「我、アートをやってきて、本当にクソみたいに屈してしまってマジで申し訳ないと思ってる。」
というエリィの声明で数日前に告知された展覧会。
Chim↑Pom 10周年「耐え難きを耐え↑忍び難きを忍ぶ 展」@Garter(高円寺)
いってきました。
エリィが声明で「クソみたいな展覧会」と言っていたのは、「マジで美術館や機関の検閲にクソみたいに屈し続けてきた」黒歴史(展覧会挨拶文より)を、その”代替案”の状態で展示している展覧会でした。
先日、東京都近代美術館の”会田家”の作品の撤去・改変の話題があった直後に…
東日本大震災後の作品もそうだったけれど、このスピード感、やっぱりすごいと思います。
”Chim↑Pom 10周年”の展示は、Chim↑Pomの代表作・5作の集まった豪華な展示になっていました。
ただし、様々な事情によって改変された「耐え難き」状態で。
でも、その「改変要求」に対して折り合いをつけた「代替案」は、作品の主張を薄めるのではなく、むしろ強いインパクトを残していたのが印象的でした。
例えば、震災後に原発についての疑問を呈し、立ち入り禁止区域で 白旗→日の丸→ハザードマークの旗を描いて掲げて行く「Real Times」は、”上海ビエンナーレ”では、当時の「反日」への懸念から、作品中の「日の丸」が問題視され、改変要求されたのだそう。最終的に赤い光をプロジェクションして日の丸を相殺すること展示されたそうですが、なんというか、主張は変わらずに危機感が増幅されているように感じます。
(「Real Times」は、今ちょうど東京国立近代美術館のコレクション展「誰がためにたたかう?」で見られます。こちらが本来の作品。)
(こちらが、上海ビエンナーレのために変更された「耐え難き Real Times」。)
特にChim↑Pomのような作品で「改変要求」というと、主張に合わない作品に政治的圧力がかかるのかとも考えてしまいますが、「Real Times」の例でも分かるように、実際は会場の制度や規則、著作権といった、”作品の趣旨”とは関係のないところの話も多くて、中には「何で?」とツッコミたくなるような理由のものもありました。
(「耐え難き スーパーラット」。シンガポールのアートアワードでは「気合い100連発」で大賞を受賞しましたが、元々は「スーパーラット」を展示するつもりが直前に動物を展示する許可が下りなくなったために変更になったのだとか。)
”東京都現代美術館”の撤去問題で、撤去には大反対だけれども、時々それが「表現の自由」とか「言論統制」みたいな議論にすり替えられたりするのも目にして違和感を感じていたけれど、作品が置いてけぼりでそちらの主張にすげ替えられてしまう違和感についても、挨拶文と今回の展示を通じて明快に示されていました。
(挨拶文。短く簡潔な文章でありながら、10年間の活動を通じての日本のアートに対する危惧が明快に示されています。公式サイトにも掲載されていますが、ぜひ会場で読んでいただきたいです。(「マジ」「クソ」だらけだけど…(笑)))
私個人の意見はChim↑Pomが作品で主張する内容とは異なっていたりするし、彼らの衝撃的な手法の作品の中には、「どうしてもこれは苦手…」というものもあります。(というか、知った頃にはひたすら苦手で理解不能でした。)
でも、今現在、彼らが同じ時代にいて、結論は違っても同じような問題を不快に感じていることが、今回の展覧会でも強く感じたし、
そんな不快感を目が覚めるような方法で世の中に現してしまうのが、本当に「現代」アートだなと感じました。
今週末までの短い展示ですが、ぜひ多くの方に見ていただきたい展覧会です。
8/15日(土)の70周年の終戦記念日には「クソみたいなパフォーマンス」もあるとのことです。
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■ DATA
会期:2015年8月7日(金)- 2015年8月15日(土)
時間:15:00-20:00
会場:Garter(高円寺)
入場料:任意(ドネーション制)
(入り口がちょっと分かりづらかったですが、商店街の道から「キタコレ」ビルを見つけたら曲がったところに入り口があります。)
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