ひよこ造船工房

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ホームシアターおさらい解説 スピーカー配置編

2011年07月24日 | ホームシアター解説

■ 理想的な配置

 

5161ch

 

71ch

 

 上は以前にも掲載した、ITU-R策定のホームシアタースピーカー配置図です。(恥ずかしながら自作…) 中心点が座席位置だというのはお分かりですね と、5.1~6.1ch図にはSWも含まれると思ってください

 

 これはホームシアターの規格ができた当初からあり、現在でも使われているものです。 この他、スピーカーの高さに関する図もあり、それによるとフロントスピーカー画面の同高度の両脇、センタースピーカーは画面中央の真裏(←プロジェクター&スクリーンでないと事実上無理)、サラウンド・サラウンドバックスピーカーのツイーターの高さは着座時の耳の位置より10cmほど高くすることが推奨されています。

 

 ただし、これはあくまで配置だけで「理想的」にした場合であり、何の補正も掛けないときに必要な配置と考えます。 実際に補正機能付きAVアンプを使う場合、フロント部(フロント+センターの3ch)は、示されたものに近い配置にしたほうがいいのですが、サラウンド部は"角度が左右対称"であればOKです。

 

 

 

■ フロントスピーカー

 

 ホームシアター環境では一般的な開き角より広めに取ります。 60°は一般的オーディオ環境より広めになりますね。 これは中央に画面があるためと、センタースピーカーで音声の"中抜け"を防止する設計ということでもあります。

 

 最近のスピーカーは指向性(音の届く角度)が広く、AVアンプでもある程度の補正があるので、センタースピーカーが無くても中抜けが気にならないと思います。 気になる場合はスピーカーバッフル面を聞き手に向ければ多少マシになります。 それでも抜けてしまう場合はセンタースピーカーを入れなければなりません。

 

 

 

■ サラウンド・サラウンドバック

 

 側面、背面(後方)なので、音質に気付き難いという利点もあって、フロント部より置き方に若干自由度があります。 ただし一点だけ、サラウンドをリスナー席の真横に置いてしまうと、耳に直に音声が入ってしまいます。 真横(視野外)からの音声には敏感になりやすいので全体の統一感が失われます。 サラウンドが真横の場合はスピーカー正面をやや前方or後方に振ります。

 

 5ch以上の音声といっても、売られているコンテンツは多くてもせいぜい6.1ch収録まで。 なのでスピーカーをなるべく減らしたい場合は6.1ch、つまりサラウンドバックは1chのみにします。 逆にお部屋が広めで、背面音場の方向感にもこだわりたいなら、サラウンドバックを2chにして平面7.1chにすると安定します。 (背面は"見えない"分、音質より左右のバランス感覚に敏感) ちなみに、音声が7.1ch未満の場合、他chの音声をAVアンプ側が解析してサラウンドバックへ配分するようになっています。

 

 "後方"の置き方は自由度は高めですが、より良くするには"左右対の角度"を優先にして合わせます。 左右対称だと違和感を覚え難いためです。

 

 ちなみに、5.1ch配置の場合はサラウンドをなるべく後ろ側にします。 真横より前だとサラウンド感が急激に失われる可能性が高いためです。 ただし、はっきりとした背面音が無い音楽のサラウンド再生では、真横でもそれほど違和感は出ません。

 

 

 

■ センタースピーカー

 

 フロント部分は肝心の"画面"があったり、映像機器をTVにした場合はプレーヤー・アンプもほぼココにあり、ITU-Rを参考に配置すればそれだけ素直に没入効果が上がります。

 

 

Dsc02763

↑ こんな置き方では画面が見えません。 ただしラック内に収めても、距離・角度によっては映像と音声が"乖離"します…。

 

 この状況で難しいのはセンタースピーカーの配置ですね。 多くはTV直下のラックに納めることになるでしょうが、これだと画面下からセリフが出てきておかしく感じます。 画面がスクリーンであれば音が透過しますので、ITU-Rの提言通り、スタンドを使ってでも画面のド真ん中に配置するんですが、液晶・プラズマ(もしくはブラウン管?w)だと画面真裏に置くと音が篭ってしまいますもんね… 

 

 これをスマートに解決させる方法は、

 

 ・ プロジェクター+スクリーンを導入する。(音が透過するためこれが本来の解決法)

 ・ ラックに入れた上で、画面から離れてフロント部全体の発音角度を狭める。

 

 などがあります。 一般家庭ではなかなか難しいものばかりで申し訳ない…。 そのほか、

 

 ・ センタースピーカーを置かない。

 

 フロントスピーカーで肩代わり再生が可能なのでセンターは置かない方が良い場合も。 ただし、AVアンプ内蔵の音場プログラムの精度やソフトの収録状況によっては、フロント部の音に奥行きが無くなって(または単調な奥行きになって)しまいます。

 

 

 

■ センタースピーカー対処法 2019.8内容差し替え

 

