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最上の交渉術 (聖イグナチオ・ロヨラ)

2016-10-18 02:07:31 | 格言・みことば
主のためにする交際と会話の方法について

 すべての人々、ことに身分上か権威上、同格あるいは目下の人々と接するさいには、言葉少なにおもむろに語り、じっくりと喜んで傾聴すべきである。相手が思う存分話し終えるまで、長いあいだ耳を傾けてから、答えるべきことを言い終えたのち、話を結んで、別れを告げる。もし相手が異議を唱えるなら、できるだけ簡潔に答えて切り上げ、すばやく、しかも丁重に愛想よく別れを告げる。

 主なる神へのより大きな奉仕のために、高位の人や有力者と話し合い、かれらの愛顧を得ようと思うならば、まずその人の気質に注目し、それに歩調を合わすべきである。つまり、相手が胆汁質で、快活に話す多弁家であれば、善良で聖なる事柄を話し合いながら、相手の話し方をいくらか自分のものにし、口重であったり、粘液質的に緩慢であったり、憂うつ質的に陰気になったりしないようにすべきである。相手が内向的で、無口で、重々しくもの静かに話す人であれば、その話し方に合わせて応対する。その人にはそうするのが気に入るにちがいないからである。「私は、すべての人に対してすべてとなった」。

 もし、胆汁質の激しやすい気質の人が、同じく胆汁質の人と会話するならば、二人があらゆることで意気投合しないかぎり、話し合いは物別れに終わるはなはだ大きな危険があることを銘記しなければならない。したがって、胆汁質であると自覚しているなら、人との話し合いにかかわる細かな点まで予測して、できるかぎり相手に同意して、興奮することのないように、糾明その他の反省で、すきなく武装してかかるべきである。自分には相手の人が病気であると察しがつくなら、なおさらそうすべきである。粘液質か憂うつ質の人と話し合う場合には、性急な言葉から食い違いの生じる危険はそれほど大きくない。

 私たちはどの対話においても、相手の人が主なる神へのより大きな奉仕にとりかかることを望んでいるのであるから、敵〔なる悪魔〕が善良な魂に対してもっぱら悪のために用いる手口を、相手の人々に対してもっぱら善のために借用すべきである。すなわち、敵は相手の戸口からしのび入って自分の戸口から出てくるのである。かれは手はじめに、相手の習慣をとやかく言わず、かえってほめそやしながら、相手にうまくとり入る。そして善良な魂にしっくりゆくような善良で聖なる考えを吹き込み、その魂となれ親しむ。そうしておいてから、少しずつ自分の思うつぼにはめようと努め、善とみせかけてなにかしら不都合な誤りとか錯覚に、つまり必ず悪に引きずり込む。同様に私たちも、善をねらってではあるが、相手の悪いところは大目にみて見ぬふりをし、よいところは称賛したり、賛成したりするとよい。こうして相手の好意をかち得ればしめたもので、事をよい方向に運びやすくなる。このようにして、私たちは相手の気持に合わせながら、ついにはよい目的に導いてゆくことになる。

 見るからに誘惑を受けていたり、悲しんでいたりする人と相対するときには、愛想よくふるまい、ゆっくりと心ゆくまで話し、相手がいっそうよい影響を受け慰められるよう、相手の気分とは正反対に、内面的にも外面的にも朗らかな喜びにあふれて接しなければならない。

 すべての会話にさいして、とりわけ相手の人を安心させるときや霊的な話をするときには、自分の語ることはすべて公になるかもしれないし、また公にされるであろうと予測して、注意しなければならない。

 用事は、十分な時間をかけて、できるだけ早く片づけるようにすべきである。つまり、明日までと約束したことは、なるべくその日に済ませてしまっておくべきである。

 あなたがた両人が管轄権を保留したうえで、フランシスコ師に経理を担当させるとよい。それは、だれに対しても、よりよく義務が果たせるためである。三人のうち一人として公金に手をつけることをせず、むしろ、ある人を通じて、その金銭を信託人に送る。あるいは免除を希望する木人が信託人に手数料を支払ったのち、その領収証を持参したときに、希望者に免除もしくは申請した文書を与えたらよろしい。これ以外のもっとよい措置があるならば、その措置を講じてもよい。このようにして、三人とも、この使命のための費用を断じて使い込まなかったことを証言できるようにしなければならない。

聖イグナチオ・ロヨラ 「ブロエ、サルメロン両神父への指示」『書簡1:179-181』1541年9月初旬
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