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(ボネ神父伝14)◆4-5、最初の布教地・奄美大島

2017-06-16 03:06:01 | ボネ神父様
江藤きみえ『島々の宣教師 ボネ神父』、14

第1部 選ばれた一粒のたね ある宣教師の生いたちと布教

◆4-5、最初の布教地・奄美大島

 かれの名はKといい、そののち、神父さまとは肉身にもまさる親しみのうちに18年間苦楽を共にしました。神父さまは、かれをわがむすこと呼び、嫁を迎えてやり、その多くの子どもたちを、孫のようにいっくしみました。

 しかし今は、まだ大島赴任後、4か月とはたっていないのです。ある日、神父さまは、伝道士となったこのK青年をつれて、徒歩で、効果のはかばかしくない伝道旅行にでかけていきましたが、秋の日は、つるべおとしに暮れてゆきました。そこで、とある山をこえて、ようやくふもとの部落にたどりついたDSC07567
ときには、太陽はすでにかなたの空と海へ真赤な火の粉をふりまきながら、沈みかけていたのです。

「神父さま、夜の道はひじょうにあぶのうございますももしよかったら、わたしの知人のH家がこの少し先にありますから、泊めていただきましょうか?」

「それはありがたい、では、たのんでみてください」。

 ふたりは、歩を早めながら歩いているうちに、部落から100メートルとは離れていない一軒の家の前にきました。でも、不思議なことには、まだ宵の口だというのにこの家は雨戸をすっかりしめきっていました。なかからは、戸のすきまを通して、ほそぼそとしたあかりがもれていましたが、ふたりがその前に立つと、案内もこわない前に急に奥から人の近づいてくる気配がしました。やがてガチャガチャと鎖をはずす音や、かぎでもねじ切るようなそうそうしい音がしばらくつづくと、うちがわから荒々しく戸が開かれたのです。そして、どっと流れ出た光の洪水のなかからあらわれたのは、頭髪をやぶのようにかき乱した22-23才ぐらいの青年で、一目その姿を見たとたん、神父さまは、なぜかぞうっとしました。

 うつろな目で司祭をみていたその人も、つぎの瞬間、さもおどろいたように、2、3歩うしろへさがると、たちまち飛びあがって、「わたしと、あなたに何のかかわりがありましょう、ここは、あなたのおいでになる所ではありません。どうぞわたしを苦しめないで帰ってください。あなたをみていると、妬ましくでならない」と叫び立てました。かれは、ひじょうにおびえているようにみえましたが、そのくせ目は気味の悪くなるほど激しい憎しみに燃えているのです。

 この時叫びをきいて奥からかけっけた家族のものが、四方八方から青年を押えつけましたが、伝道師から一夜の宿をこわれると、かれらは、さも困ったように顔をみあわせました。

「お泊めするのは、お安いことでございますが、お恥ずかしいことに、むすこがごらんのような始末で、お客さまにもご迷惑がかかるかと存じますので・・・」。



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