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横浜美術館が”写真美術館”に?! 横浜美術館コレクション展 2016年度第3期 @横浜美術館

2017年02月20日 | アート●オススメ展覧会●


■ 横浜美術館が写真一色に?!

横浜美術館で開催中の
篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN
コレクション展2016年度第3期
に行ってきました。

(1892年と1903年の『カメラ・ワーク』)

篠山紀信展はもちろん、今回はコレクション展も写真展!横浜美術館が写真一色になっています!!「全館写真展示」は横浜美術館でも初の試みなのだそうです。

今回は横浜美術館の約4,200点の写真コレクションから約400点の作品が出展されています。 横浜は日本における写真発祥の地のひとつでもあり、横浜美術館では写真のコレクションに力をいれているんですね。

 

■近代の写真の流れを知る展覧会 

コレクション展は、
日本国内の昭和の写真に焦点をあてた
「Ⅰ 昭和の肖像 ―写真でたどる「昭和」の人と歴史 」
二つの対戦の前後の西洋の写真に焦点を当てた
「Ⅱ “マシン・エイジ”の視覚革命 ―両大戦間の写真と映像 」
の2つにわかれています。

 

「Ⅰ 昭和の肖像 ―写真でたどる「昭和」の人と歴史 」では、昭和の有名人のポートレートや、戦前・前後の街並みなどが並びます。

(「加賀まりこ」/ 秋山 庄太郎 (1965 ))

前後の焼け野原となった銀座を定点撮影した作品や、原爆の遺留品の写真など、歴史的な意味ももつような写真も並びます。

(土門 拳 撮影「ガールズ・アンド・グライダーズ」『NIPPON』 第14号 (復刻版))

こちらの展示室では、”見たままの風景”を切り取ったような写真が多かったのですが、続く円形の展示室では、1960年代の中平卓馬さんのアレ・ブレ・ボケの風景写真や、荒木経惟さんの写真のネガなど、目にうつる風景や人物とは少し違った雰囲気の写真が並びます。

(「無題」 / 中平 卓馬)

(「写狂人日記 '91 1518-8-99」 / 荒木 経惟 (1992))

展示のはじめに原節子さんのポートレートが何点かありましたが、ここには原節子さんに扮した森村泰昌さんの写真など、「写真」といっても現実とは少し違った、現実と空想の世界の狭間のような作品がならびます。この展示室は第1章と第2章のテーマをつなぐような雰囲気も感じさせました。

(「セルフポートレート(女優)ハラ・セツコとしての私」 / 森村 泰昌 (1996)) 

 

 

続いて、普段は日本画が展示されている展示室からはじまるのは、もうひとつのテーマ
Ⅱ “マシン・エイジ”の視覚革命 ―両大戦間の写真と映像。

「マシンエイジ」とは、両大戦間;1920年代から30年代の間にアメリカにおいて、機械を新時代の象徴として称揚していた時期や当時の時代精神を指す言葉で、この時代に写真と映像はおおきな進化を遂げるそうです。

入り口には、マン・レイによるデュシャンの肖像と、とデュシャン唯一の映像作品「アネミック・シネマ」、立体作品「回転半球」などがならびます。

(右から「ローズ・セラヴィ(マルセル・デュシャン)」/ マン・レイ (1921)、 「アネミック・シネマ」 / マルセル・デュシャン(1926)、 「回転半球」/ マン・レイ(1925))

マン・レイによる作品が多くならびますが、その中でも特に塩や胡椒の粒、丸や釘などをフィルムに直接置いて撮影されたカットも含む映画「理性への回帰」は映像と写真、絵画の境界が曖昧になるような作品で印象的でした。

(「理性への回帰」/ マン・レイ (1923))

こちらの展示室には、マン・レイによって撮影された、シュルレアリスト、ダダイストたちの肖像とともに、その作品も展示されています。

(左から 「マックス・エルンスト」/ マン・レイ(1935), 「白鳥はとてもおだやか・・・」 / マックス・エルンスト(1920), 「少女が見た湖の夢」 / マックス・エルンスト(1940) )

続いて、ロトチェンコらロシア構成主義の作品もならびます。

(左から 「ギア」(1929), 「ダイバー」(1934), 「階段」(1929), 「「ディナモ」スポーツ・クラブ」(1935), 「トランペットを吹く先発工兵」(1930)  すべてアレクサンドル・ロトチェンコ)


”見たままの風景をうつす”写真とは違った、ありえない取り合わせや、現実にはない風景、カメラを通じてのみ浮き上がってくる風景がならびました。こちらは「写真だからこそできる表現」が並ぶ、ユニークな展示空間でした。

(「ムラッティの行進!」 / オスカー・フィッシンガー (1934)
ユニークなコマ撮りの作品も。これも現実にはない”写真だからこそできる”表現ですね。)

 

■”写真美術館”とは一味違う魅力も!

最後に、横浜美術館で写真展を行う魅力のひとつが、写真以外とのコレクションとのコラボです。例えば、ブランクーシのアトリエの写真の前に、希望の鳥が置かれていたり、エルンストの肖像写真とともに、エルンストの絵画・コラージュが展示されていたり…

(「アトリエのブランクーシ、パリ」/ エドワード・スタイケン (1927) )

 

(「空間の鳥」 / コンスタンティン・ブランクーシ (1926) )


さりげなく置かれているので、気づかずに通り過ぎてしまったりもしそうですが、そんなところもユニークな展示でした。

 

横浜美術館では、現在、企画展として篠山紀信展も開催されています。こちらは、有名人のおおきなポートレートが壁一面に展示されていて華やかでした。

どちらの展示も 2月28日(火)までとのこり会期短いですが、どちらも見応えがあってオススメです!

ぜひ、お時間と体力に(?)ゆとりを持ってお出かけください。

 

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■DATA■

横浜美術館コレクション展 2016年度第3期

会期:2017年1月4日(水)~2月28日(火)
時間:10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
*2017年2月23日(木)は16時まで
*2017年2月24日(金)は20時30分まで
休館日:木曜日 
*ただし、2017年1月5日、2月23日を除く
観覧料:一般 500円、大学・高校生 300(240)円、中学生 100円、小学生以下 無料

 


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