ここにおいでになるすべての人々よ、私の言うことをお聴き下さい。私はルソンからの者ではなく、れっきとした日本人であってイエズス会のイルマンである。私は何の罪も犯さなかったが、ただ我が主イエズス・キリストの教えを説いたから死ぬのである。私はこの理由で死ぬことを喜び、これは神が私に授け給うた大いなる御恵みだと思う。今、この時を前にして貴方達を欺こうとは思わないので、人間の救いのためにキリシタンの道以外に他はないと断言し、説明する。」この言葉の後、十字架につけられた時、御自分を十字架につけた人々の許しを御父に祈った我が主イエズス・キリストに倣って、話を続けた。「キリシタンの教えが敵及び自分に害を加えた人々を許すように教えている故、私は国王とこの私の死刑に関わったすべての人々を許す。王に対して憎しみはなく、むしろ彼とすべての日本人がキリスト信者になることを切望する。
聖パウロ三木
聖パウロ三木