団塊的“It's me”

コキロク(古稀+6歳)からコキシチ(古稀+7歳)への道草随筆 2週間ごとの月・水・金・火・木に更新。土日祭日休み

パン食 フレンチトースト

2017年08月31日 | Weblog

①    フレンチトースト

②    普通のトースト

③    ワッフル

①     ドイツ人の友人が我が家に泊まりで遊びに来た。朝食にフレンチトーストを用意した。友人は機嫌が悪くなった。「フレンチトーストはフランスの貧乏な人々の食べ物だ」と言った。彼の見解によると、噛み切れないほど固くなったパンを牛乳に浸してやわらかくして食べる方法だそうだ。そんなことはつゆ知らず私は少し凹んだ。私はフレンチトーストが大好きだ。先週参加した飛鳥Ⅱの船旅でも朝食は、太平洋を、日本海を眺めながら最上階のカフェでとった。ビュッフェスタイルで好きなものを好きなだけ食べられるので糖尿病で食事制限のある私には好都合だった。フレンチトースト、ワッフル、パンケーキの3種類を客の注文を聞いて料理人が目の前で焼いてくれた。私は迷うことなくフレンチトーストを注文した。美味かった。

 ちょうど一回目の結婚に失敗して2人の子供を引き取り、悪戦苦闘して子育てをしていた頃、映画『クレイマークレイマー』を観た。身につまされる映画だった。そんな映画だったが、主演のダスティ・ホフマン演じる父親が、息子とフレンチトーストを作るシーンがあった。私はフレンチトーストを真似して子供たちに作ってやった。二人の子供は「美味しい。また作ってね」と言った。子供たちは映画を観ていなかった。彼らがあの映画を観れば、私がなぜフレンチトーストを彼らに食べさせたのかわかってくれるかも知れない。

 カナダへ留学する前、カナダの主食はパンだと信じ込んでいた。肉もたくさん食べられると思い込んでいた。留学した全寮制の学校は、自給自足のキリスト教の学校だった。パンは主食ではなかった。朝はオートミール(西洋粥)、昼はポテト、夜はスープとクラッカーかポテトだった。時々小さな食パンのトーストが出た。トーストは、私にとってご馳走だった。

 糖尿病なので食事療法のためカロリー計算しながらの食生活である。好きなフレンチトーストは、それこそ年に数回しか食せない。「フランスの貧しい人々の食べ物」は、私にぴったりの食べ物である。

②    私の父親は、戦争で徴兵されるまで東京の製パン会社で職工として働いていた。パンにうるさい人だった。家には私が幼いころからトースターがあった。父親がトーストを作ってくれた。焼けたトーストにバターを塗ってハチミツを垂らしてくれた。勝手に西洋の生活を夢見た。後にカナダへ行って私が思っていた食生活と違って驚いた。でも父親があのゴッツイトースターで焼いてくれたトーストは美味かった。

③    ワッフルをトーストに分類して良いのかはわからない。初めてワッフルを食べたのは、50年くらい前バンクーバーの新婚の友人宅に泊まって朝食で食べた。ワッフルを口にするとあの日のことがよみがえる。

 パンはカロリーが高い。糖尿病の教育入院で食パン1枚よりご飯一杯と教え込まれた。それでも時々無性にトーストが食べたくなる。ドンドン失われる過去の記憶ではあるが、トーストのニオイと味と食感と見た目が記憶を私の心に引き寄せてくれる。

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