元民としてちょっと嬉しかったです!

キャストコメントによると、来年も初回限定版ミニドラマCDあるらしいよ!(笑)。まあ、勝手に言ってるだけですけど、きっとあると信じています~。誰だったか、なぜ毎年tacticsがあるのか不思議がっていましたけど…大いなる力とかは働いてないだろう(笑)。根強いファンがいるからではないかと思います、マジレスで。

スカイツリーは634m! 覚えた!

【追記】そういえばヨーコちゃんって川上とも子さんだったんですよね。今回ミニドラマCDにヨーコちゃんもむーちゃんも出てないなぁと普通に思ってたけど…うう…もうヨーコちゃんは出ないのかな…(涙)。どなたかのキャストコメントで、今回は男ばっかり、むーちゃんいないんですよ、とか言ってるところでちょっと詰まってて、むーちゃんだけじゃなくヨーコちゃんもいないんだけど…なんか奥歯に物がはさまったみたいで不自然だな…とか思ってたんですよね。そうか…川上とも子さんだったからか…。一日たって気付きました(遅)。今さらながらすごいショック受けてる。ヨーコちゃんのキャラソン聴きながら書いてます。すごくヨーコちゃんらしくて可愛くて元気になれるキャラソンです。
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