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無増悪生存期間(PFS)の意義

2008-05-25 | 癌全般
先日、米国食品医薬品局(FDA)は一部の転移乳癌患者の治療にパクリタキセル(タキソール)と併用でベバシズマブ(アバスチン)を迅速承認した。この承認は、決定の根拠として当局が採用した臨床試験のエンドポイント(評価項目)について少々物議を醸すところとなった。この併用療法は、パクリタキセル単独である対照群と比較して、無増悪生存期間を5カ月改善したが、患者の全生存率(期間)(OS)の有意な改善は認められなかった。。(過去チップ

PFSとOSとの違いは何か―PFSとは、患者をいずれかの群に無作為に割り付けた時点から、その患者の癌が再び増大するか、患者が癌によって死亡するまでの期間を測定するのに対し、OSは無作為割り付けの時点から理由を問わず死亡するまでの期間を測定する。
癌の臨床試験におけるエンドポイントとしてPFSを用いたことに対する論議の核心は、癌の治療によって患者の生存を長らえることができない場合、病気の進行を遅らせることに意義があるかどうかという問題である。別の言い方をすれば、余命の長さとQOLのどちらが大事か、である。
FDAは、OSが最も信頼性の高い癌のエンドポイントであるとしている。それは試験的薬剤や療法のベネフィットを直接測定するための世界的に是認された方法で、しかも、明確で、測定が容易である。しかしながら、臨床試験でOSを改善すると示すのは至難の業である。完了までに何年もかかり、数百人の患者を対象とした試験が必要となることも多い。
さらに、患者が別の治療に乗り換えることにより、結果を読み取る研究者らにとっては難題となるのである。

PFSを臨床試験エンドポイントに採用する重大な利点は「腫瘍縮小効果と腫瘍安定効果の両方を検証することです」とSargent氏は述べる。このことは重要なことである。なぜならば、癌細胞を殺して腫瘍を縮小させるこれまでの薬剤と異なり、多くの新たな標的治療薬(ベバシズマブを含む)は別の機序をもって腫瘍の増殖を止めることがあるが、必ずしも腫瘍縮小がみられるわけではないためである。
Sargent氏によると、試験のエンドポイントとしてPFSが用いられることに対する懸念は、病勢進行はX線やCTスキャンによって測定されるが、PFSの判定は、どのくらい頻回に評価が行われたかによって異なりうることである。
「進行した乳癌では、病勢の進行はしばしば症状を伴い、辛いものであるため、それを遅らせることができれば患者にとって有益です。」しかしながら、「ベネフィットは、それがバイアスによるものではないと確信できるだけの大きなものでなければなりません。1カ月や2カ月の改善では、おそらく、その確証は得られず、臨床的に有意義であるとは言えないでしょう。また、より長く病勢をコントロールしておくための代償として、患者は多くの毒性を耐えなければなりません。もし、副作用のほとんどない経口の薬剤が病勢進行を4カ月遅らせるのであれば、ほとんどの進行乳癌患者はその治療を受けるでしょう。」
FDAは最近になって、PFSの改善に基づいて、他にもいくつかの抗癌新薬、たとえば腎臓癌にソラフェニブ(ネクサバール)、卵巣癌にゲムシタビン(ジェムザール)、乳癌にイクサベピロン(イグゼンプラ)などを承認している。

「PFSの改善に基づく薬剤承認は基準の低下であると非難する人々がいるのは承知しています。しかし、私はこれを柔軟性の向上であると考えています。」
NCI(米国国立癌研究所)キャンサーブレティン5月13日号原文記事より抜粋
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その他
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パクリタキセル 国立癌研究所 ゲムシタビン アバスチン 食品医薬品局
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2 コメント

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他の指標がないものか・・・ (ku_md_phd)
2008-05-26 18:09:23
確かに柔軟性があって良いと思います。

願わくばこうした議論を吹き飛ばすほどの画期的な医療が登場する、必ずさせようというファイトが必要ですよね!!
新たな基準が必要なんですね (希)
2008-05-27 08:44:45
新しい治療には。
そして、それを吹き飛ばすほどの新治療はもっといいですね。

イレッサが延命しなかったことへの批判と絶望が思い出されました。

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