嫌われ松子の一生
予告を観て、
「どっかで観たコノ感じ・・・」と思っていたら、「下妻物語」と同じ監督だった
納得!
「下妻物語」といえば、友情とか成長とか義理とか・・・・そんなベタな内容を派手な色彩と無茶寸前の演出で勢い良く描き、一気に大好きになり、鑑賞後しばらく人に勧めまくった記憶がある
で、この作品
内容ははっきり言って暗い
まるでお昼のメロドラマのような、波乱に満ちた女性の苦労人生
盗み、不倫、トルコ、殺人、ヤクザ女・・・・・等々・・・・
原作は読んでいないけれど、恐らく陰気な物語じゃないか、と思う
ところが、(恐らく文字では伝えられない)映像と音楽の圧倒的なパワーで随所にかわいらしささえ感じられるミュージカル作品になっている
自分から進んで不幸な道を選んでいるかのような松子には、はっきり言って同情できないし、悲惨な最期はある意味"仕方ないね"と言いたくなる
それでも、父親の関心を惹く為にヘンな顔をしてみせたり(しかも、それがいつしかクセになってしまったり)、自分を待っている筈の人の為に美容師の資格を取ったり、愛人の暴力を友人に隠そうとしたり、という見ていられないほどのひたむきさや、どんなに人から裏切られても、決して自分から男を裏切ることのなかった彼女の生き様は、「哀れだね」と切り捨てることはできない
どんなにド派手な演出でも、そんな彼女のひたむきさや心の裏側もしっかり描かれていたから、"仕方ないね"と思いつつも、天国の階段を昇って行く松子に
「これでやっと穏やかになれるね、よかったね」と声を掛けたくなる
なんていうと、ちょっと大袈裟だけど、どうしようも無い女の悲惨な最期でありながら、ラストにはなぜか胸がじ~んとして大きなため息が出てしまった
映像や音楽にばかり目が行きがちだけれど、この悲惨な物語をここまでパワフルにテンポ良く、そして「ダメ女松子」を憎み切れない女性に描き上げだのは凄いことだと思う
★おまけ
下妻物語の水野晴郎に続き、片平なぎさの起用には参った!!!!
★おまけ2
とにかく、たくさんの有名人が出ているけれど、誰も彼も
"この人しかいないでしょう”という見事な配役(それも見た目が)
歯がキラリ教師の谷原章介とか、売れない作家のクドカンとか、
ヒモの武田真治とか、頑固な弟の香川照之とか・・・・・
なんだか思い出したら笑えて来ちゃった
(2007/4/24 DVD)