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”目に見えないもの”を彫刻する ー若林奮 飛葉と振動 @神奈川県立近代美術館 葉山

2015年10月05日 | アート●オススメ展覧会●

2003年に亡くなった彫刻家・若林奮さんの個展

「若林奮 飛葉と振動」

に行ってきました。神奈川県立近代美術館では3回目の個展になるそうです。

(神奈川県立近代美術館 葉山 エントランス)

 

HPの写真を見ていただけでは気づきませんでしたが、実際に作品を拝見して、とても繊細で複雑な思考を持った方だったのだということを感じました。

鉄のように重く物質感のある彫刻であるのに、そこに表現されているものはその場に存在していない物質やものの動きのような”目に見えていない部分”で、バルクの部分には現れていないものを彫刻しているように感じました。

特に印象的だったのは軽井沢のセゾン現代美術館や霧島アートの森などの「庭園」に関しての展示でした。

 

(セゾン現代美術館 門・2013年に撮影)

これらの広大な庭園を手がける一方で、「自分の部屋の中に庭をつくりたい」と手の中に収まるほどの缶の中に庭をつくってしまったり、
細かく斜面の角度に指示を出して地形を変えてしまうほど土地に手を加えつつも、「(庭園の)作者の名前がなくなってしまってもよい」「植物や自然がメッセージを発してくれる」と、その行く末を自然にゆだねてしまったり、
「人が作った技術を尊敬して欲しい」と技術への賛美をしつつも、それ以上に自然に対する敬意を払っていたり。

 

(セゾン現代美術館 庭園・2013年に撮影)

 

普通は「自然との調和」や「自然に対する抵抗」など、そのテーマを一言で言い表せそうなものなのに、若林さんの思考はとても複雑でとても一言では言い表せないものでした。「自分が自然の一部であることを、確実に知りたい」とおっしゃっていたそうですが、そう考えてしまうことはもはや自然の一部ではない、というように、ご自身の中でも多くの相反する考えと戦いながら作品を作られていたのではないかと感じました。

とても複雑で、それを言葉で”理解”しようとするのはとても難しい展示でした。

 

 

私は今回、神奈川県立近代美術館 葉山には初めて訪れましたが、とても広い展示室で大きな彫刻作品もゆったりと作品を鑑賞することができ、また、庭園から見える青い海もとても素敵な美術館でした。

(神奈川県立近代美術館 葉山・中庭からの風景)

一色海岸を見渡すことができる美術館内のレストラン 「オランジュ・ブルー」にも、今度は伺ってみたいなと思いました。



「若林奮 飛葉と振動」は、12月23日(水・祝)までです。

■DATA■

 若林奮 飛葉と振動

会期:2015年8月15日(土)〜12月23日(水・祝)
休館日:月曜日(ただし9月21日、10月12日、11月23日は開館)、10月13日(火曜)[展示替休館]
開館時間:午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
観覧料:一般1,000円(団体900円)20歳未満・学生850円(団体750円)

 若林奮(わかばやし いさむ 1936-2003)は戦後日本を代表する彫刻家です。町田(東京都)に生まれ育ち、1959年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業した若林が彫刻家として活動を始めたのは1960年代初めのことでした。鉄の塊をグラインダーで削ったり、面にして継ぎ合わせて生み出す形態は、その変幻自在なイメージによって、見る人に様々な想像を喚起させてきました。
 神奈川県立近代美術館では1973年、1997年に続く3回目の個展となります。作家没後に開催される本展は、これまで充分に紹介されてこなかった若林の庭をめぐる制作に光をあてるものです。《軽井沢・高輪美術館の庭》(1982-85年)、《神慈秀明会神苑みそのの庭》(1986-96 年)、《緑の森の一角獣座》(1995-2000年)、《4 個の鉄に囲まれた優雅な樹々》(2000年)の4つの庭を中心に、関連する彫刻約100 点のほか、水彩・素描約140 点、さらに関係書籍・資料を通して、若林の創作世界を見つめ直す試みです。(神奈川県立近代美術館 葉山 HPより)

 

※ 罫線イラストは、“フリー素材 * ヒバナ” さんのイラストを使用させていただいています。ありがとうございます。

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