気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人2月号 同人のうた

2017-02-03 16:02:10 | 短歌人
ラ・フランス一気に熟し香りたる今夜もしづか消灯ののち
(阿部久美)

三河屋のチラシの裏にわが書きし「かたたたきけん」母の文箱に
(有沢螢)

小粒なる渋柿あまた実らせて大笑いする柿の木があり
(関谷啓子)

黄の色にほのぼの咲けり石蕗(つわ)のはな誰も知らざる木の下陰に
(小林登美子)

年取つたねえと鏡の女にいふときに鏡の女はすこし怒りぬ
(西村美佐子)

トランプ氏を勝たせしちから解せぬまま読みをり『今昔物語集』
(洞口千恵)

現代短歌の主要テーマは孤独だと聴きて戻りぬひとりの部屋に
(八木明子)

淡からぬ濃からぬ鴇のかざきりのあけはふさはし老いづくわれに
(佐々木通代)

蓮根のむなしき穴を嘆きつつ目の手術日の前日となる
(青輝翼)

拭かぬ硝子戸がいつまでも綺麗であるやうに 一日の終りにわが祈ること
(酒井佑子)

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短歌人2月号、同人1欄より。


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