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大腸癌術後の腹腔内温熱化学療法の使用を推奨

2006-11-09 | 大腸癌
ステージ4大腸癌患者の外科手術後の温熱療法が大腸がん患者の生存を大きく改善するという合意声明が、Annals of Surgical Oncology誌上で2006年11月発表された。この療法は"Cytoreductive Surgery and Hyperthermic Intraperitoneal Chemotherapy (HIPEC:腫瘍縮小手術と腹腔内温熱化学療法)in the Management of Peritoneal Surface Malignancies of Colonic Origin)"と題され、Peritoneal Surface Malignancy Group(PSMG-腹膜表面悪性腫瘍グループ)の米国を含む14カ国72の著名な腫瘍外科により実施された。HIPEC療法は、転移のみられるステージ4結腸直腸癌患者に、外科手術後直ちに癌細胞が死滅する温度の標準化学療法薬を用い、残存する癌細胞に対して腹腔内を浸すという方法で行われた。これによって、通常の静注より高濃度で投与可能になる。
慣習的な標準化学療法のみの患者の生存期間中央値が6ヶ月であるのに対し、腫瘍縮小外科手術後に腹腔内温熱化学療法を受けた群は20ヶ月を超えた。推定によると、この治療が適応である大腸癌患者は全体の30%と考えられる。
HIPEC療法は、末期ステージの大腸癌患者にとって有望な結果をもたらす大胆な外科治療であり、この革新的療法は治療を必要としている患者らの大幅な延命に役立つだろう。」
PSMGのグループはこのHIPEC療法の標準方法を確立するため、今回のコンセンサス以前にいくつかのピアリビュー(同じ専門家による査読)をすでに行っている。
この声明には述べられていないが、現在この方法は膵臓癌、卵巣癌、胃癌などの他の腹部の癌にも利用されている。PRNewswire原文記事
参考:NCI卵巣癌腹腔内投与Tips:卵巣癌IP投与ハイパーサーミア


6 コメント

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興味あるなあ (ku_md_phd)
2006-11-11 18:42:32
以前MDアンダーセンからも盲腸癌に対する腹腔内温熱化学療法の報告がありましたけれど、興味があります。
投与経路を工夫するというのは古くて新しいアイディアですけど、温度のコントロールがしやすい腹腔などは有望ですよね。

最近39度のぬるいお風呂にしか入っていないので、ちょっと熱めのお風呂に入りたくなりました。
熱望してます (希)
2006-11-11 20:48:52
20ヶ月ですょ・・・1年以上。。
腹膜播種状態だった家族にこの治療ならどうにかできたのではないかという期待を持って読みました。
海外では、温熱療法は着実に進んでいるようです。
以前のハイパーサーミア記事もリンクつけておきました。
Ku先生はぬるま湯温浴ですかー私は41度ですー
まさに温度差 (ku_md_phd)
2006-11-12 11:50:14
を感じます。

海外と日本と、何が違うんだろか・・・はぁ。

(やっぱり混合診療が壁?)

41度はもう熱くて入れません。
私も知りたいのですが・・ (希)
2006-11-12 23:46:55
何が違うんでしょう?
でも、違った切り口で研究が進んでいるようですね。日本では新たな開発はされていないような印象です。RF-8以来。

私は、寒くなってきたので最近は42度に入ってます。
この記事は (Yabu Inu)
2006-11-23 15:18:53
うーん、StageIVといっても転移が腹膜に限局している症例のみの話なので、「6ヶ月が20ヶ月に伸びた」って言うのは言い過ぎかもしれないですね。(大腸癌で転移が腹膜のみの場合の生存期間中央値は6ヶ月より長いと思われます。)

本文中で取り上げられている唯一の無作為化Phase III試験 Verwaal VJ(2003) によれば、腹膜転移大腸癌で全身化学療法のみの群と減量手術+HIPEC+全身化学療法を行った群の成績は、前者が12.6ヶ月、後者が22.3ヶ月だったそうです。それでも充分素晴らしい成績と思いますが。
それでも素晴らしいです~ (希)
2006-11-24 18:18:30
Phase3の結果を教えていただきありがとうございます。十分過ぎるくらいいい結果ですね。
日本でも術後の腹腔投与が行われているとも先日伺いましたが、ここでの合意声明は非常に重要な声明であるようです。

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