【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

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日用品がつくりだす音と風景 ー 毛利悠子ーグレイ スカイズ @藤沢市アートスペース

2018年01月22日 | アート●オススメ展覧会●

 誰もいない薄暗い空間で、小さな灯りがちかちかと明滅したり、時折アコーディオンがあくびするようにひとりでに鳴ったり… どこか懐かしい感じもする日用品が、幻想的な音と風景を作り出す展示が開催されている。

毛利悠子ーグレイ スカイズ @藤沢市アートスペース

 

 2015年の「日産アートアワード」でグランプリとなり、国内外でも活躍されている毛利悠子さんが、故郷の藤沢で開催している個展だ。

 最初に書いたのは、そのうちの「パレード」という作品。装置に取り付けられたモノクロの壁紙の柄がトリガーになって、電灯や楽器、ドライヤーなどのon/offが制御されている様子。

 個人的にこの作品のなかで一番好きだったのが、これ。

 ブラシが金属に当たるのは何かのトリガーになってるのか、それとも楽器なのかわからなかったけど、小さいながら、近づくとさらさらと綺麗な音が聞こえてきて、思わず静かに耳をすませてしまう。

 薄暗いこちらの展示室とは対照的に、自然光がたっぷりと入る展示室にあるのは「モレモレ:ヴァリエーションズ」

 駅の雨漏り対策から着想を得てつくられた「モレモレ」。3年前の日産アートアワードではじめて制作されたものは、デュシャンの「大ガラス」3枚のサイズにあわせてつくられていたけれど、今回はワークショップで制作されたものだそうで、部屋いっぱいに水が循環して、水を送るチューブの動きによって叩かれる太鼓の音が常に聞こえながら、水が流れたり、水滴がプラスチックシートを叩いたりする音など、とても小さな音が場所によって聞こえてくる。

 3年前の日産アートアワードの「モレモレ」を見た時に、”人体みたい”って言った友人がいたけれど、今回の部屋いっぱいの大規模な「モレモレ」は、本当に体内に血液が循環しているみたいで、生きてるみたいだった。

 他にも、2014年から旅先で撮りためた映像をまとめた「Everything Flows」という作品群も。

 どの作品も、作品の中を散策すると場所によって見える景色も聞こえてくる音も変わってくるのがとても魅力的な展示だった。先日行った「坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 IS YOUR TIME @ICC」でも、似たような感覚を覚えたけれど、それよりもさらに”風景”や”思い出”のような感覚を感じる作品だった。

 

 ハンドアウトには、

   「グレイはとても豊かな色です。
    そこにはたくさんのニュアンスが含まれています」

なんて言葉が書かれている。

 何かを主張しているわけではない様子のこの作品を見た時、ひとによって思い起こす風景は違うし、素材となっている日用品や楽器の中でも注目してしまうモノは違うんだと思う。人によって色合いの違う”グレイ”を持ち帰れる展覧会だった。

**************

■毛利悠子ーグレイ スカイズ @藤沢市アートスペース

会期:2017年12月2日〜2018年1月28日
時間:10:00〜19:00
休館日:月、年末年始(2017年12月28日~2018年1月4日)
※ただし月曜日が祝日の場合開館、翌火曜日が休館

2015年の開館以来、地域にゆかりのある若手アーティストを紹介する展覧会を企画してきた藤沢市アートスペース(FAS)。シリーズ7回目となる今回は、FASでは初となる、毛利悠子の個展を開催する。
本展では、展示のたびにアップデートされるインスタレーション《パレード》(旧名:大船フラワーセンター)など、国内外で発表してきた作品を再構成して展示する。


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