【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

今週末行ける、オススメの展覧会やアートイベントをご紹介しています。
(関東地方・現代アート中心です。)

アート+コム/ライゾマティクスリサーチ 光と動きの『ポエティクス/ストラクチャー』 @ICC

2017年03月04日 | アート●オススメ展覧会●
新宿のICCで開催中の
に行ってきました。
 
 
 
昨年のオリンピック閉会式のパフォーマンス演出でも話題となったRhizomatiks Researchと、Rhizomatiks設立の役20年前からドイツで活動するART+COMの展覧会です。
どちらも、テクノロジーとアート・エンターテイメントの領域を組み合わせ、研究開発も行いながらチームで活動するユニットです。
 
 
 
 
今回の展示では、それぞれ1つずつの大掛かりなインスタレーション作品と、過去の作品の映像が展示されています。どちらのアーティストの作品も”鏡”と”光の三原色”で作品を構成しているという点で共通している一方で、表現方法の違いで、全く違った方向の魅力が醸し出される展示でした。
 
 
(光の加法混色。今回の展覧会はどちらも”光の三原色”を主役にした作品です。)
 
 
ART+COMの「RGB|CMYK Kinetic」は2015年発表の作品。
 
 
赤・緑・青の3つの光源の光が空間を動き回る5つのミラーによって反射され、影のなかに反射された赤・緑・青の3色、3色が混ざった白色光のなかには、反射された色を差し引いたシアン・マゼンタ・イエローの光が浮かび上がります。
5つのミラーは、そのミラーを吊るしている糸を巻き上げることで平面内を動き回っているのですが、その動きはとても滑らかで、5つのミラーが連動して動くことで、まるでダンスを踊っているようにも見えてきました。
 
 
ディスプレイではART+COMの過去のキネティック・アート作品を見ることができますが、それも、金属球や金属片のようなシンプルな構造体が、そのものは1軸か2軸の単純な動きをしていながら、それを連動して動かすことで、3次元を自在に動き回っているかのような、現実感のないCGを見ているような作品になっていました。
 
 
(第12回 文化庁メディア芸術際 アート部門にノミネートされていた「inetic Sculpture — The Shapes of Things to Come, 2008, BMW Museum, Munich, Germany」/ ART+COM 
 
 
 
そしてもうひとつの作品は、Rhizomatiks Researchの「distortion」
じつは、展示開始直後の週にICCに伺った際には、まだ作品タイトルもついておらず、”動き”もついていませんでしたが、今回訪れた際には作品が大きく変わっていました!(今回の展示は、1枚のチケットで会期中に1回再入場ができます。)
 
 
ART+COMと同様に、はじめは床に光の三原色とその混ざった色が投影されていますが、こちらの作品の光源はプロジェクター1つのみ。ひとつの光源だけで、床面に直接投影された像とそれが鏡に映り込んだ虚像、鏡に反射した光が床に結ぶ像が重なり合って見えて、いくつもの光源によって作り出されているような奥行きのある作品になり、さらに、鏡が動き回ることで光のつくる像は複雑さを増していきます。
 
 
プロジェクターから投影される分割された図形と色が鏡に反射して合体したり、それがまた解体されて、抽象絵画のように再構築されていったり…
目の前に見えている色や形は、プロジェクターから投影されている形そのものなのか、鏡に反射した光と混ざり合ってできているものなのか、だんだん混乱してきます。
 
 
(鏡は動き回っているのに、鏡に反射した光はまるでサーチライトでオブジェクトを照らしているかのように静止して見えたり…計算しつくされた光の動きにとにかく見入ってしまいます…)
 
光の交わり方が複雑で迷子になりそうなところで、ステージ隅のディスプレイにある”プロジェクターの投影している映像”を見ると、実際に映し出されている像はとてもシンプルで、そこでまたはっとします。YCAMでの「border」の公演のときもそうでしたが、没入と現実をいったりきたりして頭の中を揺さぶられるような作品でした。
 
 
(右の脇のディスプレイには、どのように光が投影されているのかが映し出されています。
 目の前の”光のパフォーマンス”を見る熱狂と、それをどうやって作っているのか?という興味とを行ったり来たりできます。)
 
 
同じ要素を使いながらもART+COMの作品は”キネティック"の面白さ、ライゾマティクスリサーチの作品は”絵画””パフォーマンス"を観るような、全く違う面白さが生み出されていて印象的な展覧会でした。
 
2017年3月20日までです。
 
 
 
なお、ICCでは 市原えつこ「デジタル・シャーマニズム——日本の弔いと祝祭」 も同時開催されています。こちらもオススメですのでぜひご一緒にどうぞ。
 
 
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会期:2017年1月14日(土)—3月20日(月・祝)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]  ギャラリーA
時間:午前11時—午後6時
*金曜日,土曜日は開館時間延長 午前11時—午後8時
休館日:月曜日,保守点検日(2/12)
入場料:一般・大学生 500円/高校生以下無料
ドイツのデザインチーム「ART+COM」と日本のクリエイティブ集団「ライゾマティクス」によるコラボレーション展です。長いキャリアを持つART+COMはいわばライゾマティクスのひとつの目標ともなったアーティストであり、本展では、 「 Rhizomatiks Research ライゾマティクス・リサーチ」が参加し、それぞれの近作を中心に展示する予定です。
 
 

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