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メルセデス・ベンツ アート・スコープ2015-2017 漂泊する想像力 @原美術館

2017年06月10日 | アート●オススメ展覧会●

原美術館で開催中の「メルセデス・ベンツ アート・スコープ2015-2017─漂泊する想像力」に行ってきました。

日本とドイツの間で現代美術アーティストを交換して交流をはかるメルセデス・ベンツ日本の文化・芸術支援活動の成果展です。

今回の参加作家は3人とも”カメラ”を使って作品を制作していましたが、「演技とリアルの狭間」を捕らえる泉太郎さん、「意図されていない”作品的なもの”」を捕らえるメンヤ・ステヴェンソンさん、2次元の中に「奥行き」と「時間」を捕らえる佐藤時啓さん、三者三様の作品で面白かったです。(※なお、佐藤時啓さんは1993年にプログラムに参加。今回は招待出品です。)

 

まず、気になったのは泉太郎さんの作品。「浮き尻(遅刻の夢を見る12人以上の徘徊マニア)」は、日本とドイツの移動時間と同じ12時間、飛行機の座席みたいな場所で画面に出てくる指示に答えていく映像作品ですが、指示は「息をして」とか「お腹をさすって」といったもので、本人以外には指示か自然な行動かわからないというもの。

 

(「浮き尻(遅刻の夢を見る12人以上の徘徊マニア)」/ 泉太郎 (2017) )

この作品をはじめ、泉太郎さんの作品は意味があるのかないのかわからないし、笑えるけど不気味だし、どこまでが演技でどこまでがリアルなのかもわからないし… 見ていると”狐につままれる”ような気分になってきます。なんだか全部騙されているようで解説に書いてあることすら「本当かな?」と思えてきてしまって、普段、キャプションに誘導されながら作品を見てしまうような見方についても考えさせられてしまいます。

(「溶けたソルベの足跡」 / 泉太郎 (2017)
地図の上にレイヤー状に重なる落書き。本当に地図上でこの空が見えたらどんな感じか?ということを再現した壮大な作品。画面の中には演技をしている人とそれにつられて空を見上げる通行人とが混ざっています。)

今回のアーティスト・イン・レジデンスでベルリンに招聘された泉太郎さんですが、ベルリンの土地そのものよりも、日本とドイツの”移動”の部分にスポットを当てた作品が多かったのがユニークでした。”自分が能動的に動く「移動」”に対して、”自分が動いていないのに到着する「移動」”を考えると、確かに少し変な気持ちになってきます。

(「透明に染まる桑畑の汁」 / 泉太郎 (2017)
こちらも”移動”に注目した作品。)

 

ドイツから東京へ招聘されたメンヤ・ステヴェンソンさんは、日本の中で見つけたさまざまな「意図されていないけど作品に見えるもの」を、写真をはじめとしたさまざまなメディアで表現しています。

(独自の視点で切り取った東京の風景写真。”殺風景”とも思える風景が幻想的な色使いで切り取られています。)

「家の緑」は、日本とドイツで撮影された”緑”の写真が原美術館の窓枠にはめ込まれた作品。晴れた日だったので、自然のライトボックスみたいになってるのが綺麗で、また、どれが本物の庭の木々でどれが写真作品かも曖昧になる感じが面白かったです。写真の被写体そのものも自然と人工の狭間のようです。

 

(「家の緑」 / メンヤ・ステヴェンソン )

 


1993年のアートスコープでフランスに招聘された佐藤時啓さんは、90年代の当時の作品とそれをモチーフとした新作を併せて展示されていました。(※2003年に原美術館がパートナーとなる以前の「アート・スコープ」は、日本作家の派遣のみ行うプログラムで、アーティスト・イン・レジデンスの場所は南仏モンフランカンでした。)

 

(「An hour exposure 1991/2017 - Shinjuku / 佐藤時啓(1990/2017))

1990年代の作品は、1時間の露光の間に手鏡で太陽光を反射させて、写っていない人の”気配”を感じさせるモノクロ写真。そして、2017年の作品は、同じ場所で長時間露光したカラー写真。都内5カ所の同じ場所を対比して展示されていました。90年代は、バブルでガンガン新しい建物ができてた時代とのことで、今、ちょうど対比が面白い時代なのかもしれません。

(「An hour exposure 1991/2017 - Mita / 佐藤時啓(1990/2017)
今回の展示作品の中でもっとも大きく変化している場所でした。)

 

なお、この展覧会では、品川駅から原美術館まで、メルセデス・ベンツVクラスによる送迎も行われています。(土日祝日のみ。)品川からは少し歩く場所にあるので、これからの暑い季節には嬉しいですね。

2017年8月27日[日]までです。

 

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■DATA

メルセデス・ベンツ アート・スコープ2015-2017─漂泊する想像力

会期:2017年5月27日〜8月27日
会場:原美術館
開館時間:11:00〜17:00(水曜は〜20:00)
休館日:月(7月17日は開館)、7月18日
入館料:一般 1100円 / 大高生 700円 / 小中生 500円

「メルセデス・ベンツ アート・スコープ」に今回派遣・招聘されたアーティストは、東京を拠点に映像インスタレーションを制作する泉太郎と、ドイツ南部のシュトゥットガルトを拠点として映像・写真・モノタイプなどを制作するメンヤ・ステヴェンソンの2名。招待アーティストとしては、2003年の「アート・スコープ」に参加した写真家の佐藤時啓が出品する。


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