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低用量・長期間化学療法(メトロノーム化学療法)

2005-10-25 | 癌全般
これまでの化学療法の概念を変える、低用量で休薬期間なく長期間投与する化学療法の新しい試みがいくつかの施設で乳癌、卵巣癌、脳腫瘍、非ホジキンリンパ腫などさまざまな癌の再発ハイリスク患者において臨床試験が行われている。
従来、化学療法による抗癌剤投与は多いほど効果的と考えられてきたが、毒性が強いことから体力回復のために定期的に数週間中断の必要がある。一部ではこの休薬期間に癌の血管新生が行われ腫瘍が再成長するのではないかとみる専門家もいる。'Chemo lite''metronomic chemotherapy'と呼ばれるこの低用量化学療法の目的は、癌そのものをなくすのでなくその成長を抑える休眠療法である。例えば従来のシクロホスファミド1000mg3週間毎6ヶ月というレジメンは、この新しい療法では患者は50mgを休みなく毎日投与を継続する。同じ薬剤の標準化学療法に抵抗性になった患者に奏効する例もある。ボストンのChildren's Hospitalでは、シクロホスファミド、エトポシドに血管新生阻害剤であるサリドマイドやセレブレックスを併用した結果、20人中5人が奏効した。25%の奏効率は、もはや治療の選択肢のなくなった患者には大きな数字である。
副作用が非常に軽いため頻回長期間投与が可能になるが、果たして本当に少ない用量で奏効するかどうか、生存率に不安はないのかという懸念も残されている。Wall Street Journal10月25日記事より
参考:医学書院/メトロノミック化学療法


3 コメント

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賛否両論があるんですよ (try2live4u)
2005-10-28 00:02:41
 日本での第一人者は、金沢大学の高橋先生ですよね。

 しかし、実は学会や、日本の自称臨床腫瘍医の多くは、この概念(治療)に関しては批判的なんです。

 というのも、これまでの抗がん剤の投与量を決定するのは、Phase I Studyで、少量から用量をあげていくというもので、体が耐えられる最大量を投与量とするもので、この概念は全く逆、効果のある最小の投与量(最適なスケジュール)を見つけるというもので、これを見いだす臨床試験の手法がないというのが、主な批判の理由です。

 しかし、実際(実際の臨床の場)では、この概念や治療を感覚として理解している医師は多いと思いますし、今後どのように扱われるかわかりません。今一つインパクトが弱いのは通常の投与量とこの治療法の比較試験の結果がないと言う事です。
一つ消去して下さい。 (try2live4u)
2005-10-28 00:06:07
コメント同じものが2つ入ってしまいました。一つ消去下さい。
Unknown ()
2005-10-28 21:23:42
このWSJ記事はA4で3枚程度の長いもので、奏効した具体例も紹介されていました。ひとつの新しい概念であるということでしょう。

少ない投与量で効果がでるかどうか、さじ加減で一か八かの賭けとなってしまいますよね。

しかし選択肢のなくなった患者さんには希望になるかもしれませんし、インディアナ大学ではあまり進行していない乳癌患者でのパイロットスタディを開始、NCIなども絡んで他でも試験が行われているということです。

その概念が元は日本の休眠療法だったといのはおもしろいです。

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