Cafe SLOWHAND

珈琲と紅茶の小さなカフェのお話

黄色い花

2016年10月22日 | 日記

10月22日、土曜日。

きょうは朝から雨。
雨の雫がやけに冷たく感じた。お彼岸か
らもう一月も経ち、いつの間にやら秋は
深まっていた。
ブログの更新は、記しておきたいような
特別な出来事もなくて滞ってしまった。

淡々と過ぎていく代わり映えのしない毎
日だったけど、冷たい雨の一滴が首元に
落ちたとき、パパはブルっときて季節は
変わろうとしていることに気がついたみ
たいだ。

そう思いながら、何気に草が生い茂った
お店の裏庭に目をやると、何やら鮮やか
な色をした花が目に留まった。
草むらから顔を出した黄色い花。
近づいて見てみると、かぼちゃの花だ。

そういえば、何年か前にハロウィンの飾
りものに観賞用のかぼちゃを頂いた。
観賞用だから食べれないと聞いていたか
ら、時期外れになって裏に捨てたことが
ある。
きっと、きっとその時のかぼちゃが芽を
出してツルを伸ばし、花を咲かせたに違
いない。

そうかぁ、彼岸花がお彼岸を覚えていた
ように、かぼちゃもハロウィンが来るの
を知っていたんだね。
花や野菜がシッカリと季節の移ろいを告
げているということは、きっと時間を大
事に使いなさいという示唆なんだ。

パパは思い立ったように、近くのスーパ
ーに車を走らせた。
そして買ってきたのは大量のかぼちゃ。
以前よく焼いていたパンプキンケーキを
焼こうってわけだね。

張り切ってるパパの顔を見ていたら、レ
イラもなんだか嬉しくなる。
おまけにあたいのお鼻もピクピクしだし
た、だってオーブンから美味しそうな香
りがすんだもの。

裏庭の黄色い花。
実をつけてそれが大きくなったらさ、か
わいいフラワーアレンジ作ってよね。
今度はママの出番だよ! 


お彼岸

2016年09月23日 | 日記

9月23日、晴れ。

すっかり秋めいて、朝晩はお布団が恋し
い。それでも、昼間はお日さまが照りつ
け、汗ばんでしまう。日較差が激しいか
らさ、体調調整には気をつけてよ、とパ
パを気遣うレイラです。

さて、こないだパパは、コーヒー豆の注
文を受け、早朝から配達に出かけて行っ
た。
お仕事というより、配達業務はドライブ
気分。朝の新鮮な空気を吸って、景色を
眺めながら車を走らせている。

平行して走る鉄道。
線路脇に盛られている砂利の中から、数
え切れないほどの黄緑色の茎が伸び、そ
の茎のてっぺんには漏れなく赤い花が咲
いている。

そうかぁ、お彼岸の季節なんだ・・・。
パパは、一人でうなずいた。
この時期になると、必ず見かける「彼岸
花」。
日常の雑事に追われ、大切なことを見逃
してしまいがちな人間さま。カレンダー
機能つきの「こする携帯」を常時携えて
いながら、季節の移ろいに気づかない。

配達を終えた帰り道。
彼岸花を眺めていると、パパは急に「ぼ
た餅」が食べたくなった。
あのねぇ、パパ。
この時期に食べんのは「おはぎ」の方で
しょ。

一説には、秋の彼岸に食べるのは「おは
ぎ」と言うらしい。萩の花が咲く時期だ
からだと。しかも収穫したての小豆は皮
まで美味しく食べれるから、つぶあんに
仕上げてお米を包む。
一方、春のお彼岸は、牡丹の花が咲く時
期だから「ぼた餅」。そしてこちらは、
こしあんだとさ。

へぇ〜っ、そうなんだ。
パパは、また一人でうなずいている。
お彼岸かぁ、実家のお墓参りにでも行こ
うかなぁ、久しぶりに。

カレンダーを持たない彼岸花が、大事な
ことを教えてくれた朝だった・・・。 


見習い

2016年09月11日 | 日記

9月11日、晴れ。

9月に入り、朝晩はめっきり涼しくなっ
てきた。
こうなると、珈琲や紅茶がますます美味
しくなってくる。みんな知ってると思う
けど、10月1日は「コーヒーの日」そ
して11月1日は「紅茶の日」だしね。

車の窓を開け、ドライブしながらコーヒ
ーを飲むなんて最高の季節。
昨日も、テイクアウトのお客さま、かな
り多かったもんね。

ところがその時、うちのお店で事件は起
きた。
ご注文のコーヒーを作ってカップに注ぎ
お渡ししようとしたその時だ、
「あっ、フタがない」
そう、紙コップのフタの在庫を切らして
るのに気がついたんだな、パパは。

ラッキーにも、いいお客さまでね、フタ
なんて無くていいよと言ってくれたから
事なきを得たけれど、こんな事があると
メンタル面で弱いパパは凹むんだな。
明日は日曜日で卸屋さんもお休みだし、
どうしようかと悩んだ末に、近くでカフ
ェをやってる知り合いのことを思い出し
お店を閉めた後、パパはその人のところ
へ駆け込んだ。

