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藍染めの不思議

2016年05月13日 | 自然の不思議
店主の津島です。

雨が降るごとに季節が新しくなりますね。

毎年迎えているはずのこの季節、それでも冬の記憶を引きずっていて

樹々の様子や風の色が変わる度に新しい体験に感じて

うわーすごーいと言ってしまいます。


さて、藍染めの服、春先に届いていたのですが、

ゴールデンウィーク明けに落ち着いてご覧戴きたかったので

温め、準備していました。


藍染めには若い頃から心惹かれるものがあり、

成人式の振り袖カタログの中でも特に印象に残っています。

私は成人式に出席することには興味がなかったのですが、

そのカタログのなかで、「これかこれなら着たい」と母に言ったのが

藍染めの振り袖と、大島紬の振り袖でした。

結局、成人式の当日は、穴の開いたジーパンはいて

自分が参加している写真展の会場にいましたが。


近年は、好んで購入する服の中に、気がつけばずいぶん藍染めのものが増えています。

この春の断捨離で残ったもののほとんどが、生成りか、藍で染まったもの。

昨年はハンモックスタイルさんが栽培した藍のお裾分けをいただき、

生葉染めに挑戦してみました。

夫は着古した白いシャツ、私はタッサーシルクに刺し子を施したストールを。

薄い青緑に染まってふたりとも大満足。

ストールはそれから一番よく使っていたのに、

先日なくしてしまい、しょぼんとしています。


藍染めのことを理解したいと思って本を捲ったり、紺屋を訪ねてみたりしますが

すごすぎて、やっぱりなんだかわからない。

緑の葉っぱの中に、青の色素が含まれていること、

発酵とか酸化とか、、目に見えないエネルギーや小さな命の働きがあって

この美しい青が生まれること、

世界各地の人々がそれを見つけて大切にしてきたこと、

そして心身を健全に保つ力があること。


不思議な世界。

昨日、夫の運転で、こっちに行ってみようドライブをしていて神社を見つけた。

暗くて長ーい階段を登って光の中に戻った時、最初に出会った石像に

「不思議」という文字が掘ってあってどきりとした。

一体だけ道具は持たずに、手を山の形に合わせている。

他の石像たちは、剣や鍬など、それぞれ何かの道具を手にしているのに。


ああ、不思議とはそういう意味なのかと胸にしまって帰宅して

気になってしようがないのでネットで調べてみたところ、

東本願寺のホームページにこう書かれていました。

「人は、しばしば宗教に、あるいは宗教者に、

人知(じんち)をこえた不思議な能力やはたらきを期待し、

その力やはたらきによって、現実の問題を解決しようとするときがある。

しかし仏教は、基本的に自覚の宗教である。

それは、仏の智慧(ちえ)に照らして自己を凝視し、

自らの生存在に目覚めたつ宗教である。生死苦悩の生を転じて、

真実の生に立たしめよという、その本願のはたらきを「不思議」というのである。」



なるほど、、、。

藍染めは不思議であり、不思議に通ずる。


そういえば、中学時代に美術の課題だった篆刻で私が選んで彫った文字は

全長2mの「摩訶不思議」。

藍染め好きも、不思議好きも、

なかなか変わらないものですね。


l'isle