奈良で見つける時の流れ

時計屋しんちゃんのなんでもエッセイ

駅前ホテル

2009-09-04 | インポート

スイスの朝のスタートは早い。8時半ごろには主要な商店がオープンしている。

Shoseshop ユースで貰ったモビリティチケットでマルクト広場まで行き、買いそびれていた高い15SFRの地形図を仕入れ、良さげな靴専門店なども覗きながら駅に戻る。

かって知ったるバーゼル駅。両手と背中、荷物だらけでまずはパスポートを提示して一ヶ月有効な
スイスハーフパスを99SFRで購入し、さらにツェルマットまでの2等切符を半額の54.5SFRで買う。つまり往復するだけでほぼ元が取れる。さらにツェルマットでの馬鹿高いゴンドラや登山電車もすべて半額になるからこのハーフカードは絶対お得。
本日も快晴の中、約2時間少しでツェルマットの玄関口VISPまで直行。いよいよ谷間に流れる氷河で薄青白く汚された激流を乗り換えた列車でゆっくり登ってゆく。
既に4度目の訪問なので7回目の乗車だ。かなり氷河によって痛めつけられた壮絶な眺めは御世辞にも美しさや癒しを感じさせない。1時間強で一年ぶりのツェルマット到着。

Bhanhof 目指すはメール返信がなく予約の無い“ホテルバンホッフ”バンホッフはドイツ語で“駅”なので、いわば駅前ホテルという単純明快な店名だ。
フロントに行くと誰も居らず、電気も消えている。張り紙があり「4時には戻ります。お急ぎの方はそこの電話をお取りください」とある。
仕方なく受話器を上げるとすぐに応答があった。
「ハローメイアイ ヘルプユー?」
「予約は無いんですが、少なくとも4泊ほど相部屋のベットは空いてませんか?」
「大丈夫です。19号室に行って4時にチェックインしに来てください」「どのベットでもいいんですか?」「お好きにどうぞ」

何ともあっけない。名前すら確認しないなんて、かえって心配だ。ところがこの19号室はエレベーターなしの5階なのだ。ここまできてトレーニングも無いだろうにと重い荷を運び上げる。
Domitory 部屋には誰もおらず。6人部屋に既に2名ほど先客がいるらしい。
まずは今朝のユースで作ってきたサンドイッチを平らげてから、食料の買出しにCOOPへ向かう。

サラダ、ドレッシング、ソーセージ、チーズ、ハム、パン類、つまみ用にピスタチオ、ミネラルウォーター、ワイン、ビール等等を大量に買い込む。これ以上持てないぐらいで宿に帰る。

4時過ぎチェックインにフロントに降りる。ずいぶん若い男性が対応してくれる。ここでも名前をスペルで聞かれるだけで国籍すら問わない。
「少なくとも4泊って?」「マッターホルンの天候如何で、伸びるかも・・」「なるほど」
元々この宿は自炊で安く上げる山屋御用達の有名安宿なので山屋に対する話は実に早い。
愛読書の新田次郎氏著「栄光の岩壁」のモデルであった日本人として始めてマッターホルン北壁を登攀した芳野満彦さんなども世話になった歴史的ホテルだ。
食材は地下の自炊室の棚と冷蔵庫に名札を書いたコンテナーに収める。

ところで往路の飛行機の荷物棚にザックを積み下ろししている時、雨蓋と本体を留めるプラスチックの雌の部分がぶっ壊れてしまっていた。どうも寿命というより、構造的に強度不足が原因としか思えない。しかし困った。
絶対に無くて困るわけでは無いが、ちょっと前かがみになったら頭の上に雨蓋がのしかかってくるわけで不快この上ない。仕方なくツェルマットの登山洋品店で新調しようと数軒物色するも、今一ピンと来る奴に出会わない。
取り敢えず本番までもう少し探すことにして宿に戻った。
ビールを飲みながら、フライパンや鍋、食器など備品を確かめる。とりあえずサラダを作り、食べながらソーセージを焼き、ワインと食す。昼が遅かったのでほぼ満腹。

Matter1 いよいよ明日からは高度順応2日の予定。昨年びっしり雪が張り付いていたマッターホルン東壁に今は全く雪が無い。コンディションはここ数日最高のようだ。
明日にでも登りたいが、とてもじゃないが心肺機能がついてゆけない。恨みがましいが三日はやむ終えないだろう。
明日は昨年ガイドと行った4000m峰のポルックスの奥隣の4200m峰カストールに単独で行く予定だ。
準備をしながら、ふと思いついて細引き(4mm)のナイロンロープでザックの留具の修繕を試みる。何とも不細工だがしばらくは使用に耐えうるようにはなった。

明朝は7時前のゴンドラの始発に合わせて6時前起床予定。天気は明日も上々のようである。


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