コーヒーのすすめ

ちいさな頃のわたしの夢は、ちいさなコーヒー屋さんの、ママになることでした。

わたしは海を抱きしめていたい

2017-04-21 | Nirvana

 

 

「わたしは悪人だ」ということは、わたしは善人です、ということよりもずるい。

 

というようなことを、坂口安吾が「わたしは海を抱きしめていたい」という小説の中で書いている。

子育てに没頭していると、もうそればっかりのつきあいになってしまい、自分はさも正しく、さも善人だと言う面で、同じ立場や同じ状況の人ばかりと日々を過ごしてしまい、気付けば、それ以外の人を、訳知り顔で詰っている。広い視野が、ごっそりと抜け落ちてしまい、内実ともなってないのに、なんだか高慢で、偏狭で、それだけならまだしも、無責任で他力本願という、とても幼稚な女になっている。

 

娘が書斎に出入りするようになった。目当ては、妖怪辞典の本である。絵が、しかも異形のものが、とてもわかりやすく描いてあるのが、面白いのだろう。

「これ、おめめがみっつもある!」

「これ、あしが、ひとつしかないよ!」

「これ、おこってる!」

「これ、おなかが、めっちゃでてる!」

娘は、思慮分別も気遣いもなく、子どもの純粋さでもって、絵を見ながら、わたしに無邪気に叫ぶ。

そしてその後は、「ね、かーちゃん、『ぐわし!!』をして!」 とせがまれる。

 

……本棚があって良かったと感じる。

 

『私は昔から、幸福を疑い、その小ささを悲しみながら、あこがれる心をどうすることもできなかった。私はようやく幸福を手を切ることができたような気がしたのである。……ところが私は、不幸とか苦しみとかが、どんなものだが、その実、知っていないのだ。おまけに、幸福がどんなものだか、それも知らない』 (私は海を抱きしめていたい)

 

 

 

 

 

 

 

 

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