【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

今週末行ける、オススメの展覧会やアートイベントをご紹介しています。
(関東地方・現代アート中心です。)

日産アートアワード2017 ファイナリスト5名による新作展 @BankART Studio NYK

2017年10月21日 | アート●オススメ展覧会●
 
3年おきに開催される「ヨコハマトリエンナーレ」でにぎわうみなとみらい地区ですが、2年に一回のアートアワードも開催されています。
 
 
 
日産自動車によるアートアワードで、日本のパスポートをもつ現代アートのアーティストから選ばれます。
 
2015年は、グランプリの毛利悠子さんをはじめ、今年のベネツィアビエンナーレ・日本館アーティストの岩崎貴宏さんなど、華やかなインスタレーション中心の展示でしたが、今年はイメージが一変。
映像と写真が中心で、雰囲気は全然違ったのですが、こちらもとても面白かったです!
 
特に良かった作品のひとつが、今年のグランプリ・藤井光さんの「日本人を演じる」
1903年の内国勧業博覧会の「人類館」で、さまざまな民族の〝生きた住民″の展示を行った際の記録を演じることを通じて、”日本人って誰?”を考える作品。
 
 
(藤井光「日本人を演じる」2017)
 
藤井さんの過去の作品にもありますが、ドキュメンタリーでなく「演じ直し」というのは、参加者の意思が混ざりつつも、藤井さんという監督のもとに美しく切り取られたフレームのなかは、どこまでが本年でどこまでが演技なのか、見ていて不思議な気分になってきます。
様々な写真を見せられたり、指示が出されているのはわかるけど、映像の中でわたしたちに見えるのはワークショップの参加者の表情と言葉だけだけで。だからこそ想像するものが多い作品でした。
 
 
(藤井光「日本人を演じる」2017)
 
現代に考えると信じられないような「人類館」ですが、人類学・地質学などの学問は、すべて「分類」する作業であり、ステレオタイプ化した差別主義的な人たちではなく、実際は知識層のひとたちが容易に「分類」をつくってしまった、と藤井さんがお話しされていたのが印象的でした。
 
 
(藤井光「日本人を演じる」2017)
 
あと、映像は淡々としていながらも、光の当たり方や構図などがとても美しかったのもとても印象的でした。
 
 
 
面白かったのは、田村友一郎さんの「栄光と終焉、もしくはその終焉 / End Game」。「日産グロリア」から、言葉遊びみたいにゆるやかにつながっていく、言葉と映像のインスタレーション。3面ディスプレイを使った映像や、日産グロリアを溶かしたオブジェ、襖の向こうのアップライトピアノのモチーフなどが、なんだかジワジワとくる作品です。
 
 
 
(田村友一郎「栄光と終焉、もしくはその終焉 / End Game」2017)
 
 
田村友一郎さんの作品は、昨年の横浜美術館のBody展の作品、そして、現在近くの氷川丸で展示中の作品ともゆるーくつながっていて、同じ言葉やモチーフがそれぞれの作品に引用されたりしていました。現在開催中の小山市立車屋美術館の個展にもつながっているみたいなので、連鎖的にそちらも気になってしまうような作品でした。
 
 
 
(田村友一郎「栄光と終焉、もしくはその終焉 / End Game」2017)
 
 
 
意外だったのは、石川竜一さんの「home work」。石川竜一さんといえば人物にフォーカスした写真のイメージが強かったのですが、今回はひとの写真はほぼなく、プライベートで撮影してきたという、自宅の写真と、そこから見える空の写真。
 
 
(石川竜一「home work」2017)
 
家の中で展開図を見ているような、他人の家にこっそりお邪魔しているような不思議な気分と、その頭上にさまざまな種類のヘリコプターが飛び回っているという、非日常的な風景ながら、沖縄では日常風景という違和感… タイトルが掛詞になっているようにも思えてきます。
とても静かな雰囲気ながら印象的で、写真というよりもインスタレーション的な作品でした。
 
 
(石川竜一「home work」2017)
 
 
 
 
オーディエンス賞の横山奈美さんの作品も写真作品…?
 
 

(横山奈美「Sexy women」「Crucifix」「Sexy men」2017)

 
と思いきや、こちらは絵画作品。
絵画にまつわるモチーフを、デフォルメして、実際に立体のネオンを製作し、これをまた絵画に描き起こしたのだそうです。
 
 
(横山奈美「The history of Western painting」2017
 
 
そして、題府基之さんの作品は、日常を切り取ったような写真でありながら、強いフラッシュで撮影された写真はなんだか非日常的で、広告写真のような雰囲気も醸し出している、ユニークな写真でした。
 
 
(題府基之「STILL LIFE」2013-2016
 
 
(題府基之「Crushed can (Andy Warhol) 」2017
 
 
 
5名の展示ですが、とても見応えのある作品が揃い、BankART 2Fのワンフロアながら、2時間ほど見入ってしまいました。入場無料&19:00まで開いているので、横浜トリエンナーレを観た後に、気軽に入れるのも嬉しいですね。
 
 
夜はBankARTからの夜景もきれいです!
 
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■DATA
 
 
 
会期:2017年9月16日(土)~11月5日(日)
休館日:第2・第4木曜日
*9月27日(水)は、イベント開催のため一般入場ができません。予めご了承ください。
時間:10:00-19:00
料金:入場無料
 
アーティスト:藤井 光、石川竜一、田村友一郎、題府基之、横山奈美
 
一次選考にて選出されたファイナリスト5名による展覧会では、インスタレーション、絵画、映像、写真など、さまざまな表現による新作が披露されます。ぜひ、ファイナリストたちの作品を通して、アートが示す多様な世界のあり方をご覧ください。 

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