まとめサイトのまとめ

山本一郎氏を巡る言説について。基本的には私的メモ

切込隊長こと山本一郎氏はデル株を1株$2.40では買えなかった の補足

2005年11月08日 15時19分04秒 | まとめサイト斜め読み
http://www.geocities.jp/kirikomi1973/Dell/index.htmlより

切込隊長こと山本一郎氏は、デル株を$2.40では買えなかった!


週刊ポスト 2003年3月12日号
「儲かる美人株」「損するブス株」見分け方はこれだ より


切込隊長こと山本一郎氏は、記事中で以下のように発言している。


  • 「僕が株式投資を始めたのは1993年、慶応大学法学部2年生の時でした。きっかけは父の借金です。バブル崩壊を受け、父の経営していた会社が傾き、10数億円の借金を背負ってしまった。」
  • 「元手は、それまでの貯金とアルバイトで稼いだお金を合わせた650万円。これを当時はまだ設立間もないデルコンピュータヒューレット・パッカードといった米国のコンピュータ企業の株に投資しました。」
  • 「確か、デルは1株2ドル40セントで買いましたが、その後、グングン株価を上げ、結果的に当初の投資金額の1000倍くらいまで跳ね上がりました。」
  • 「もちろん、儲かってばかりではありませんが、それでも自分の資産は投資額の何百倍にも膨らんだ。結局、一生かかっても返せないと思っていた借金を3年ほどで返すことができたのです。」

    (上記引用部の太字は原文、赤字は引用元サイトによる)



    検証


  • デル株は1株2ドル40セントでは買えなかった。
    →Dell株は何度か分割されているので、現在の価格を基準にして分割を考慮した修正価格で換算すれば1993年当時は$0.26になる時期もあり、平均修正株価$2.40で購入したと言う話だとすればつじつまは合う。

  • デル株は1000倍にはならなかった。
    →山本氏の投資期間中のdell株価上昇は確かに20倍ほどだが、信用取引を行えば余裕で到達する。詳しくは"信用取引していた?"の項で。

  • デル株の値上がりでは借金は返済できなかった。
    →"信用取引していた?"の項でまとめて。

  • マイクロソフトの値上がりはデルより小さかった。 ※どうでもイイので割愛

  • 信用取引していた?
    →ここでは一応元のまとめサイト内の仮定(20倍の株価上昇+信用取引による利益三倍)をそのまま流用することとする。
    種賎1が20倍まで増えるまで完全ホールドしていれば、確かに信用取引による×3でも60倍までしか増えない。
    しかし
     1.種賎1が5倍になった時点で一度利確。信取×3なのでその時点での資産は1×5×3=15
     2.この新たな種賎15を元に再度信取で株取得
     3.更に4倍の価格上昇。信取×3なので15×4×3=180
    このように運用すれば、同じ株価上昇(20倍=4倍×5倍)でも資産を180倍まで増やせる。
    そしてより小刻みに利確→再取得を繰り返せば、当然、更に増幅率を増やせるので
    まとめサイト内の
    > Dell株が20倍になったとして、信用取引で利益を3倍にしたとしても60倍にしかなりません
    > どのようにしてDell株が1000倍になり、資産が数百倍になったのか、単に信用取引したと言うだけでは説明になりません。
    この結論は完全に間違っている、ということになる。
    もちろん実際の運用はこんな簡単ではないだろう。



    FAQ


  • デル株などで増やしたと言っているだけで、デル株だけ買ったとは言っていないのでは? ※どうでもイイので割愛

  • いっぺんに買って全力ホールドなんて仮定は馬鹿げている
    > 最安値の瞬間に買って、最高値の瞬間に売ったと仮定しているので、信用取引や、
    > デイトレードのような短期売買以外では、山本一郎氏に最大限有利な仮定をしています。
    実際は山本は信用取引も行っていると表明しており()、そもそもこの前提自体が崩れている。
    なので
    > 山本一郎氏に最大限有利な仮定をしています
    は成立していないということになる。
    なおこの山本の表明はまとめサイト内でも引用されており、サイト製作者も認識しているのは確実なのだが
    このFAQ「・いっぺんに~馬鹿げている」の項目内では黙殺or未修正のままとなっている。

    余談として山本の投資スタンスについてだが、本人のブログにこんな記述がある
    http://kiri.jblog.org/archives/001158.html
    >  事実、もともと長期投資の性向が強かった私が、完全にデイトレーディングによる売買を諦めさせたのは
    > この本といっても過言ではありません。当時、ニフティのビジネスマンフォーラムのシスオペだったびな氏から
    > 薦められて読んで以来、非常に影響を受けた一冊となりました。
    これを読む限り、デイトレーディングを含む短期投資等々、以前はこれらにも手を出していたのは確実だと思われる。