これまたラッキー。
その人が使ってる紙コップのサイズが全
く同じだったから、少し分けてもらえて
助かった。

よかったね、パパ。
同じ業種の人たちが親切でさ。
普通だったら、こうはいかない。
食うか食われるか・・・商売はそんな甘
いもんじゃないんだよ、本当は。

いいお客さま、いい同業者。
本当にパパたちは幸せ者だ、みんなに助
けられてやってける。

エスプレッソの教本。
真剣にエスプレッソをやろうと決めてか
ら読みあさった数々の教本。
全ての教本に、どれにも必ずこう書いて
ある。

バリスタとは、
店の掃除、経理、そして在庫の管理が完
璧にできる人のことです。

凹んでるパパを見て、レイラはその丸く
なった背中を「パン!」と叩いて励まし
た。
「よっ、頑張れよバリスタ見習い!」


タイフウイッカ

2016年09月05日 | 日記

9月5日、晴れ。

台風は過ぎ去り、何事もなかったかのよ
うに青い空が広がっている。

きのうは日曜日で、うちのお店はたくさ
んのお客さまで賑わったけど、台風は真
夜中にこの辺りを通過するって予報だっ
たから、昼間からみんな心配顔でソワソ
ワしていた。

いつもだったら車が数珠つなぎになる店
の前の道路も、昨日ばかりは閑散として
道の向こうとこっちとでキャッチボール
ができそうなくらいだった。
きっとみんな、用事を済ませて早々と自
宅に戻って行ったに違いない。

うちのお店、最後のお客さまが帰ったの
は日暮れ前だったっけ。
喫茶店ってのは、みんなの憩いの場、ひ
と時の安らぎを求めて集う場所ってのは
わかってはいるけれど、やっぱみんな、
結局は帰るべきところへ帰ってしまうん
だと思うと、ちょっぴり寂しい気分にな
るんだな。

用事を済ませて早々と帰った人たち。

取引先との接待ゴルフが途中で中止にな
ったパパ、
ラッキーにもシフトからはず
してもらって帰宅を許されたママ、
塾が
臨時休講になった子供たち・・・

それぞれが帰るべきところに帰り、雨戸
を閉じ、カーテンを閉め、一つの部屋に
集まって夕飯を共にしたことだろう。
いつもだったら、一人か二人が欠けて無
言で進行する食卓も、昨日ばかりは会話
に花が咲いたに違いない。みんな揃って
いるからね。

幸い台風は、大雨を降らせることも、大
風を吹かせることもなく、過ぎ去ってく
れた。
一夜明けて、パパは雨戸を開け、ママは
玄関のドアを大きく開いて、子供たちに
「行ってらっしゃい!」と言って学校へ
送り出している。
その声は、いつもよりも大きくて明るい
ような気がするんだな。

久しぶりに同じ時間を一緒に過ごした家
族は、充電率が100%になった携帯電
話のように元気ハツラツ。

そうかぁ、
レイラのパパは、左の手のひらを右のこ
ぶしの小指でひと叩きしてうなずいた。
このことを「台風一家」っていうんだ。 

行ってらっしゃい!の言葉に送られて通
学路を歩く子供たちの上には、秋の気配
を感じさせる青い空。
その中にぽつんと浮かぶ一つの白い雲が
そのとき「クスッ」と笑った・・・ 


成人は何歳?

2016年09月02日 | 日記

9月2日、雨。

ずっと続いた猛暑はひと段落、きょうは
雨が降り、涼しい風も吹いている。
傘をさして歩くのもたまにはいいもんだ
と、子どもみたいに傘をクルクル回して
しまったパパの姿が見えた。

さて、けさの新聞、一面に大きくこんな
見出しが付いていた。
「成人年齢18歳に」

これまで成人になるのは20歳だったけ
ど、どうやら18歳に引き下げられるら
しい。
そうだね、選挙権も18歳になったこと
だし、それがいいかもしれないな。

ただこれにはね、いろんな意見があって
18歳はまだまだ子どもで、大人と呼べ
る段階じゃない、っていう人も多いらし
い。
そうかぁ、難しい問題だ。
でもさ、20歳でも30歳でも、いやい
や50歳でもね、大人なの?って思って
しまうケースもあるじゃない。

じゃあさ、こうしたらどう?
成人年齢は何歳って決めないで、自分で
決めていいことにするのさ。
そう、自分はシッカリした大人だと思う
人は、首から札を下げることにする。
「わたしは大人です」って書いた札。
そう、ラジオ体操に行く時に、ハンコも
らうためにみんなが下げてたあの札みた
いに。

自信をもって大人だと言い切る人は、公
共の場ではマナーを守るし、ルール違反
もしない、全てにおいてスマートなんだ
な。
周りのみんなは、
「見て見てあの人、大人だよ、札下げて
るもん、カッコイーッ!」って羨望の眼
差しを送るんだ。

一方ね、30歳になっても自分は大人の
自信がないって人は、札を下げない。
つまり子どもだからね、何をしても許し
てもらえる。
あの人、札下げてないから仕方ないか、
ってね。
お店の中で大声で携帯電話でお話しして
もいいし、立ってるお年寄りに気づかな
いふりをしてバスの座席でたぬき寝入り
を決め込んでも大丈夫だ。
ただね、選挙には行けないし、コンビニ
でタバコも買えない、もちろんキンキン
に冷えたビールも、熟成の利いたワイン
もご法度というわけ。

さあ、そんな法律できたらみんなどうす
る?
そんな法律できるはずないけれど、大人
の自覚って、内側にあるのは間違いない
んだな、きっと。

ねえ、パパ。
傘をクルクル回しちゃダメだよ、周りの
人に雨の雫が飛んじゃうでしょ!
自覚が足りない人がここにも一人いたよ
うだ・・・