信じれば真実、疑えば妄想…

季節は巡り、繰り返しと積み重ねの日々に、
小さな希望と少しの刺激で、
今を楽しく、これからも楽しく

妄想劇場・漢の韓信-(173) 悪意の絆…その後

2017年05月20日 | 妄想劇場

V01511111111

 

昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
 明日という日はミステリー


メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
 良いかな・・・

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい

 

Kansin

 

漢の韓信-(173) 悪意の絆…その後


「お前は淮陰侯に謀反を勧めたとか。
間違いはないか」
皇帝劉邦は、覇者の権威を見せつけるように
蒯通に対して詰問した。
しかし、手枷をはめられた蒯通はそんな劉邦の
偉そうな態度に動揺することもなく、鋭く言い放つ。
「無論!」

劉邦はそんな蒯通の態度に呆れながら、問う。
口の聞き方を理由に蒯通を罰することはしない
劉邦であった。
「では淮陰侯はお前の教えに従い、今回の謀反を
計画したのか」

「違う。しかし淮陰侯が後からわしの教えを思い出し、
計画に及んだことはあるかもしれぬ」あるいは
蒯通は責任を逃れようとしているのかもしれない。
だとすれば劉邦はそれを許すわけにはいかなかった。

「ならば、遅ればせながら淮陰侯は、お前の計画を
実践したわけだな。では、お前は大逆の罪人として
死ぬべきではないか? 
敬愛する淮陰侯が、お前の教えに従った結果として
死んだのだから、教唆したお前も当然
そうあるべきだろう。そう思わないか?」

追及した劉邦であったが、意外にも蒯通の態度は
確信犯的なものであった。
どうやら自分の過去の行為に自信を持っているらしい。
「韓信を敬愛していたと……? なんの、
わしに言わせれば、韓信は馬鹿に過ぎぬ! 
年も若く、それゆえ時流を読み切れなかった
小僧に過ぎぬ! 

あの馬鹿は……さっさとわしの計画を
実行しなかったから、滅んだのだ。そうだろう? 
あの小僧がわしの計画にのっとって行動したら、
陛下はそれを防げたか」・・・

劉邦はこの蒯通の言葉に激怒した。
「不遜なことを言う奴だ。わしに対しても、淮陰侯に
対しても不遜きわまりない。
大釜を用意せよ! こやつを煮殺すのだ!」

気の利く側近によって手早く大釜が用意され、
すぐにそれに火がつけられた。
「何を言う! わしは無実じゃぞ!煮殺すなどと!」
蒯通は反論した。しかし手枷をはめられていた彼は、
両脇を劉邦の臣下たちに抱えられ、いとも簡単に
釜へ放り込まれてしまった。

劉邦はその蒯通の顔に唾を吐きかけるような勢いで、
言い放った。
「ぬけぬけと無責任なことを言う奴め! 
お前は信を悪の道に引き込もうとした。
何が無実だと言うのか!」

しかし蒯通は決して悪びれる態度を見せず、
その様子に劉邦は若干たじろいだ。
もしかしたら目の前の男は本当に狂人
なのかもしれない、と。

「なにを言う、悪の道だと! あの男は常に
正しさを求めていた。
わしはそれを知っていたから、彼が一人の
人間として幸せに暮らせるよう、提言したのだ。
それが結果的に陛下の利益を損じることに
なろうとも……そんなことはわしの
知ったことではない! 

もとより臣下とは主君のためにのみ働くべき
存在であるからだ」
煮られながら必死に抗弁する蒯通の姿に、
劉邦の心は動かされつつあった。
しかし論破されるわけにはいかない。
劉邦は諭すように、蒯通に言い渡した。

「お前が韓信の臣下であると同様に、韓信は
わしの臣下であったのだ」
その言葉には、言外になぜ正しく韓信を
導かなかったのか、という意味が込められていた。
蒯通にとっては失笑の種であったが、
劉邦にとっては、それは間違いなく本心であった。

「その通りだが、当時わしはそれを知っていて、
主君に韓信を選んだのだ。選んだ以上、
わしは自分の主君のためだけに働いた。
飼い犬というものは……飼い主以外の者には
吠えつくものなのだ。当然のことではないか!」

「しかし、お前は見たところ犬ではない。人だ! 
人の頭があるのなら、当然道理というものが
理解できるはずだ! 違うか?」

ここにもこの時代の論理があった。
人は人にのみ忠誠を尽くし、国や制度に
尽くすものではない……
蒯通の主張することはそのことで、劉邦はそれを
否定しようとしているのであった。

そんな生き方は、感情のままに生きるだけの、
犬のようなものだと。

劉邦のその気持ちを理解しようとしない蒯通は、
なおも喚き続ける。
「わしが言っているのは、たとえ話だ。
わしは韓信の飼い犬として、陛下に吠えついた。
しかし……あんたには想像できまい……

飼い主の韓信は、わしを制したのだ! 
『不忠であるからやめろ』などとと言ってな! 
それ以来、わしは吠えることをやめ、身を引いたのだ。

韓信はわしの飼い主ではあったが、それと同時に
陛下の飼い犬であった。彼はわし以上に……
主人に忠実な犬であったよ!」
「…………」

劉邦は言葉を返せなかった。
人に犬のような生き方をさせたのは他ならぬ
自分であるというのに、
それを今になって否定する権利はないことに
気付いたのであった。

「なにも言えまい! 言い返せまい! 
それはそうだろう。韓信もわしも無実なのだからな! 
陛下! あんたは理由もなく韓信を殺した! 
そしてこのわしも殺そうとしているのだ! 

韓信が自ら兵を挙げてまであんたに訴えたのは、
このような行為を許さぬためだということが、
わからんのか!」

「……もういい。それ以上言うな……赦してやる。
どこへなりと行け」
長年にわたって結果が保留されてきた韓信と
蒯通の賭けは、劉邦が韓信の忠義を認めたことで、
韓信の勝ちに終わった。

つづく

Author :紀之沢直樹 (野沢直樹)
http://kinozawanaosi.com
http://mypage.syosetu.com/273441/

 

愚人は過去を、賢人は現在を、
  狂人は未来を語る




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