奈良で見つける時の流れ

時計屋しんちゃんのなんでもエッセイ

2006-12-23 | ブライトリング

Legend562400TIME OF LEGEND(副題The breitling insider)を読んだ。300ページ超の豪華本だが目次、中扉、図表、写真など見るだけの部分が非常に多い。もちろん世の中には活字嫌いの人も多いので、このバランスはむしろ好まれるのかもしれない。もっとはっきり言えば読むよりも観て楽しむのがこいつの正しい付き合い方なのだろう。

面白半分に読むページを数えてみたら末尾のキャリバー等の資料的な部分を除いて80ページ弱であった。ほとんどのページが半ページ以下の記述量なので凝縮すれば50ページ位になり“良い”意味で直ぐ読み切れる。豪華さが前面にあるので敷居が高そうだが、凄く取っ付きが良くしてある。

ライターの名畑氏は著名な時計取材者で今までにも多数の時計雑誌別冊のムック本にも関わっておられるが、以前に発行したグランドセイコーとブライトリングの特集本は今やネット上でプレミアが付いていて、バックナンバーがあれば一財産できたと悔やんでおられた。今回はしこたま確保されているのではないか。初刷3000冊はまだ若干の余裕があるとの事、年末ジャンボよりは良い投資かもしれない。ブライトリングファンには是非オススメである。

巻末の1991年からのモデルの変遷が一目瞭然なチャートはファンには垂涎ものだろう。その他の内容はここ数年にわたり取材陣がインフォブライトリングや時計雑誌のために掘り下げてきた現地取材とブライトリング社に保存されている古い広告やカタログ等の遺産、そしてヴィンテージモデルの写真紹介も素晴しいが過去にどこかで見たものが殆ど。しかしながら迫力ある航空写真等を交えながら構成し直された意味は大きい。

さて個人的には先代社長アーネスト・シュナイダー氏へのインタビューに最も感動した。1921年生まれで現在85歳。後継者難とクォーツショックのダブルパンチで青息吐息のブライトリング社を創業ファミリーより引き継いだのが1979年の58歳。350人の従業員を擁す企業を既に経営する立場であれば普通は断る話である。数年後には自らの会社に幕を引き、当時全く市場性を失っていた機械式クロノグラフを自らデザインスケッチしながら試作を繰り返す情熱。その結果生まれたクロノマットの発表は1984年の63歳。10年後の73歳で息子に経営をゆずりやっと引退のつもりが、縁あって南仏で農場経営の再建を請け負ってしまう。

不肖、私は来年年男で48歳。20台、30台とドンドン歳を取るのが早くなり気がつけば50歳目前。気ばかりあせってこの頃は、この後は何が自分に出来るのだろうかと生意気な自問をする事も・・・。かたや85歳にして現役。この人はバケモノです。爪の垢のかわりに農場特製のワインを戴きたい。


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