 TVをテレビ台に設置している場合、スタンドの高さによっては画面とラック天板に上下の隙間が出来ます。 だいたい5cm程度の隙間があれば音は籠り少なく前面に出てこれますのでTVの後ろにセンタースピーカーを配置することも検討します。 スピーカーの仕様(振動板の位置や口径)によってはやや篭るものの、全体的にはセリフが安定して出るようになり、音楽再生では安定感は完璧になる…と思いますw (AVアンプ内の設定でセンタースピーカーの低域音をカットする([SMALL]にする)と、より"音の籠り"が更に軽減します)

 

 しかし、今の薄型TVは標準スタンドが低い場合も多いですよね…。 そこでこんなものも検討してみます。

 

 

 

 これは製品的には、TVを床置き&壁寄せにするための別売スタンド。 その背の低いバージョンをもってきて、TVの背を高くしようというわけです。 当方で採用している方法ではないのですが^^; 理屈の上ではセンタースピーカーを画面下部に持ってこられるようになるかと思います。(スタンドの棚は大概強度的に不安定なのでスピーカーはスタンドのベースの上に置きます。 ものによっては画面に近くなるよう更に土台・支柱を置く)

 

△ 上は一例として挙げてみましたw 環境・状況により最適は異なります。 先ずは予算・手間の掛からない方法からお試しください。

 

 

 

■ フロントハイト・フロントワイド

 

 フロントハイトは、フロント部上部にスピーカーを配置し、高さ方向の音場を補完する目的で(一部メーカーから)提唱されました。 高さ方向の音声が重視される作品や圧迫感(潜水艦内部など)の再現が必要な作品で重宝します。

 

 配置は、フロントスピーカーのやや内側に内向きにします。 フロント部スピーカーとの位置関係を、丁度Wの字を逆さにしたような感じにします。 フロントハイトはセンター音声を引き上げる効果もあるので、センターをラック置きにした場合にもセリフ引き上げ効果があります。

 

 ただ、残念というか朗報というか…、現在、フロントハイトの音声が収録された作品はなく、アンプのバーチャルスピーカー機能でハイト音声は割と簡単に再現できてしまいます。 しかも天井の高さによってはスピーカーを吊るのが必須となり、工事が要ります。 これらの手間を考慮すると重要度はそれほど高くありません。

 

 "ワイド"は、サラウンドを後ろ置きした場合の前方・側面音を補完するために置きます。 このようなスピーカーは中抜け防止目的のためだけの設置となるので、狭小部屋且つサラウンドが前置き・横置きなら必要なし、です 

 

 

 

■ サブウーファー

 

 サブウーファーの置き方には(同じ部屋に置くという以外)指定はありません。 名目上、ウーファーが発生させる低域音は方向性(指向性)に乏しい、つまりどの方向から来ているか知覚しにくいとされているためです。

 

 とはいえ、様々な体験談から大体よいとされている場所もあります。 それはセンターとフロントL、またはフロントRの間です。 理屈は分かりませんが、この場所に置くとサラウンド感が増すという報告が多数あります。 丁度アンプの近くになりますし、ライン(RCA)ケーブルや電源ケーブルが節約出来ますので異論はないでしょう 

 

 一部の高級機、最新機には、0.2ch分の出力があるという触れ込みのAVアンプがあります。 これにはサブウーファー出力が2系統装備されているのですが…、一部のサブウーファーにはライン「出力」が装備され、更にその先にウーファーを繋ぐ"数珠繋ぎ"にも対応します。 AVアンプ側で0.2ch分を制御する利点もあるのだと思いますが、0.1ch出力しかないアンプの場合でも、この数珠繋ぎや、二股RCAラインケーブルというものも売られていますので、この方法を低域音増強にご活用ください。

 

 一例として、SONY サブウーファー SA-W3000の取説(PDF)に数珠繋ぎが詳しく記載されています。 (同社ピアノ塗装シリーズSA-W7700は数珠繋ぎに対応しません)

 

 

 

■ 着座位置と自動音場補正(測定)

 

 スピーカーの周波数(音圧差)は設置位置、視聴位置で如実に変化します。 フロントスピーカーのツイーター、もしくはミッドレンジ(スコーカー)がなるべく耳と同じ高さになるよう、スピーカーと着座位置を調整します  AVアンプに装備された自動音場補正はそういった誤差も修正する働きがありますが、やはり物理的に調整できる部分はやっておきましょう。

 

 自動音場補正を掛ける際も、測定マイクの位置・高さは着座位置への正確な設置を心がけます。 位置が違うと、AVアンプの機種やお部屋の材質/構造によっては、周波数補正・低在波コントロールに誤差が出ます。

 

 

 

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ホームシアターおさらい解説 計画編

ホームシアターおさらい解説 概要編vol.1

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* ブログ形式なので続けて読みにくい面がありまして申し訳ないです。 当連載は⇒の"ホームシアター解説"タグもご利用ください。

 

 

 

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