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"身体能力"だけじゃない?!「アスリート」をつくるデザイン ーアスリート展 @21_21 DESIGN SIGHT

2017年03月06日 | アート●オススメ展覧会●

 

21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「アスリート展」にいってきました。
スポーツに興味がなく「アスリートとデザイン?」と、展示を見るまではピンとこなかったのですが、そんな私でも楽しめる展示でした!

(”競技用のハードルってこんなに高いの?!というところからまず驚き。)


■人間離れした身体能力を体感!

まず、とにかく否応なく驚かされるのが「驚異の部屋」(アニメーション:高橋啓治郎(プログラマー)、人体造形:菊地絢女(アーティスト))!

陸上の世界記録保持者の記録を、実物大の模型とプロジェクションで再現しています。テレビでオリンピックなどの記録を聞いてもイマイチピンと来ませんが、自分の真横で、高跳びの高さや幅跳びの距離、100m走やマラソンの速さなどを体感すると、その人間離れした記録にとにかく圧倒されます。

(「驚異の部屋」/ アニメーション:高橋啓治郎(プログラマー)、人体造形:菊地絢女(アーティスト))

映像はモーションキャプチャを用いてつくられているため、距離や速さだけでなく動きもリアル。ハードル走はハードルの2Mほど手前から踏み切っていたり、走っているときと飛んでいるときの重心があまり変わっていなかったり…なんてことも、こうやって見て初めて気づかされます。

 

「報道写真の視点」(アダム・プリティ(ゲッティイメージズ))や「Human Body Study by Howard Schatz」ハワード・シャッツ(フォトグラファー)の写真作品では、報道写真家の撮影したアスリートの写真が展示されていますが、アスリート特有の体つきや競技中の一瞬の美しい身体の動きが切り取られ、こちらも人間離れした身体に見えてきます。

(「Human Body Study by Howard Schatz」 / ハワード・シャッツ(フォトグラファー)
え?!これ、どんな状態?!と、思わず二度見してしまいました…) 

こんな”アスリート”の身体や記録はどうやって作られるのでしょう?

 

■どうやったらそんな記録が生まれるの?

第二展示室では、そんな記録を生み出す秘密を紐解いていっていました。

まず、面白かったのが「Analogy Learning」(稲本伸司(映像作家)/構成:菅 俊一)。”どうやってその動きを実現するのか?”という方法を、「アナロジー=例え」を用いて説明しています。例えば短距離走なら「地面を熱したフライパンの上だと思って走る」、フィギュアスケートのジャンプであれば「ぬいぐるみを抱くようにジャンプする」など、言葉では伝えづらい動きをさまざまな例えを使って説明しています。

(「Analogy Learning」 / 稲本伸司(映像作家)構成:菅 俊一)

同じように”動きを言葉で伝える”方法として「オノマトペトレーニング」(岡本憲昭(映像作家、音楽家))もユニークでした。例えば、泳ぐときの動きを「ザッザッ」「スーッ」というように、それぞれのアスリートが”オノマトペ”で音を吹き込んだ映像です。同じように見える動きでも、それぞれの選手が違った感覚で動いている様子が伺えます。

 

ゲームを通じてプレイヤーが”プレッシャー”に対して受ける影響に気づく「タイムプレッシャー」(imaginative inc.(デジタル・クリエイティブ・エージェンシー))や、試合中のアスリートの視点と自分の視点の違いを比較する「アスリートの眼」(星野泰宏(プログラマー))などは、身体能力以外の”アスリートに必要な力”が体感できます。

(「タイムプレッシャー」 / imaginative inc.(デジタル・クリエイティブ・エージェンシー)
自分がどれだけプレッシャーに影響を受けてしまうのかが可視化される作品です。)


そして、素晴らしい記録を作り出しているのが身体能力だけではないことに気付けるのは「身体拡張のギア」。シューズやウェア、グローブやラケットなど、アスリート個人に合わせて道具に工夫が施されていることを知ることができます。

(「身体拡張のギア」 / 株式会社アシックス、アメア スポーツ ジャパン株式会社、株式会社オーエックスエンジニアリング、株式会社ゴールドウイン、株式会社Xiborg、日進医療器株式会社、ブリヂストンサイクル株式会社、ミズノ株式会社、山本光学株式会社)


道具とともに技術者、開発者へのインタビュー映像も展示されています。このような道具の開発で肝となるのは「選手の要望をいかに数値化するか」ということですが、その評価したい対象が、プロの選手にしか気づけない、ひょっとしたら開発する人の身体にはそもそも備わっていない感覚かもしれない…と考えると、その要望を言葉から抽出していくことが困難な世界だということに気づきます。

もしかすると、こんなときにも先ほどの「Analogy Learning」や「オノマトペトレーニング」のような”伝え方”が役に立つのかもしれないですね。

 

■体験展示も多数!

この「アスリート展」は、体験型展示が多いのも特徴的でした。
先に挙げた「タイムプレッシャー」「アスリートの眼」などのゲームのような作品のほか、「身体コントロール」((グレーディング・タイミング・スペーシング)」時里 充(アーティスト)、劉 功眞(LIUKOBO))では、アスリートがどのように「力の調整」「タイミング」「空間や距離の把握」をコントロールしているのか、ということを、実際に自身の身体を通して体験することができます。

(「身体 コントロール」(グレーディング・タイミング・スペーシング) / 時里 充(アーティスト)、劉 功眞(LIUKOBO))

示された荷重や距離を実際に引っ張ってみる展示ですが、この作品で面白かったのは、ディスプレイの中のアナログスケールがあまりにも気持ちよく動きに追従して動くんです!「一体どうなってるの?!」と驚きましたが、計測に実際のアナログスケールを使って、そのスケール部分を撮影してリアルタイムでディスプレイに映し出しているのだそうです。種明かしを聞けばその単純な方法に納得ですが、見せ方でこんなに面白くなるんだなぁと感じることができるユニークな作品でした。

(自分の動きにディスプレイが追従するのがとにかく気持ち良い!!ぜひ体験してみてください。)

 

”アスリート””デザイン”なんて、関係があると思えませんでしたが、素晴らしい記録を生み出す裏に「動き」や「コミュニケーション」のデザイン”の要素が含まれていたり、見せ方次第で興味のなかったスポーツも魅力的に見えてくることに気づくことができる、面白い展示でした。


「アスリート展」
は 6月4日(日)までです。

***************

■DATA

アスリート展



会期:2017年2月17日(金)〜6月4日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT
休館日:火曜日(5月2日は特別開館)
開館時間:10:00〜19:00(入場 18:30まで)
入場料:一般 1,100円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
本展では、アスリートの躍動する身体を映像や写真で紹介するほか、体感型の展示を通して、身体や心理をコントロールする知覚、戦術における情報解析の先端技術、そして身体拡張を支えるスポーツギアなど、アスリートをかたちづくる様々な側面をデザインの視点から紐解いていきます。

ジャンル:
芸術
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