【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

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美術館って一体なに? —No Museum, No Life?―これからの美術館事典@国立近代美術館

2015年07月14日 | アート●オススメ展覧会●

 

国立近代美術館で開催中の「No Museum, No Life?―これからの美術館事典」

企画が面白く作品も見ごたえがあり、見終わった後に少し考えさせてもくれる展覧会でした。
(2点の作品を除き撮影も可能だったので、写真も入れさせていただきました。)

会場は『A』: Art Museum 【美術館】から始まり、アルファベット順に「展覧会を構成しているものごと」についての説明とその例となる作品が展示されています。”展覧会”についての辞書があって、その図版として実際の作品が展示されているような感じです。


面白いのは、例えば「吊り金具」「額」「免震台」「照明」といった、普通の展示では”主役にならないけれど展示に必要なもの”も、作品と同列にキャプション付きで展示されているところ。例えば、「吊り金具」や「免震台」の展示では、地震の多い日本で作品を守るための苦労も知ることができます。


(「吊り金具」。こんなものも作品と並列で展示されています。改めて単独で展示されると、作品にも見えてきたり。)


また、「キュレーション」「調査/研究」といった項目では、普段みている展覧会が、どんなところでどんな風につくりあげられているのか?といった、普段は見られない展示の裏側を垣間見ることもできます。

(「展覧会準備のための資料」では、今回の展覧会の会場構成の模型や企画案なども見られます。こんな風に展覧会は作られていっているんですね。)

 

(田中功起さんの「一つのプロジェクト、七つの箱と行為、美術館にて」は、国立近代美術館を舞台に撮影された作品。普段見ることができない美術館の「展示室以外」の部分を覗くことができます。)

 

企画自体がとても面白い展覧会なのですが、それぞれのものごとを象徴する国立美術館所蔵の作品、約170点も見ごたえがあります。

例えば【収蔵庫】の展示は、国立美術館4館の収蔵庫が実物大パネルで再現した面白い展示ですが、そこに掛けられているのは4館で共通している、雰囲気の異なる藤田嗣治作品だったり。

 

(「京都国立近代美術館の収蔵庫」の展示。一見説明用の小道具のようですが、左側の作品は実物の「タピスリーの裸婦 / 藤田嗣治」です。)

 

(【裸体/ヌード】の展示では、ヌードをテーマとした所蔵作品を一挙に展示。)


ところで「辞典」というと、ひとつの言葉に対してひとつの解があるようにも感じてしまいますが、キャプションでは、ただ一方的に説明してくれるのではなくその言葉から見る人が考える余地を残してくれているような印象を持ちました。

例えば、特に興味深かったのは【イベント】のキャプション。

「できごとそのものを作品化していくという営為は、美術館や画廊という既成の制度の外へ向かうための戦略のひとつであった。(中略)こうした作品は、(中略)資料でしか確認することはできない。逆にいえば美術館はそうした資料を通じて、制度外で生まれたものさえ、その中に取り込むのである。」

こんな風に考えると、つくった人の意図に反するところであってもすべて収集してしまう”美術館”が少し恐ろしい制度にも感じられてしまったり。(とはいえ、私たちはそのお陰でそれらの作品を見ることができるのですよね…)

 


(”移動式携帯美術館”のマルセル・デュシャンの「トランクの中の箱」に、路上を画廊に変えてしまう小沢剛さんの「なすび画廊」。どちらもそれだけで完結しそうな”美術館”なのに、それが美術館に収蔵されている…と思うと、なんだか不思議な感じもしてきました。)


展示を見終わる頃には「一体、美術館ってなんだろう?」「自分は美術館に何を求めて来ているんだろう?」なんて、「辞典」を読み込んだつもりが、さらに大きな疑問が浮かんできたりしました。

じっくりと時間をかけて見たい、オススメの展覧会です。

 

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さて、3フロアにわたるコレクション展も毎回見応えのあるこちらの美術館、現在は「特集;誰がためにたたかう?」が開催されれいます。明治から現代に至るまでの、”戦争”や”男女のたたかい”、”自分とのたたかい”まで、様々な「たたかい」をテーマとした展示です。

過去際大規模になるという「戦争画」の展示は見応えがありました。

 

(藤田嗣治さんの戦争画も2点展示されています。企画展の作品との作風との違いも見比べられますね。
写真は 「アッツ島玉砕」 藤田嗣治 1943


草間彌生さんの初個展に出展された作品や、村上隆さんの学生時代の作品ともゆったりとした空間で向き合うことができます。
こちらのコレクション展もどうぞお見逃しなく。

企画展・コレクション展ともに9月13日までです。

(「残骸のアキュミレイション(離人カーテンの囚人)」 草間彌生  1950)

(「ポリリズム」 村上隆 1991)

 

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■DATA

No Museum, No Life?―これからの美術館事典
国立美術館コレクションによる展覧会

 

会場: 東京国立近代美術館 (access)
会期: 2015年6月16日 - 2015年9月13日
開館時間: 10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00) ※入館は閉館30分前まで
休館日: 月曜日(ただし7 月20 日は開館)、7月21日(火)
観覧料: 一般1000(800)円、大学生500(400)円
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢のわかるもの、障害者手帳等をご提示ください。
*本展の観覧料で入館当日に限り、「「事物」─1970年代の日本の写真と美術を考えるキーワード」(2Fギャラリー4)、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)もご覧いただけます。

※ 国立近代美術館HP内に割引券もあります。

 

 


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