最果ての極細道

放浪記 旅の記録 廃人による廃句

アンコールワット 朝焼け

2017-02-19 11:40:27 | 旅行

シェムリアップにはいろんな国から外国人観光客が訪れる。皆目的は様々だろうが、その多くはアンコールワットを訪れにやってきていることだろう。

朝4時半に起床し5時にトゥクトゥクの運転手が迎えにくる。南国といえど早朝はやや肌寒い。外に出てから上着を取りに戻ろうか迷ったが、面倒くさいし同室の人たちに迷惑かと思いそのまま階段を降りた。

トゥクトゥクに乗り走り出すとなお寒い。若干の後悔もしながら痩せ我慢を決め込んだ。

まず何やら高級ホテルのような、政府関係の建物のようなところに連れてかれた。そこで券を買えとのことだった。未明にも関わらず多くの観光客が列を成していた。
一日券が37ドル、三日券が60ドル。
一日券の列に並ぶ。写真も撮られ、写真付きの立派な券を発券してもらえる。ビザのようだ、否ビザより豪華かつ高価ではないか。有効日数はもちろん1日、ビザの有効滞在期間は30日。言わずもがなコストパフォーマンスは最悪である。
こんな手間をかけるなら安くしてくれないかと思う反面、でもいい記念になったなという考えに至った。まんまと手玉にとられてしまった。


まだ暗い中、少数の売店が立ち並ぶ辺りにトゥクトゥクは停車した。どうやらここが入口らしい。そこから少し進むと橋が見えてきた。橋の手前には券を確認する現地人の男たちが立ち並んでいる。

橋の先の門をくぐるといよいよ巨大な遺跡が姿を現わす。赤橙の朝焼けを背にしたそれは堂々たる貫祿を醸し聳え立つ。
それに向かって歩みを進める人々とともに、その風景を長方形の枠に切り取る。





暫く進むと左右に大きな水溜りがありその手前には既に人溜りができていた。水に映える日の出を撮ろうと多くの人が準備をしていた。

オーストラリアでカメラの画面が映らなくなる危機に見舞われていたおれは半ば心折れながら全盲心眼投写法を決め込んでいた。この投写法ではもちろん絶妙な写真は期待できない。

水溜りと人溜りを横目にとりあえず奥へと進んで行く。そこでふとカメラに遠隔操作機能が搭載されていることを思い出す。その機能はwifiでカメラとスマートフォンを連動させることにより、カメラのレンズで映した画をスマートフォンで操作するという画期的なものである。早速手探りでカメラからwifiを飛ばしスマートフォンと連動させる。

辺りが次第に明るみを帯びてくる。新しい投写法を覚えたおれは右手にカメラ、左手にスマートフォンを携え水溜りの方へ向かう。遺跡に向かって右側の方が人が少なかったためそちらに移動する。
スマートフォンで確認しながら水面に映える遺跡の投写に成功する。







暫く余韻に浸っていると遺跡の右側に朝陽が出現した。急いで反対側の水溜りに移動する。こちら側からだとまだ太陽は遺跡の陰に隠れている。
運良く人溜りの前線に空きを確認できたので素早く潜り込む。いい位置を陣取った。ここで朝陽が顔を出すのを待つ。
しかしすぐ目の前に三脚を携えた中国人の男が割り込んでくる。押しのけられるかたちになったおれは半歩後ずさる。最早世界的常識ともいえるこのような行為は至って想定内である。
おれより少し背丈のあるその男の頭上にカメラを掲げる。右腕を目いっぱい伸ばし視線は下を向いている奇異な姿の日本人が群衆の中で美しい日の出を狙う。

やがて朝陽が遺跡の陰から頭を出す。そこから完全な円形を晒すまでの瞬間は意外と短い。それを一瞬一瞬丁寧に一画に収める。







どの瞬間が一番美しいかなんて決めることは到底できそうにない。それはミャンマーのバガンを訪れたときにも感じた。


日昇や 栄光担い 日常の


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